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第二章

ディアナ様は疲れている 1

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 1限目の魔法基礎を終えた15分休憩のときに何故か他のクラスの子達がSクラスの出入り口付近に大量発生していた。
 しかも、何故か私の方をガン見してきます...。
 これは一体....?
 留学生が誰だか気になって見に来ただけでしょうか?
 さすがにこんなに大勢の方に一斉に見つめられると私も緊張すると言いますか....。
 興味津々でこちらを見つめてくる生徒達に耐えきれず、私は口を開いた。

「あっ、あの何か私に用でも....?」

 用がないなら、さっさと帰ってほしいのですが...。通行の邪魔ですし...。
 私が声をかけた途端、バッと思い切り視線を逸らされた....それも全員。
 いや、ほんと何なんですか!?
 はぁ、と溜め息をつきそうになるのを必死に抑え、黒板を向き直る。
 すると、また多くの視線が私に注がれた。
 もう何も言うまい....。

「あいつら、ディアナのことを無視しやがった....!消し炭にしてやる!」

「良いよ、別に。気にしてないし...」

 まあ、無視されたことに関しては多少傷ついたけど...。
 小声でサラマンダーと会話し、なんとか彼の怒りを鎮める。
 こんなことでいちいち怒ってたら、キリないよ。

「だけど....!」

「良いの。そんなことより次の授業の準備しなくちゃ」

 無視されても飄々としている私の態度に毒気を抜かれたのか、サラマンダーは『そうか』と小さく呟くと私の肩の上で丸くなった。
 とりあえず、大量殺戮は回避出来たかな。
 ほっと息を吐いて、鞄から教科書を取り出そうとすると教室の外がガヤガヤと騒がしくなった。
 次は何....?
 チラッと教室の外に目をやるが、他のクラスの子達が壁になって向こう側が見えない。
 あれ?そういえば、この子達もう私のこと見てない。教室内とは正反対の廊下側に視線をやっている。
 何か起きたのかな?
 気にはなるが、疲労感の方が勝り私は視線を黒板に戻す。
 好奇心は猫をも殺す、って言いますからね。余計なことには首を突っ込まない方がいい。
 そう結論付けて予習ついでに教科書を開いた、そのとき。

「ディアナ・マルティネス!よくもフィル兄様を誑かしてくれたな!だが、残念だったな!私に気づかれるとは運の悪い奴だ!わはははっ!」

 人混みを掻き分けてSクラスに侵入してきたのは今朝ダミアン陛下と衛兵に連れられて王宮へ帰っていったブラウン王子であった。
 自信満々に事実無根の嘘を吐くブラウン王子に怒りを通り越して呆れてしまう。
 フィル王子を誑かして私に何の得があると言うのか....。
 もう今日は疲れているので是非ともお引き取り願いたい。
 というか、私が帰りたい。切実に。
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