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第二章
メリッサ皇妃殿下の最期《エレン side》③
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「息子、に……こんな、こと……言わ、せる……なんて……私……最、低だわ」
絞り出すような声で懺悔し、メリッサ皇妃殿下は少しだけ顔を上げた。
真っ赤な瞳に、反省と後悔を滲ませて。
「今やっ、と……分かっ、た気が……する……わた、し……の行いが……ど、れほど……おろ、か……だったか……」
我が母の悲願とマーティンの謝罪……その二つを受けて、メリッサ皇妃殿下はようやく己の間違いを認めた。
血と涙で、グチャグチャの顔になりながら。
「最後になっ、て……こん、な……大切な、ことに……気づく、なんて……ほん、と……どうしようも、ない……」
自分の人間性を嘆きつつ、メリッサ皇妃殿下は自嘲気味に笑う。
が、直ぐに表情を引き締めた。
「もう……謝っ、て済む……問題、じゃ……ない、けど……謝ら、せて……ほし、い……」
最後の力を振り絞ってこちらに手を伸ばし、メリッサ皇妃殿下は私の足に触れる。
その瞬間、全身から力が抜けたようで再び地面に顔を伏せた。
「ごめん、なさい……本当に……ごめ……なさ……」
不意に声が途切れ、メリッサ皇妃殿下はピクリとも動かなくなる。
……どうやら、あちらの世界へ旅立ってしまったようだね。
ちゃんとマーティンや母上に、会えているといいけど。
だんだん冷たくなっていくメリッサ皇妃殿下の遺体を前に、私は一つ息を吐いた。
なんだか、肩の荷が降りたような感覚を覚えて。
『やっと、決着がついたんだ』と目を細め、ここ十数年に渡る長い長い戦いを振り返る。
正直、まだ二人のことを許せる気がしないけど……最後にメリッサ皇妃殿下から謝罪を聞けて、気が晴れたよ。
少なくとも、もう恨みや憎しみは残っていない。
なんか吹っ切れたような気持ちになりながら、私は手を組んだ。
と同時に、祈りを捧げる。
どうか安らかに眠ってほしい、と。
「────さて、それじゃあ皇城に帰還しようか」
前公爵がまだ暴れている可能性を考慮し、私は早々に撤収を命じた。
場合によっては、助太刀しないといけないため。
『今日は長い夜はなりそうだ』と予感しつつ、私は満月を見上げた。
絞り出すような声で懺悔し、メリッサ皇妃殿下は少しだけ顔を上げた。
真っ赤な瞳に、反省と後悔を滲ませて。
「今やっ、と……分かっ、た気が……する……わた、し……の行いが……ど、れほど……おろ、か……だったか……」
我が母の悲願とマーティンの謝罪……その二つを受けて、メリッサ皇妃殿下はようやく己の間違いを認めた。
血と涙で、グチャグチャの顔になりながら。
「最後になっ、て……こん、な……大切な、ことに……気づく、なんて……ほん、と……どうしようも、ない……」
自分の人間性を嘆きつつ、メリッサ皇妃殿下は自嘲気味に笑う。
が、直ぐに表情を引き締めた。
「もう……謝っ、て済む……問題、じゃ……ない、けど……謝ら、せて……ほし、い……」
最後の力を振り絞ってこちらに手を伸ばし、メリッサ皇妃殿下は私の足に触れる。
その瞬間、全身から力が抜けたようで再び地面に顔を伏せた。
「ごめん、なさい……本当に……ごめ……なさ……」
不意に声が途切れ、メリッサ皇妃殿下はピクリとも動かなくなる。
……どうやら、あちらの世界へ旅立ってしまったようだね。
ちゃんとマーティンや母上に、会えているといいけど。
だんだん冷たくなっていくメリッサ皇妃殿下の遺体を前に、私は一つ息を吐いた。
なんだか、肩の荷が降りたような感覚を覚えて。
『やっと、決着がついたんだ』と目を細め、ここ十数年に渡る長い長い戦いを振り返る。
正直、まだ二人のことを許せる気がしないけど……最後にメリッサ皇妃殿下から謝罪を聞けて、気が晴れたよ。
少なくとも、もう恨みや憎しみは残っていない。
なんか吹っ切れたような気持ちになりながら、私は手を組んだ。
と同時に、祈りを捧げる。
どうか安らかに眠ってほしい、と。
「────さて、それじゃあ皇城に帰還しようか」
前公爵がまだ暴れている可能性を考慮し、私は早々に撤収を命じた。
場合によっては、助太刀しないといけないため。
『今日は長い夜はなりそうだ』と予感しつつ、私は満月を見上げた。
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