私に成り代わって嫁ごうとした妹ですが、即行で婚約者にバレました

あーもんど

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第二章

祖父の所在④

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「ヴィンセント、せめてルパート殿下には助力をお願いした方が……」

 堪らず異論を唱える私に対し、ヴィンセントは小さく首を横に振る。

「いや、ルパート殿下はあちらに割り当てた方がいい。前公爵の鎮圧では、基本的に遠距離攻撃をメインにして戦うから。接近戦を得意とするルパート殿下では、ちょっと相性が悪い」

「い、言われてみれば確かにそうね」

 『適材適所』という言葉を脳裏に思い浮かべ、私は納得を示した。
と同時に、ヴィンセントはエレン殿下やルパート殿下の方へ目を向ける。

「僕はこのように考えていますが、殿下達はどう思いますか?」

「異論はないよ。むしろ、有り難いね。ルパートが居てくれれば、マーティン達の反撃に遭っても安心だから」

「私はヴィンセント側の戦力が足りているなら、この采配で構わない」

 エレン殿下もルパート殿下も、わりとすんなりヴィンセントの提案を受け入れた。
────と、ここでロジャー皇帝陛下が顔を上げる。

「では、その役割分担で行くとしよう。して、皇城の警備は誰が請け負う?」

 残ったメンバー全員がマーティン殿下とメリッサ皇妃殿下の確保に当たっていたら、皇城を切り盛りする人物が居なくなるため、ロジャー皇帝陛下は留守番役を決めようと持ち掛けた。
すると、ルパート殿下が真っ先に手を上げてこう言う。

「自分には、無理です。勝手がよく分からないので」

 最近こちらに戻ってきたばかりで、知識・経験ともに不足しているルパート殿下は素直に辞退を申し出た。
これには、皆『しょうがない』と理解を示す。
さすがに右も左も分からない初心者へ割り振れるような仕事では、ないため。
『最悪、城の守りが崩壊する』と思案する中、エレン殿下はチラリとロジャー皇帝陛下の顔色を窺った。

「私は一通りの業務をこなせますが、まだまだ若輩者なのでここは父上にお願いしたく……」

 第二皇子派の粛清は自分の役目という意識があるからか、それとも報復する機会を奪われるのが嫌なのか、エレン殿下はやんわり警備を断る。
『慣れている父上に任せるのが、一番』と説く彼を前に、ロジャー皇帝陛下は手を組んだ。

「分かった。では、マーティンとメリッサの確保は頼んだぞ」

 皇城の警備を快く引き受け、ロジャー皇帝陛下は席を立つ。
と同時に、真っ直ぐ前を見据えた。

「会議はこれでお開きだ。より詳しい話し合いは、各自で行ってくれ」
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