26 / 177
第一章
食事会①
しおりを挟む
◇◆◇◆
────ヴィンセントとの再会から、早二週間。
彼は早速行動を起こしたようだ。
「親睦を深めることを目的にした、食事会だと!?あやつはまた面倒なことを……!」
ヴィンセントから届いた招待状を机に叩きつけ、父は額に青筋を浮かべた。
「しかも、皇帝陛下と第三皇子も同席させるなんて……!」
『両家の親族だけで充分だろ!』と吐き捨て、父は忌々しげに招待状を睨みつける。
でも、皇族も参加する以上欠席する訳にはいかないのか、破り捨てることはなかった。
ただヴィンセントの思惑通りに行くのが、面白くないだけだろう。
恐らく、陛下をお呼びしたのは今回の結婚の立役者だからだろう。
────というのは半分建前で、本件の証人になってもらうためかな?
公爵家同士のいざこざとなると、皇族くらいしか仲裁出来ないし。
『第三皇子の参加理由に関してはサッパリ分からないけど』と肩を竦め、退室するタイミングを窺う。
私は大事な書類を届けに来ただけだから。
この場に居合わせたのは、本当にたまたま。
『八つ当たりされる前に帰りたいなぁ』と思案していると、父がふとこちらを見る。
あっ、不味い……気づかれた。
『怒鳴り散らされるかも……』と身構える中、父は小さく舌打ちする。
「……アイリス、来週クライン公爵家主催の食事会へ参加することになった。準備しておけ」
「えっ?私もですか?」
「ああ。親族の顔合わせも兼ねた食事会らしいからな。妹であるお前を欠席させたら、セシリアの顔が潰れる」
渋々といった雰囲気を漂わせながらも、父は同席を許可した。
『陛下も参加するなら、しょうがない』とブツブツ呟き、席を立つ。
「無論、余計なことはするな。まあ、させるつもりもないが」
────と、釘を刺された一週間後。
私は藍色のドレスに身を包んで、クライン公爵家を訪れた。
『ここに来るのも久しぶりね』と懐かしい気分になっていると、食堂へ通される。
そこには、もうヴィンセントとセシリアたるアイリスの姿が。
「ようこそお越しくださいました、エーデル公爵家の皆さん。どうぞ、お掛けになってください」
────ヴィンセントとの再会から、早二週間。
彼は早速行動を起こしたようだ。
「親睦を深めることを目的にした、食事会だと!?あやつはまた面倒なことを……!」
ヴィンセントから届いた招待状を机に叩きつけ、父は額に青筋を浮かべた。
「しかも、皇帝陛下と第三皇子も同席させるなんて……!」
『両家の親族だけで充分だろ!』と吐き捨て、父は忌々しげに招待状を睨みつける。
でも、皇族も参加する以上欠席する訳にはいかないのか、破り捨てることはなかった。
ただヴィンセントの思惑通りに行くのが、面白くないだけだろう。
恐らく、陛下をお呼びしたのは今回の結婚の立役者だからだろう。
────というのは半分建前で、本件の証人になってもらうためかな?
公爵家同士のいざこざとなると、皇族くらいしか仲裁出来ないし。
『第三皇子の参加理由に関してはサッパリ分からないけど』と肩を竦め、退室するタイミングを窺う。
私は大事な書類を届けに来ただけだから。
この場に居合わせたのは、本当にたまたま。
『八つ当たりされる前に帰りたいなぁ』と思案していると、父がふとこちらを見る。
あっ、不味い……気づかれた。
『怒鳴り散らされるかも……』と身構える中、父は小さく舌打ちする。
「……アイリス、来週クライン公爵家主催の食事会へ参加することになった。準備しておけ」
「えっ?私もですか?」
「ああ。親族の顔合わせも兼ねた食事会らしいからな。妹であるお前を欠席させたら、セシリアの顔が潰れる」
渋々といった雰囲気を漂わせながらも、父は同席を許可した。
『陛下も参加するなら、しょうがない』とブツブツ呟き、席を立つ。
「無論、余計なことはするな。まあ、させるつもりもないが」
────と、釘を刺された一週間後。
私は藍色のドレスに身を包んで、クライン公爵家を訪れた。
『ここに来るのも久しぶりね』と懐かしい気分になっていると、食堂へ通される。
そこには、もうヴィンセントとセシリアたるアイリスの姿が。
「ようこそお越しくださいました、エーデル公爵家の皆さん。どうぞ、お掛けになってください」
67
お気に入りに追加
1,658
あなたにおすすめの小説
婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!
ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。
え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!!
それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?
さよなら私の愛しい人
ペン子
恋愛
由緒正しき大店の一人娘ミラは、結婚して3年となる夫エドモンに毛嫌いされている。二人は親によって決められた政略結婚だったが、ミラは彼を愛してしまったのだ。邪険に扱われる事に慣れてしまったある日、エドモンの口にした一言によって、崩壊寸前の心はいとも簡単に砕け散った。「お前のような役立たずは、死んでしまえ」そしてミラは、自らの最期に向けて動き出していく。
※5月30日無事完結しました。応援ありがとうございます!
※小説家になろう様にも別名義で掲載してます。
婚約解消は君の方から
みなせ
恋愛
私、リオンは“真実の愛”を見つけてしまった。
しかし、私には産まれた時からの婚約者・ミアがいる。
私が愛するカレンに嫌がらせをするミアに、
嫌がらせをやめるよう呼び出したのに……
どうしてこうなったんだろう?
2020.2.17より、カレンの話を始めました。
小説家になろうさんにも掲載しています。
(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・
青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。
「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」
私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる