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第一章
ソル国 2
しおりを挟む 街並みを眺めていたら、あっという間に王宮へと到着してしまった。
王都も最果ての街も大した違いはありませんでしたね。皆、楽しそうに過ごしていて....とても眩しく感じました。
王宮へ到着した私はアーサー殿下によって客室へと通された。
ふかふかのソファに腰下ろし、私の向かい側にアーサー殿下も座る。
ここに来るまでに王宮で竜人族と獣人族の方とすれ違いましたが、皆さんとてもガタイが良くて...まさに戦士!って感じでした。
それに比べてフェガロフォス国は....さすがに将軍レベルになればあれくらいの体格をしていますが、他は全然駄目ですね。ハッキリ言います。ひょろひょろのもやしです。私、これでも一応護身術を習ったことがあるのですが、将軍以外の軍人や兵士達は正直五秒もあれば私でも倒せそうな方ばかり。あ、もちろん魔法はなしで、ですよ。魔法を使うと五秒も持たずに終わってしまいますので。
私は軽く護身術を齧った程度ですが、それでも倒せそうな方ばかりでした。
武力国家であるソル国と比べるのがまず間違いかもしれませんが、それでもフェガロフォス国が有する兵士たちの質は低すぎる。
まあ、私さえ居れば兵士など育てなくても十分な武力を有していましたからね。私という存在に甘えて兵士の育成を怠ったツケがそのうち回ってくることでしょう。
「ルーナ嬢にはしばらく王宮に住んでもらうことになる。屋敷を建てるにしても時間がいるからね。王宮での生活が気に入れば、ずっとここに住んでもらっても構わない」
王宮で生活出来るなんて普通の人からすれば、嬉しい限りでしょうが私はそうでもありません。
確かに嬉しいには嬉しいですよ?でも、王宮は人の行き来が激しくてあまり好かないのです。なのでどこか静かなところに屋敷を建ててもらい、最低限のものと使用人数人を頂いてのんびり過ごさせてもらいましょう。王宮は息が詰まるので。
「分かりました。では、改めてお世話になります」
「いやいや、こっちこそ改めてよろしく頼むよ。そしてソル国へようこそ、ルーナ嬢」
アーサー殿下と握手を交わし、互いに微笑み合うとふいにドアがノックされた。
誰でしょう?
アーサー殿下に用でしょうか?
なら、私は席を外した方がよろしいかしら?
「入って良いよ」
「失礼します。ルーナ様とアーサー殿下、国王陛下がお呼びです」
「えっ?もう?父上に、今日はルーナ嬢も疲れているだろうから明日にしてくれと伝えて」
「では、国王陛下の伝言です。『良いから、早く来い。あっ、ルーナ嬢はゆったりまったりしながらおいで。急ぐ必要はないよ。だが、アーサー!お前は急げ!早く来い!』だそうです」
「ち、父上こんにゃろ....」
アーサー殿下の口元がひくひくしています。
仮にも息子であるアーサー殿下と私への対応の差が....。
そういえば、アーサー殿下は時折国王陛下の愚痴を溢していましたっけ?
話を聞いている限り、仲は悪くないのですが国王陛下からアーサー殿下への意地悪と言いますか...いじりがとにかく酷いのです。第三者が聞けば『仲が良い親子ですね』の一言に尽きますが、当事者であるアーサー殿下は悪戯好きの国王陛下を嫌っています。あっ、嫌っていると言ってもそんな険悪な感じの嫌いではないのでご安心下さい。
「.....ルーナ嬢、疲れているところ悪いけど一緒に来てもらえる?」
「はい。喜んで」
どこか遠い目をしているアーサー殿下が少し不憫に感じましたが、これが国王陛下とアーサー殿下のコミュニケーションなのでしょう。
ファイトです、アーサー殿下!
王都も最果ての街も大した違いはありませんでしたね。皆、楽しそうに過ごしていて....とても眩しく感じました。
王宮へ到着した私はアーサー殿下によって客室へと通された。
ふかふかのソファに腰下ろし、私の向かい側にアーサー殿下も座る。
ここに来るまでに王宮で竜人族と獣人族の方とすれ違いましたが、皆さんとてもガタイが良くて...まさに戦士!って感じでした。
それに比べてフェガロフォス国は....さすがに将軍レベルになればあれくらいの体格をしていますが、他は全然駄目ですね。ハッキリ言います。ひょろひょろのもやしです。私、これでも一応護身術を習ったことがあるのですが、将軍以外の軍人や兵士達は正直五秒もあれば私でも倒せそうな方ばかり。あ、もちろん魔法はなしで、ですよ。魔法を使うと五秒も持たずに終わってしまいますので。
私は軽く護身術を齧った程度ですが、それでも倒せそうな方ばかりでした。
武力国家であるソル国と比べるのがまず間違いかもしれませんが、それでもフェガロフォス国が有する兵士たちの質は低すぎる。
まあ、私さえ居れば兵士など育てなくても十分な武力を有していましたからね。私という存在に甘えて兵士の育成を怠ったツケがそのうち回ってくることでしょう。
「ルーナ嬢にはしばらく王宮に住んでもらうことになる。屋敷を建てるにしても時間がいるからね。王宮での生活が気に入れば、ずっとここに住んでもらっても構わない」
王宮で生活出来るなんて普通の人からすれば、嬉しい限りでしょうが私はそうでもありません。
確かに嬉しいには嬉しいですよ?でも、王宮は人の行き来が激しくてあまり好かないのです。なのでどこか静かなところに屋敷を建ててもらい、最低限のものと使用人数人を頂いてのんびり過ごさせてもらいましょう。王宮は息が詰まるので。
「分かりました。では、改めてお世話になります」
「いやいや、こっちこそ改めてよろしく頼むよ。そしてソル国へようこそ、ルーナ嬢」
アーサー殿下と握手を交わし、互いに微笑み合うとふいにドアがノックされた。
誰でしょう?
アーサー殿下に用でしょうか?
なら、私は席を外した方がよろしいかしら?
「入って良いよ」
「失礼します。ルーナ様とアーサー殿下、国王陛下がお呼びです」
「えっ?もう?父上に、今日はルーナ嬢も疲れているだろうから明日にしてくれと伝えて」
「では、国王陛下の伝言です。『良いから、早く来い。あっ、ルーナ嬢はゆったりまったりしながらおいで。急ぐ必要はないよ。だが、アーサー!お前は急げ!早く来い!』だそうです」
「ち、父上こんにゃろ....」
アーサー殿下の口元がひくひくしています。
仮にも息子であるアーサー殿下と私への対応の差が....。
そういえば、アーサー殿下は時折国王陛下の愚痴を溢していましたっけ?
話を聞いている限り、仲は悪くないのですが国王陛下からアーサー殿下への意地悪と言いますか...いじりがとにかく酷いのです。第三者が聞けば『仲が良い親子ですね』の一言に尽きますが、当事者であるアーサー殿下は悪戯好きの国王陛下を嫌っています。あっ、嫌っていると言ってもそんな険悪な感じの嫌いではないのでご安心下さい。
「.....ルーナ嬢、疲れているところ悪いけど一緒に来てもらえる?」
「はい。喜んで」
どこか遠い目をしているアーサー殿下が少し不憫に感じましたが、これが国王陛下とアーサー殿下のコミュニケーションなのでしょう。
ファイトです、アーサー殿下!
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