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第二章

解決の糸口②

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「勝手に話を進めてごめんね、セシリア、アイリス嬢。『役割分担の方向で行こう』と決めたのが、今朝でさ。二人に連絡する暇が、なかったんだ」

 事前に報告・相談出来なかったことを侘びるヴィンセントに、私とアイリスは首を横に振る。

「謝らないで、ヴィンセント。確かに驚きはしたけど、特に不満はないから」

「それに予め知らされていたとしても、『そうですか』と相槌を打つだけだったでしょうし」

 『特段問題はない』ということを強調し、アイリスは少しばかり身を乗り出した。

「それより、先程言っていた『解決の糸口』とは何ですか?」

 真剣な面持ちで前を見据え、アイリスは詳しく説明するよう求める。
神殿関係だからか、気になってしょうがない様子。
『上手く行けば、お継母様の仇を取れるものね』と考える中、ヴィンセントはルパート殿下に視線を向けた。
かと思えば、どちらからともなく頷き合う。

「実は今日の早朝、神殿を探らせていた部下から連絡があってね────大量の孤児を使って、何かの実験をしていることが判明した」

「「!?」」

 私とアイリスはこれでもかというほど大きく目を見開き、固まった。
だって、孤児を使った実験なんて……絶対ろくでもないことだから。
『世間に公表せず、こっそりやっている時点で怪しいし……』と思いつつ、表情を強ばらせる。

「お継母様の話から孤児が酷い扱いを受けているのは知っていたけど、まさかそんなことまでしていたなんて……」

 怒りとも悲しみとも取れる感情を抱き、私は唇を噛み締めた。
と同時に、ヴィンセントが小さく息を吐く。

「正直、気分のいい話じゃないよね。でも、実験の証拠を掴むことが出来れば神殿を一気に追い詰められる」

「狩猟大会の件だけでは対抗する材料に弱かったから、ある意味ちょうどいい。神殿を徹底的に糾弾して、子供を救うぞ」

 ルパート殿下は確かな意志と覚悟を持って宣言し、グッと手を握り締めた。
青い瞳に僅かな怒りを宿す彼の前で、私とアイリスは

「「はい」」

 と、返事する。
神殿に憤る気持ちは、同じだったので。
『こんなの絶対に許せない』と奮い立つ中、ヴィンセントはパンッと手を叩いた。

「今後は実験の調査に注力する事となる。実際に動くのは僕の部下だけど、神殿を糾弾する際はセシリア達の力も借りるかもしれないから心構えだけしておいて」

 『それまでは待機』と言い渡し、ヴィンセントは席を立つ。

「それじゃあ、今日のところは解散しよう」

 ────という言葉を合図に、私達はそれぞれ家路についた。
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