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第五章

怒り 2

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 あいつらっ....!!何やってんだよ!
 俺───サラマンダーは荒ぶる感情と魔力を必死に抑えつつ、屋敷内を見て回る。
 あの破壊音は明らかに人間業ではなかった。
 しかも、あの魔力.....シルフとウンディーネに決まってる。
 ディアナは魔力感知能力がそこまで優れていないので気づいてなかったようだが、俺とノームは一瞬で気づいた。
 あの破壊音がシルフとウンディーネの仕業であることに。
 何でいきなりこの国を攻撃し出したんだ!?
 それもわざわざ精霊を大量に連れてきて....。
 シルフとウンディーネの他に複数の精霊の魔力をキャッチしたが....まだまだ他にも精霊が居ると見て間違いないだろう。
 俺がキャッチした精霊の魔力は恐らくあいつらが連れてきた精霊達の極一部にしか過ぎない。
 何を考えているんだ!あいつらは!
 .....まさか、あの豚の件があいつらにバレたのか?
 もし、そうならあいつらがこんな行動に出た理由に説明がつく。
 でも、一体どこから....!?どこから情報が漏れたんだ!?
 ....いや、今はそれよりもまずはあいつらを止めねぇーと!
 またディアナが傷つくはめになる!
 俺は屋敷中を急いで見て回り、ミニ飛竜へと姿を変えた。
 使用人達は魔法を駆使してあの揺れを耐え忍んだみたいだから、問題はない。
 まあ、家具なんかは全部倒れていたが....後片付けは使用人に任せるとして、俺はまずシルフとウンディーネに接触するため空高く舞い上がった。

「これは....ひでぇーな」

 サン国を滅ぼしたときとは比にならないほどの荒れ様だ。
 建物はドミノ倒しのごとく全て倒れ、その下敷きになっている人間もチラホラ居る。
 チッ....くそっ!こっちは急いでんだよ!
 炎魔法で建物だけを焼き付くし、下敷きになっている人間達を助けていく。
 さすがに治癒魔法まで施している時間はないがな。
 治癒魔法云々は自分達でやってくれ。
 とりあえず、竜巻が巻き怒っている街の中心部へと急いだ。
 あんな大量の竜巻を操れるのは精霊の中でもシルフだけだからな...。
 居場所が分りやすくて助かる。
 全速力で空を駆け抜けながら、街の中心部を目指した。
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