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第一章
魔法の講義②
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「ただ、守護精霊にも出来ないことはたくさんあるから、何でも願いを叶えてくれるような存在じゃないわよ。属性に当てはまらないことは基本出来ないし……」
「属性って?」
「あぁ、その説明がまだだったわね。属性というのは、精霊の持つ元素のこと。主に火水風土の四つあって、ソレに当てはまる魔法しか使えないわ。簡単に言うと、火属性の精霊が水を生み出したり風を起こしたりすることは出来ないってこと」
『守護精霊とて、万能じゃないんだ』と教えると、アイリスは納得したように頷く。
と同時に、チラリとこちらを見た。
「じゃあ、お姉様の守護精霊の属性は火?」
「そうよ」
「他にはないの?」
「ないわ。基本、守護精霊は一つの属性しか持ち合わせていないし。あぁ、でもたまに守護精霊を複数体従えている魔導師は居るわね」
『それで複数の属性を使えることはある』と説明し、私は小脇に抱えた本を胸あたりまで持ち上げる。
「説明はここら辺にして、実践へ移りましょうか」
「いいけど、私の守護精霊の属性は何なのか分かっているの?」
「分からないわ。だからこそ、実際に試してみるの。百聞は一見にしかずと言うでしょう?」
各属性の簡単な魔法が載った本を差し出し、私は『ほら、唱えてみて』と促す。
アイリスはまだ精霊語を習っていないが、きちんと読み方も書いてあるため問題ないだろう。
『分かった』と言って素直に本を受け取る彼女は、パラパラと本のページを捲った。
「ねぇ、お姉様。一つ聞きたいことがあるんだけど」
「何?」
『まだ説明していないことがあったか?』なんて思いながら、私は話の先を促す。
すると、アイリスは控えめにこちらを見つめた。
「どうして、入れ替わりの時────魔法を使って、抵抗しなかったの?」
『あの炎を使えば、逃げられたかもしれないのに』と零し、アイリスは一つ目の呪文を唱える。
が、不発。
『そう上手くはいかないか』と切り替えて次のページを捲る彼女の前で、私はそっと目を伏せた。
「炎なんて使ったら、危ないからよ。最悪、死人が出ていたかもしれないし……」
一酸化中毒や火傷の危険性を示唆し、私はギュッと手を握り締める。
と同時に、大きく息を吐いた。
「というのは建前で、本音は────さすがのお父様もそこまでしないだろう、と信じたかったからよ。あと、突然のことで動揺してしまい、咄嗟に動けなかったのもあるわね」
『家宝が出てきた時は本当に驚いたから』と肩を竦め、私は空を見上げる。
今も城で厳しい尋問を受けているであろう、父の姿を思い浮かべながら。
「結局、家族としての情を捨て切れなかったのよね」
「属性って?」
「あぁ、その説明がまだだったわね。属性というのは、精霊の持つ元素のこと。主に火水風土の四つあって、ソレに当てはまる魔法しか使えないわ。簡単に言うと、火属性の精霊が水を生み出したり風を起こしたりすることは出来ないってこと」
『守護精霊とて、万能じゃないんだ』と教えると、アイリスは納得したように頷く。
と同時に、チラリとこちらを見た。
「じゃあ、お姉様の守護精霊の属性は火?」
「そうよ」
「他にはないの?」
「ないわ。基本、守護精霊は一つの属性しか持ち合わせていないし。あぁ、でもたまに守護精霊を複数体従えている魔導師は居るわね」
『それで複数の属性を使えることはある』と説明し、私は小脇に抱えた本を胸あたりまで持ち上げる。
「説明はここら辺にして、実践へ移りましょうか」
「いいけど、私の守護精霊の属性は何なのか分かっているの?」
「分からないわ。だからこそ、実際に試してみるの。百聞は一見にしかずと言うでしょう?」
各属性の簡単な魔法が載った本を差し出し、私は『ほら、唱えてみて』と促す。
アイリスはまだ精霊語を習っていないが、きちんと読み方も書いてあるため問題ないだろう。
『分かった』と言って素直に本を受け取る彼女は、パラパラと本のページを捲った。
「ねぇ、お姉様。一つ聞きたいことがあるんだけど」
「何?」
『まだ説明していないことがあったか?』なんて思いながら、私は話の先を促す。
すると、アイリスは控えめにこちらを見つめた。
「どうして、入れ替わりの時────魔法を使って、抵抗しなかったの?」
『あの炎を使えば、逃げられたかもしれないのに』と零し、アイリスは一つ目の呪文を唱える。
が、不発。
『そう上手くはいかないか』と切り替えて次のページを捲る彼女の前で、私はそっと目を伏せた。
「炎なんて使ったら、危ないからよ。最悪、死人が出ていたかもしれないし……」
一酸化中毒や火傷の危険性を示唆し、私はギュッと手を握り締める。
と同時に、大きく息を吐いた。
「というのは建前で、本音は────さすがのお父様もそこまでしないだろう、と信じたかったからよ。あと、突然のことで動揺してしまい、咄嗟に動けなかったのもあるわね」
『家宝が出てきた時は本当に驚いたから』と肩を竦め、私は空を見上げる。
今も城で厳しい尋問を受けているであろう、父の姿を思い浮かべながら。
「結局、家族としての情を捨て切れなかったのよね」
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