私に成り代わって嫁ごうとした妹ですが、即行で婚約者にバレました

あーもんど

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第一章

どの派閥に入るか②

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「────後悔のない選択をするんじゃないの。その選択を後悔しないよう、これからたくさん頑張るの」

 『順序が逆』と主張し、私はアイリスの肩を掴む。
と同時に、顔を覗き込んだ。

「そのための知識や技術はもう持っている。権力もお金も地位も十二分にあるわ。だから、選択を躊躇わないで。貴方なら、きっと────どれを選んでも、悔いの残らない結果にする・・わ」

 アイリス自身の手でどうとでも出来るんだと背中を押し、私はふわりと柔らかく微笑む。
すると、彼女はアメジストの瞳に強い意志強い光を宿した。

「悔いの残らない結果にする……」

 譫言のようにそう呟き、アイリスは勢いよく顔を上げる。
迷いが吹っ切れた様子の彼女は、晴れやかな表情を見せた。
かと思えば、素早く席を立つ。

「決めました。私は────第三皇子の派閥に入ります。ルパート殿下を支持します」

 力強い口調でそう宣言し、アイリスは真っ直ぐに前を見据えた。
その視線の先には、黙ってお茶を飲んでいたルパート殿下の姿が。
アイリスの視線に気がつくと、彼はそっとティーカップを置いた。
どことなく真剣な雰囲気を漂わせ、おもむろに立ち上がる。

「私はエーデル公爵家を……いや、アイリス嬢を歓迎する。これからは師弟としてだけでなく、仲間としてもよろしく頼む」

 そう言って手を差し出すルパート殿下に、アイリスは『はい』と大きく頷いた。
と同時に、握手を交わす。
男女のソレというより男の熱い友情に近いやり取りを前に、私は苦笑を漏らした。

 何はともあれ、これで全員の足並みが揃ったわね。

 『良かった、良かった』と安堵する中、アイリスとルパート殿下は再度ソファへ腰を下ろす。
────と、ここでヴィンセントが手を挙げた。

「じゃあ、狩猟大会の話に戻りたいんだけど────エーデル公爵家は狩りに参加する?それとも、欠席?」

 今回ここへ集まった、そもそもの原因────狩りの強要。
またの名を、第二皇子からの無茶ぶり嫌がらせともいう。

「狩猟大会そのものの出席は避けられないと思うから、狩りの参加を見送るならちょっと覚悟しておいた方がいいと思う。第二皇子は執念深い性格だからね」

「もちろん、極力庇うつもりだが……私もヴィンセントも狩りに参加する予定だから、ずっと一緒には居てやれない」

 狩猟大会の最中はほぼ別行動になることを説明し、ルパート殿下は目頭を押さえた。
『どうにか出来ればいいんだが……』と零す彼を前に、アイリスは────

「参加しないと文句を言われるなら、私が参加します」

 ────と、名乗り出る。
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