私に成り代わって嫁ごうとした妹ですが、即行で婚約者にバレました

あーもんど

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第二章

父との戦い②

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 『やっぱり、今は魔法を使えない』という結論に至り、私は唇を引き結ぶ。
己に課せられた矛の役割をこなせないことが、歯痒くて。
『視界さえ、どうにかなれば……』と考えつつ、私は目元に手を当てた。
そして、指の隙間から父の動向を探る。

 もうかなり近くまで、来ているみたいだけど……目視出来る範囲が限られていて、動きを完全に把握出来ない。

「っ……!」

 不意に指の隙間へ砂埃が入り込み、私は目を痛めた。
その瞬間、再び風は止む。
どうやら、ヴィンセントが“混沌を律する剣”の力を使って無効化したようだ。
『でも、また直ぐに次が……』と思案する私を他所に、彼は

「アイリス嬢、魔法を」

 と、指示する。
と同時に、アイリスが小さく息を吸った。

「シャイニング」

 その言葉を合図に、瞼越しでも分かるほど強い光が放たれる。
『これは砂埃関係なく、目を開けられないわね』と考える中、ヴィンセントは私の手を掴んだ。
かと思えば、少し前へ突き出す。

「セシリア、範囲魔法を。たとえ、押し返されても僕が防ぐから」

「わ、分かったわ────ファイアブレス」

 言われるがままに手のひらから高温の炎を放ち、私は当てずっぽうもいいところの範囲攻撃を仕掛けた。
すると、父がすかさず

「ウィンドメンター!」

 強風で高温の炎を押し返す。
肌で感じる温度と熱気が方向変換を告げる中、ヴィンセントは私の手を離した。
その刹那、炎の気配は消滅する。
恐らく、“混沌を律する剣”を前へ突き出し、打ち消したのだろう。

「アイリス嬢、魔法を解除してフランシス卿と共に畳み掛けるんだ」

「了解」

 アイリスは言葉少なに応じると、直ぐさま光を散らした。
正常に戻った視界を前に、彼女は剣と鞭を構えて駆け出す。
無論、祖父も一緒に。

「っ……!」

 元々距離が近かったこともあり、父はもう目と鼻の先に居るアイリスと祖父にたじろいだ。
今から詠唱しても発動が間に合わないのは、明白なので。

 勝負あったわね。

 目に入った砂埃を取り除きつつ、私はアイリスと祖父の背中を見つめる。
────と、ここで二人が父に強烈な一撃をそれぞれお見舞いした。

「ぐっ……!」
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