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第二章
アイリスの懇願①
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◇◆◇◆
────同時刻、エーデル公爵家にて。
私はアイリスと共にもてなしの準備や家の後始末を行い、あちこち動き回っていた。
正直物凄く忙しいけど、気が紛れていいわね。
お父様達のことを考えなくて、済む。
まだ心の奥に残っている蟠りや悲しみを思い浮かべ、私は嘆息する。
『でも、本当に辛いのは最期を看取ったアイリスよね』と考える中、使用人より客人の到着を知らされた。
なので、一緒に居たアイリスも引き連れてヴィンセント……とルパート殿下を出迎える。
「突然、来て悪いな」
「いえ、驚きはしましたけど、ルパート殿下ならいつでも大歓迎ですわ」
お世辞でも何でもなく本当にそう思っているため、私は笑顔で応対した。
隣に立つアイリスも、快くルパート殿下の訪問を受け入れて応接室へ案内する。
「どうぞ、お掛けになってください」
三人掛けのソファを手で示し、アイリスは着席を促した。
すると、ヴィンセントとルパート殿下が揃って腰を下ろす。
それに続く形で、私達もソファに座った。
「さてと、早速で申し訳ないけど────用件を聞いてもいいかしら?ヴィンセント」
真向かいに居る婚約者を見据え、私は話を切り出す。
『お互い、何かと忙しいから手短に行きたい』と考えていると、ヴィンセントが手を組んだ。
「もちろんだよ」
おもむろにこちらを見つめ返し、ヴィンセントはスッと目を細める。
「じゃあ、簡潔に言うね────そろそろ、エーデル公爵家を出てクライン公爵家に来てほしい」
「「「!?」」」
私達はハッと息を呑んで固まり、ヴィンセントのことを凝視した。
まさか、そのようなことを言われるとは思ってもなかったため。
『てっきり、仕事関連の話かと……』と動揺する中、ヴィンセントはそっと眉尻を下げる。
と同時に、室内を見回した。
「エーデル公爵家にとって今が大事な時期なのは、重々承知している。そんなときにセシリアが抜けるなんて、かなりの痛手だろう。でも、アイリス嬢はもう何も知らない子供じゃないし、一人でやって行けるんじゃないかな?」
────同時刻、エーデル公爵家にて。
私はアイリスと共にもてなしの準備や家の後始末を行い、あちこち動き回っていた。
正直物凄く忙しいけど、気が紛れていいわね。
お父様達のことを考えなくて、済む。
まだ心の奥に残っている蟠りや悲しみを思い浮かべ、私は嘆息する。
『でも、本当に辛いのは最期を看取ったアイリスよね』と考える中、使用人より客人の到着を知らされた。
なので、一緒に居たアイリスも引き連れてヴィンセント……とルパート殿下を出迎える。
「突然、来て悪いな」
「いえ、驚きはしましたけど、ルパート殿下ならいつでも大歓迎ですわ」
お世辞でも何でもなく本当にそう思っているため、私は笑顔で応対した。
隣に立つアイリスも、快くルパート殿下の訪問を受け入れて応接室へ案内する。
「どうぞ、お掛けになってください」
三人掛けのソファを手で示し、アイリスは着席を促した。
すると、ヴィンセントとルパート殿下が揃って腰を下ろす。
それに続く形で、私達もソファに座った。
「さてと、早速で申し訳ないけど────用件を聞いてもいいかしら?ヴィンセント」
真向かいに居る婚約者を見据え、私は話を切り出す。
『お互い、何かと忙しいから手短に行きたい』と考えていると、ヴィンセントが手を組んだ。
「もちろんだよ」
おもむろにこちらを見つめ返し、ヴィンセントはスッと目を細める。
「じゃあ、簡潔に言うね────そろそろ、エーデル公爵家を出てクライン公爵家に来てほしい」
「「「!?」」」
私達はハッと息を呑んで固まり、ヴィンセントのことを凝視した。
まさか、そのようなことを言われるとは思ってもなかったため。
『てっきり、仕事関連の話かと……』と動揺する中、ヴィンセントはそっと眉尻を下げる。
と同時に、室内を見回した。
「エーデル公爵家にとって今が大事な時期なのは、重々承知している。そんなときにセシリアが抜けるなんて、かなりの痛手だろう。でも、アイリス嬢はもう何も知らない子供じゃないし、一人でやって行けるんじゃないかな?」
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