婚約破棄に全力感謝

あーもんど

文字の大きさ
上 下
48 / 50
最終章

復讐という名の遊び 3

しおりを挟む
 もしも、ライアン陛下があのとき剣の稽古を投げ出さずにしっかり取り組んでいれば、この戦いも少しは面白いものになっていたかもしれませんね。少なくとも座りながら剣を振るうという奇行には走らずに済んだかもしれません。
 実に残念です。
 ライアン陛下は疲れてきたのか、だんだん動きにキレがなくなってきた。
 あらあら、もう疲れちゃったんですか?体力がありませんね、ほんと。
 まあ、私もこの戦いに飽きてきたところなので丁度良いですね。さっさと終わらせましょう。
 あっ!でも、その前に....。
 私は扇でカキーンッとライアン陛下の剣を弾き飛ばし、ライアン陛下の鳩尾に蹴りを入れた。

「ぐはっ....!」

 そこまで強く蹴りあげていない筈ですが、ライアン陛下は大袈裟なくらいその場で噎せ返りました。
 メンタルは不思議なくらい強いのに体は脆弱なんですね。
 さて、そんなことはさておき。
 私は転移の魔法であるものをこちらへ転移させた。
 私の手の上には四角い箱が乗せられている。
 ライアン陛下の驚く顔を思い浮かべながら、私はその箱の蓋を取り、彼に見えやすいに少し屈んで箱の中を見せてあげた。
 ライアン陛下は噎せ返りつつも一応箱の中に目を向ける。
 箱の中身を見た途端、彼は尋常じゃないほど震え上がり目を見開いた。

「なっ....はっ...は、はうえ...!?」

 そう、私が彼に見せたのはレーナ王妃の生首。
 使い道がなくてどうしようかと思っていましたが、こんな使い道もあるんですね。“あの方”の提案もたまには聞いてみるものですね。

「よければ、差し上げますよ?冥土の土産に」

 私は生首を片手で鷲掴みにすると、ライアン陛下の方へ投げつけた。
 ライアン陛下は腰が抜けて動けないので避けることも出来ず、顔面でレーナ王妃の生首を受け止めた。
 腕で顔を庇うくらいの時間はあった筈ですけど...まあ、良いでしょう。
 ライアン陛下、良かったですね?実の母親の生首と共にあの世へ逝けるのですから。
 ライアン陛下の顔面にぶつかった生首は彼の足元に転がっている。普通の生首ならまだしも、これは血の抜かれたものですからね。恐怖心をより煽ることでしょう。
 ライアン陛下は恐る恐るレーナ王妃の生首をもう一度目にすると、『ひっ!』と小さな悲鳴をあげた。
 あら?少し....いや、かなり臭いですね....もしかして....。
 ライアン陛下の股間あたりに目を向けると、その部分だけびっしょり濡れていた。
 この年になってお漏らしなんて....おまけに少し『大』の方も出ているようで糞の臭いもする。
 糞尿の臭いに耐えきれず、二歩ほど後ろに下がった。  
しおりを挟む
感想 51

あなたにおすすめの小説

妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~

岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。 本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。 別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい! そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

幼馴染の親友のために婚約破棄になりました。裏切り者同士お幸せに

hikari
恋愛
侯爵令嬢アントニーナは王太子ジョルジョ7世に婚約破棄される。王太子の新しい婚約相手はなんと幼馴染の親友だった公爵令嬢のマルタだった。 二人は幼い時から王立学校で仲良しだった。アントニーナがいじめられていた時は身を張って守ってくれた。しかし、そんな友情にある日亀裂が入る。

拝啓、婚約者様。婚約破棄していただきありがとうございます〜破棄を破棄?ご冗談は顔だけにしてください〜

みおな
恋愛
 子爵令嬢のミリム・アデラインは、ある日婚約者の侯爵令息のランドル・デルモンドから婚約破棄をされた。  この婚約の意味も理解せずに、地味で陰気で身分も低いミリムを馬鹿にする婚約者にうんざりしていたミリムは、大喜びで婚約破棄を受け入れる。

さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます

結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】 私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。 もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。 ※マークは残酷シーン有り ※(他サイトでも投稿中)

婚約破棄が国を亡ぼす~愚かな王太子たちはそれに気づかなかったようで~

みやび
恋愛
冤罪で婚約破棄などする国の先などたかが知れている。 全くの無実で婚約を破棄された公爵令嬢。 それをあざ笑う人々。 そんな国が亡びるまでほとんど時間は要らなかった。

【完結】出逢ったのはいつですか? えっ? それは幼馴染とは言いません。

との
恋愛
「リリアーナさーん、読み終わりましたぁ?」 今日も元気良く教室に駆け込んでくるお花畑ヒロインに溜息を吐く仲良し四人組。 ただの婚約破棄騒動かと思いきや・・。 「リリアーナ、だからごめんってば」 「マカロンとアップルパイで手を打ちますわ」 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結迄予約投稿済みです。 R15は念の為・・

【完結】婚約者取り替えっこしてあげる。子爵令息より王太子の方がいいでしょ?

との
恋愛
「取り替えっこしようね」 またいつもの妹の我儘がはじまりました。 自分勝手な妹にも家族の横暴にも、もう我慢の限界! 逃げ出した先で素敵な出会いを経験しました。 幸せ掴みます。 筋肉ムキムキのオネエ様から一言・・。 「可愛いは正義なの!」 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結迄予約投稿済み R15は念の為・・

処理中です...