6 / 50
第一章
アーサー殿下のお誘い 2
しおりを挟む
アーサー殿下は私の切実な願いに『ふむ...』と少し考える素振りを見せたあと、再度口を開いた。
「では、こうしよう。ルーナ嬢は我が国に居るだけで良い。もちろん、国の一大事には力添え願うがそういった事態にならない限りは好きに過ごしてもらって構わない。王宮で過ごすも良し、どこかに屋敷を作って悠々気ままに過ごすも良しだ。金はこちらから出すし、ある程度の自由も許そう。どうだ?かなり譲歩した方だが...」
「願ってもないお話しですが、ソル国はそれで良いのですか?」
私にとって、その話はとても魅力的だ。
国の一大事以外は誰にも命令されず、好きに過ごせる。しかも、お金などはあちらが用意してくれるときた。
だが、それでは私を受け入れたソル国にメリットがない。私を上手く使えば、この大陸を手中に収めることだって可能だ。そんな私を使わなくて良いのだろうか?
「確かにルーナ嬢に命令できず、使えない状態なのは痛い。だが、ルーナ嬢を他の国へ捕られるくらいなら、こっちの方がずっと良い。それにこちらにも十分メリットはある。ルーナ嬢がソル国に居るというだけで他国からすれば十分脅威になり得るし、何より最終手段としてルーナ嬢が居るとなれば、国民もそうだが我々王族や重臣たちもかなり安心できるからな」
なるほど。
そういう考え方も出来るのですね。さすがは王太子殿下様です。
まあ、国の一大事でなくても気が向いたら何かしらの手段でソル国に貢献致しますよ。それにソル国の王族や重臣の皆さんは優秀だと聞きますからね。
「ルーナ嬢、改めて問う。ソル国へ来ないか?」
「うふふっ。断る理由がありませんね」
ソル国は人間族だけではなく様々な種族が一緒に暮らしている国。戦闘能力の高い竜人族や獣人族などが居るからこそ、武力と軍事力が高いとされている。
竜人族に獣人族ですか....一度会ってみたかったのでソル国へ行くのがとても楽しみですね。
「あっ、着いたみたいだね。荷物をまとめたら、このまま真っ直ぐソル国へ向かおう。それで構わないかい?」
「ええ、勿論。では、荷物をまとめて来るので少々お待ちください」
馬車を降りて、屋敷の中へ入ると玄関には誰も居らず、珍しく静かだった。
そういえば、今の時間帯、使用人たちはみんな賄いを食べている頃ですね。
二階に上がる前にそっと厨房を覗くと使用人たちが仲睦まじく賄いを食べている姿が目に入った。皆さん、いつもどこか緊張した面持ちで仕事されていたのでこんな表情を見るのは初めてですね。
おっと、いけませんね。覗き見なんて。
それに早く荷物をまとめて馬車に戻らなくては。アーサー殿下とその従者が待っていますからね。
音を立てないように注意しながら、その場をあとにした。
「では、こうしよう。ルーナ嬢は我が国に居るだけで良い。もちろん、国の一大事には力添え願うがそういった事態にならない限りは好きに過ごしてもらって構わない。王宮で過ごすも良し、どこかに屋敷を作って悠々気ままに過ごすも良しだ。金はこちらから出すし、ある程度の自由も許そう。どうだ?かなり譲歩した方だが...」
「願ってもないお話しですが、ソル国はそれで良いのですか?」
私にとって、その話はとても魅力的だ。
国の一大事以外は誰にも命令されず、好きに過ごせる。しかも、お金などはあちらが用意してくれるときた。
だが、それでは私を受け入れたソル国にメリットがない。私を上手く使えば、この大陸を手中に収めることだって可能だ。そんな私を使わなくて良いのだろうか?
「確かにルーナ嬢に命令できず、使えない状態なのは痛い。だが、ルーナ嬢を他の国へ捕られるくらいなら、こっちの方がずっと良い。それにこちらにも十分メリットはある。ルーナ嬢がソル国に居るというだけで他国からすれば十分脅威になり得るし、何より最終手段としてルーナ嬢が居るとなれば、国民もそうだが我々王族や重臣たちもかなり安心できるからな」
なるほど。
そういう考え方も出来るのですね。さすがは王太子殿下様です。
まあ、国の一大事でなくても気が向いたら何かしらの手段でソル国に貢献致しますよ。それにソル国の王族や重臣の皆さんは優秀だと聞きますからね。
「ルーナ嬢、改めて問う。ソル国へ来ないか?」
「うふふっ。断る理由がありませんね」
ソル国は人間族だけではなく様々な種族が一緒に暮らしている国。戦闘能力の高い竜人族や獣人族などが居るからこそ、武力と軍事力が高いとされている。
竜人族に獣人族ですか....一度会ってみたかったのでソル国へ行くのがとても楽しみですね。
「あっ、着いたみたいだね。荷物をまとめたら、このまま真っ直ぐソル国へ向かおう。それで構わないかい?」
「ええ、勿論。では、荷物をまとめて来るので少々お待ちください」
馬車を降りて、屋敷の中へ入ると玄関には誰も居らず、珍しく静かだった。
そういえば、今の時間帯、使用人たちはみんな賄いを食べている頃ですね。
二階に上がる前にそっと厨房を覗くと使用人たちが仲睦まじく賄いを食べている姿が目に入った。皆さん、いつもどこか緊張した面持ちで仕事されていたのでこんな表情を見るのは初めてですね。
おっと、いけませんね。覗き見なんて。
それに早く荷物をまとめて馬車に戻らなくては。アーサー殿下とその従者が待っていますからね。
音を立てないように注意しながら、その場をあとにした。
応援ありがとうございます!
14
お気に入りに追加
5,939
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる