婚約破棄に全力感謝

あーもんど

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第一章

ソル国 1

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 アーサー殿下と共に馬車に揺られること数日。
 やっとソル国へ辿り着くことが出来た。
 ソル国の周辺は魔の森に囲まれており、更にその魔の森との間に大々的な結界魔法と防壁が取り囲んでいる。
 魔の森には多くの魔物が生息しており、大した力量のない者が迷い込めば、最後魔物に食われてしまいます。
 そんな危険な森に囲まれているソル国ですが、あえて魔の森の魔物を討伐していません。その理由は2つ。1つ、他国から攻め入られるのを防ぐため。2つ、攻められても魔物で少しでも敵の数を減らすためだ。
 もちろん、魔物が例年より多くなれば討伐をしますが、基本的に魔の森の魔物には一切手を出していません。
 魔の森と結界魔法と防壁に囲まれたソル国の守りは万全。
 ほう....噂には聞いていましたが、面白い『守り』ですね。魔物を使うなど、私でも思い付きませんでした。
 魔の森を私の魔法で馬車ごと持ち上げて飛び越える。魔の森には飛行系の魔物は極端に少ないので空さえ飛べれば、どうってことありません。
 あっという間に門まで辿り着いた私達はぱぱっと門番のチェックを交わし、ソル国へ入国を果たす。
 ギギギギギッと音をたてて、錆びた門の扉が開いた。
 まあ!これがソル国の街並みなのですね!
 ソル国は小国なので最果ての街から王都まで行くのにそんなに時間はかかりません。
 最果ての街でもこんなに賑やかなら、王都はどんな感じなのでしょうか。
 大きさの異なる建物が左右にびっしり並んでいる。道の中央を私達を乗せた馬車は悠々と歩く。
 フェガロフォス国ではこんなに多くの建物が所狭しと並んでいるのは見たことがありません。それにフェガロフォス国とソル国ではまず街の活気が全然違う。フェガロフォス国の街は国王から課せられる税金があまりにも高いためか、どこの店も寂れていた。いや、店だけじゃない。人々も苦しんでいた。高過ぎる税金を納めるため寝る間も惜しんで働き、生活費を極限まで切り詰めて過ごしていた。私の働きで国自体は裕福になったけれど、平民たちの苦しみは無くなることはなかったのだ。得をしたのは王族と貴族、あとは一握りの商人だけ。それ以外の者達の苦しみや飢えが無くなることは決してなかった。
 なのにどうだろう?
 ソル国の平民たちは誰もが楽しそうに笑い合い、幸せそうに今を生きている。
 国が違うだけでこうも平民たちの暮らしに差がつくのかと思い知らされた。
 フェガロフォス国出身だということが凄く恥ずかしく感じる。
 フェガロフォス国に生まれたことが私の人生において最大の汚点ですね。
 せめて、国王や王太子殿下が違う人ならば....と考えますが、今更だと思いその考えを振り払う。
 私に出来るのはフェガロフォス国の平民たちの未来を心配することくらいですね....。何も出来ないのが歯痒い気もしますが、こればっかりは仕方ありません。国というものは魔法だけでどうにか出来るものではありませんから。
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