18 / 75
第二章
ディアナ様は疲れている 5
しおりを挟む
疲労感に押し潰されそうになりながらもなんとか帰宅することが出来た。
私達が今住んでいるのは王都から少し外れたところにある別荘だ。
本当は王宮に住まわせてもらう筈だったのだが、精霊達が『他の人間も住んでいるなら、駄目』と却下したのだ。
結果、王家が所有している別荘を一つ貸してもらうことになった。
使用人なども手配してくれて、至れり尽くせりである。
精霊達の我が儘を聞いてもらって申し訳ないと思う反面、ブラウン王子も居る王宮に住まなくて良かったと安堵していた。
予定よりもずっと早い帰宅に驚きつつも使用人達はわらわらと玄関に集まり、頭を垂れた。
「お帰りなさいませ、ディアナ様、サラマンダー様」
「ただいま帰りました」
コツコツとヒールを鳴らしながら、使用人達の間を通り抜ける。
階段に差し掛かった頃、ふわりと私の頬を柔らかい風が優しく撫でた。
刹那、私の目の前に小柄な美少年が姿を現す。
白に近いミルクティー色の柔らかそうな髪に薄墨色の瞳、頬はほんのりピンク色でそれがまたチャーミングである。
「シルフ、ただいま」
「おかえりっ!ディアナ!ずーっと待ってたよ!」
ぎゅーっと腰辺りに抱きつく彼は四大精霊の一人、風の支配者“シルフ”。
人懐っこい笑みを浮かべているシルフだけど、彼は取り扱い要注意の人物の一人である。
「ディアナ、学校で嫌なことなかった?」
「特になかったよ?」
ブラウン王子の件以外は特に何もありませんでしたよー。
もう二度とブラウン王子とは関わりたくありません。出来れば、顔も見たくありませんし。
ブラウン王子について愚痴りたい気持ちを必死に抑えながら、シルフにふわりと笑いかけた。
「そうなの?なら、良かった!ディアナが嫌だって感じたらいつでも言ってね?この国ごと滅ぼすから!」
「う、うん。ありがとう....?」
この子はかなり血の気が多い....と言うか、やり過ぎなところがある。
フェンガロフォス国からスターリ国へ向かっている際、一度山賊に襲われたのだがシルフの手によって秒殺された。肉の一片も残さず、風で切り刻み見るも無惨な姿へ....。人間としての原型を留めていなかった。
あのときは『やり過ぎだ』と注意したが、シルフはケロッとした顔で、
『何で駄目なの?だって、こいつらディアナのこと脅したんだよ?殺されて当然だよ!むしろ、痛みも感じぬ間に死ねて幸せだと思った方がいい!』
と言って退けたのだ。
自分は悪くないぞ、と胸を張るシルフに頭を抱えたのは言うまでもないだろう。
こちらも負けじとシルフに例え話をまじえながら話したが、特に効果はなく....むしろ、シルフは不服そうな顔をするばかりだった。
仕舞いには
『何で僕がディアナに怒られないといけないの!?僕とディアナは仲良しなのにっ!あいつら、許さないっ!僕とディアナの仲を引き裂いたっ!あいつらの家族や友人を探しだして、殺してやるっ!』
と言い出す事態に....。
あのときはなんとか宥めることに成功したが...。
とにかくシルフをキツく叱りつけるのはやめようと心に決めた瞬間だった。
あのときのことを思い出しながら、無邪気に笑うシルフの頭を撫でる。
こんな可愛い子が笑いながら人間を殺しているなんて誰も思わないでしょうね。
私達が今住んでいるのは王都から少し外れたところにある別荘だ。
本当は王宮に住まわせてもらう筈だったのだが、精霊達が『他の人間も住んでいるなら、駄目』と却下したのだ。
結果、王家が所有している別荘を一つ貸してもらうことになった。
使用人なども手配してくれて、至れり尽くせりである。
精霊達の我が儘を聞いてもらって申し訳ないと思う反面、ブラウン王子も居る王宮に住まなくて良かったと安堵していた。
予定よりもずっと早い帰宅に驚きつつも使用人達はわらわらと玄関に集まり、頭を垂れた。
「お帰りなさいませ、ディアナ様、サラマンダー様」
「ただいま帰りました」
コツコツとヒールを鳴らしながら、使用人達の間を通り抜ける。
階段に差し掛かった頃、ふわりと私の頬を柔らかい風が優しく撫でた。
刹那、私の目の前に小柄な美少年が姿を現す。
白に近いミルクティー色の柔らかそうな髪に薄墨色の瞳、頬はほんのりピンク色でそれがまたチャーミングである。
「シルフ、ただいま」
「おかえりっ!ディアナ!ずーっと待ってたよ!」
ぎゅーっと腰辺りに抱きつく彼は四大精霊の一人、風の支配者“シルフ”。
人懐っこい笑みを浮かべているシルフだけど、彼は取り扱い要注意の人物の一人である。
「ディアナ、学校で嫌なことなかった?」
「特になかったよ?」
ブラウン王子の件以外は特に何もありませんでしたよー。
もう二度とブラウン王子とは関わりたくありません。出来れば、顔も見たくありませんし。
ブラウン王子について愚痴りたい気持ちを必死に抑えながら、シルフにふわりと笑いかけた。
「そうなの?なら、良かった!ディアナが嫌だって感じたらいつでも言ってね?この国ごと滅ぼすから!」
「う、うん。ありがとう....?」
この子はかなり血の気が多い....と言うか、やり過ぎなところがある。
フェンガロフォス国からスターリ国へ向かっている際、一度山賊に襲われたのだがシルフの手によって秒殺された。肉の一片も残さず、風で切り刻み見るも無惨な姿へ....。人間としての原型を留めていなかった。
あのときは『やり過ぎだ』と注意したが、シルフはケロッとした顔で、
『何で駄目なの?だって、こいつらディアナのこと脅したんだよ?殺されて当然だよ!むしろ、痛みも感じぬ間に死ねて幸せだと思った方がいい!』
と言って退けたのだ。
自分は悪くないぞ、と胸を張るシルフに頭を抱えたのは言うまでもないだろう。
こちらも負けじとシルフに例え話をまじえながら話したが、特に効果はなく....むしろ、シルフは不服そうな顔をするばかりだった。
仕舞いには
『何で僕がディアナに怒られないといけないの!?僕とディアナは仲良しなのにっ!あいつら、許さないっ!僕とディアナの仲を引き裂いたっ!あいつらの家族や友人を探しだして、殺してやるっ!』
と言い出す事態に....。
あのときはなんとか宥めることに成功したが...。
とにかくシルフをキツく叱りつけるのはやめようと心に決めた瞬間だった。
あのときのことを思い出しながら、無邪気に笑うシルフの頭を撫でる。
こんな可愛い子が笑いながら人間を殺しているなんて誰も思わないでしょうね。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4,381
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる