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第四章
苦悩 1
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スターリ国に留学中のディアナから届いた報告書に私────フレディ・マルティネス公爵は頭を悩ませていた。
もう気づいている者が大半だと思うが、私はディアナの父親だ。
と言ってもディアナを育てたのは精霊達だが....私や妻のソフィアには一切子育てをさせてくれなかったからな。
軽く顔合わせをすることはあるが、それだってほんの僅かの時間だけ。
精霊達はどうやらディアナに私達を近付けたくないらしい。
最初こそ精霊達が子育てなんか出来るのかと心配していたが、それは杞憂に終わった。
もちろん、たまに子育てについて口を挟むことはあるがね....。
まあ、それもディアナが成長するにつれ少なくなっていったが....。
精霊達は私や妻の意見を参考程度にはきちんと聞き入れてくれていた。
まあ、それはさておき.....。
困ったな.....まさかディアナに危害を加えようとした人間が居たなんて...それもただの人間ではない。スターリ国の王族であり、第三王子のブラウン様....。
ブラウン王子は各国にその名を轟かせるほどの暴君王子として有名であったが、まさかディアナにまでちょっかいを出してくるとは....。
ブラウン王子と同じ学校なのは知っていたが、クラスは別だし余程のことがなければ接触しないだろうと思っていた。
その考えは甘かったか....。
やはり、ディアナをスターリ国へ留学などさせなければ良かった。
娘の身を案じると共にスターリ国に住まう全ての人々の命が危ぶまれる。
このことが精霊達の耳に入れば大変なことになる....。
ディアナに危害を加えようとした張本人であるブラウン王子はもちろん、スターリ国の民達の命も危ない。
昔、ディアナがまだ小さな赤子だった頃。
精霊達に寵愛される赤子が居るとフェンガロフォス国はもちろん他国でも有名になり、ディアナを拐おうとする者があとをたたなかった。
その中でも特にしつこかったのが隣国に位置するサン国だった。
サン国は武力が全ての戦争国家だったため、ディアナのことを知るなり数々の諜報部員や運び屋達を我が国へ送ってきたのだ。
だが、その送られてきた者達はディアナをその目で見ることも出来ぬまま死んでいった...精霊達の手によって。
そのうち精霊達は敵の多さにいい加減嫌気が差したのか、特に多くの諜報部員や運び屋たちを送ってきたサン国を見せしめとして滅ぼした。
それはもう一瞬で。
それもそうだろう....四大精霊全員でサン国を滅ぼしにかかったのだから。
私はその現場に居合わせなかったため、詳細は不明だがサン国へスパイとして侵入していた者が言うには『とにかく酷かった』とのこと。
ある場所は突如現れたマグマにより人も建物も全てどろどろに溶け、ある場所では一瞬で凍死するほどの吹雪が巻き起こっていたらしい。またある場所では台風が、そのまたある場所では大量のゴーレムが出現していたんだとか....。
まさに地獄だったとスパイの男は言っていた。
蟻の巣を踏み潰すように容易く一国を滅ぼした精霊達の話は瞬く間に世界に広がり、我が国へ送られてきていた他国の者達は逃げるように去っていった。脱兎のごとく、それはそれは俊足で逃げていきましたとも。
そんな過去の出来事を知っている私だからこそ、今まさに頭を悩ませているのだ。
このままではスターリ国がサン国の二の舞になりかねない....。
だからと言って隠し通すことは出来ないだろう。
必ずどこかで情報が漏れる。
さて....どうしたものかな。
もう気づいている者が大半だと思うが、私はディアナの父親だ。
と言ってもディアナを育てたのは精霊達だが....私や妻のソフィアには一切子育てをさせてくれなかったからな。
軽く顔合わせをすることはあるが、それだってほんの僅かの時間だけ。
精霊達はどうやらディアナに私達を近付けたくないらしい。
最初こそ精霊達が子育てなんか出来るのかと心配していたが、それは杞憂に終わった。
もちろん、たまに子育てについて口を挟むことはあるがね....。
まあ、それもディアナが成長するにつれ少なくなっていったが....。
精霊達は私や妻の意見を参考程度にはきちんと聞き入れてくれていた。
まあ、それはさておき.....。
困ったな.....まさかディアナに危害を加えようとした人間が居たなんて...それもただの人間ではない。スターリ国の王族であり、第三王子のブラウン様....。
ブラウン王子は各国にその名を轟かせるほどの暴君王子として有名であったが、まさかディアナにまでちょっかいを出してくるとは....。
ブラウン王子と同じ学校なのは知っていたが、クラスは別だし余程のことがなければ接触しないだろうと思っていた。
その考えは甘かったか....。
やはり、ディアナをスターリ国へ留学などさせなければ良かった。
娘の身を案じると共にスターリ国に住まう全ての人々の命が危ぶまれる。
このことが精霊達の耳に入れば大変なことになる....。
ディアナに危害を加えようとした張本人であるブラウン王子はもちろん、スターリ国の民達の命も危ない。
昔、ディアナがまだ小さな赤子だった頃。
精霊達に寵愛される赤子が居るとフェンガロフォス国はもちろん他国でも有名になり、ディアナを拐おうとする者があとをたたなかった。
その中でも特にしつこかったのが隣国に位置するサン国だった。
サン国は武力が全ての戦争国家だったため、ディアナのことを知るなり数々の諜報部員や運び屋達を我が国へ送ってきたのだ。
だが、その送られてきた者達はディアナをその目で見ることも出来ぬまま死んでいった...精霊達の手によって。
そのうち精霊達は敵の多さにいい加減嫌気が差したのか、特に多くの諜報部員や運び屋たちを送ってきたサン国を見せしめとして滅ぼした。
それはもう一瞬で。
それもそうだろう....四大精霊全員でサン国を滅ぼしにかかったのだから。
私はその現場に居合わせなかったため、詳細は不明だがサン国へスパイとして侵入していた者が言うには『とにかく酷かった』とのこと。
ある場所は突如現れたマグマにより人も建物も全てどろどろに溶け、ある場所では一瞬で凍死するほどの吹雪が巻き起こっていたらしい。またある場所では台風が、そのまたある場所では大量のゴーレムが出現していたんだとか....。
まさに地獄だったとスパイの男は言っていた。
蟻の巣を踏み潰すように容易く一国を滅ぼした精霊達の話は瞬く間に世界に広がり、我が国へ送られてきていた他国の者達は逃げるように去っていった。脱兎のごとく、それはそれは俊足で逃げていきましたとも。
そんな過去の出来事を知っている私だからこそ、今まさに頭を悩ませているのだ。
このままではスターリ国がサン国の二の舞になりかねない....。
だからと言って隠し通すことは出来ないだろう。
必ずどこかで情報が漏れる。
さて....どうしたものかな。
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