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本編
誓い③
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「だから────」
先程のセリフにはまだ続きがあるのか、夫は言葉を紡ぐ。
真っ直ぐ、こちらを見据えながら。
「────今、ここで仕切り直させてくれ」
「……はい?」
全く予想だにしなかった方向へ話が転がり、私は目を白黒させる。
『仕切り直すって……誓いの言葉を?』と困惑する私を前に、夫はこちらへ向かってきた。
かと思えば、私の前で足を止める。
「夫婦という関係を、きちんと始めたい」
そう言うが早いか、夫は私の手をそっと持ち上げた。
「私ヘレス・ノーチェ・ラニットは────健やかなる時も病める時もレイチェル・プロテア・ラニットを愛し、敬い、その命ある限り真心を尽くすことを誓う」
真剣な声色で一語一語しっかり発音し、夫はスッと目を細める。
赤い瞳に強い意志と覚悟を宿す彼の前で、私は放心した。
まさか、本当に誓いの言葉を口にしてくれるとは思わなくて。
旦那様は決して、嘘をつかない……それはこれまでの経験から、断言出来る。
だから、この誓いは間違いなく────彼の本心。
『旦那様も同じ気持ちなんだ』と悟った途端、私は肩の力を抜いた。
拍子抜けするほど都合のいい展開に、歓喜よりも安堵してしまって。
これから、どうやって彼に接して行けばいいのか分からなかった分、余計に。
でも、直ぐにジワジワと熱が……幸福感が胸へ広がっていき、頬を緩める。
「私も……レイチェル・プロテア・ラニットも、誓います。健やかなる時も病める時もヘレス・ノーチェ・ラニットを愛し、敬い、その命ある限り真心を尽くすことを」
────不器用で無愛想だけど、誰より義理堅くて真っ直ぐな貴方が好きだから。
誠実な人柄にどんどん惹かれていったことを思い浮かべ、私は穏やかに微笑んだ。
すると、彼は優しく手を引いて私を立ち上がらせる。
と同時に、少しばかり身を屈めた。
「では、これで私達は正真正銘の夫婦だ」
そう言って、夫はもう一方の手で私の顎を掴み上げ、唇を重ねる。
『誓いのキス』という言葉が脳裏を過ぎる中、彼はおもむろに身を起こした。
「プレゼントの件はレイチェルの要望通り、白紙に戻す。それでいいな?」
「あっ、はい」
両想いだった事実に気を取られすぎて、当初の目的をすっかり忘れていたわ。
まあ、無事に解決したのだから別にいいでしょう。
などと考えていると、夫がじっとこちらを見つめる。
「ところで、このあと予定はあるのか?」
「いえ、特には」
「そうか。なら────もう少しゆっくりして行くといい」
また直ぐに自室へ戻ることを察知したのか、夫は引き止めてきた。
今まで、こんなことなかったのに。
旦那様なりに精一杯、愛情表現してくれているのかしら?
だとしたら、素直に嬉しいわ。
何とも言えない幸福感に包まれ、私は自然と笑みを零す。
繋いだ手を握り返しながら。
「お邪魔じゃなければ、是非」
赤い瞳を真っ直ぐ見つめ、私はうんと目を細めた。
✄-------------------‐-------------------‐------✄
本作はこれにて、完結となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!┏○ペコッ
あれこれ悩みながら書いた作品なので、多くの方に読んでいただき、また感想・ハート・お気に入り登録・エールなども頂けて感無量です!
本当にありがとうございます!
それでは、本作の裏話(というか、主にヘレスの行動の補足?)を書いていきますね。
・ヘレスが結婚式と初夜をすっぽかしたのは、レイチェルを休ませるためだった
→結婚式でレイチェルの顔(クマが酷い)を見て、『こいつ、今にも死にそうじゃないか?』と思い、わざと自分に非がある形で中止にした。
『新婦の具合が悪そうだから』なんて言うと、レイチェルの責任になってしまうため。
・最初、レイチェルを別邸に住まわせていたのは多少警戒していたから
→やっぱり、駆け落ちしたクラリスの妹なので『こいつも何かやらかすのでは?』と少し不安になっていた。
だから、しばらく様子を見て何事もなければ本邸へ招き入れる予定だった。
・ヘレスがデニスをあの程度の怪我で許したのは、シャノンにお願いされたからというのもあるが、一番はレイチェルのため
→物語序盤でレイチェルが『人を死ぬところは見たくない』云々と言っていたのを思い出し、手加減することにした。
本作の裏話は、これで以上になります。
少しでも『へぇー!あれって、こういう事だったのか!面白い!』と思っていただけたら、幸いです!
それでは、改めまして……
本作を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
また気が向いた時にでも、レイチェル達の物語を……いえ、ヘレスの不器用すぎる溺愛を見に来ていただけますと幸いです┏○ペコッ
先程のセリフにはまだ続きがあるのか、夫は言葉を紡ぐ。
真っ直ぐ、こちらを見据えながら。
「────今、ここで仕切り直させてくれ」
「……はい?」
全く予想だにしなかった方向へ話が転がり、私は目を白黒させる。
『仕切り直すって……誓いの言葉を?』と困惑する私を前に、夫はこちらへ向かってきた。
かと思えば、私の前で足を止める。
「夫婦という関係を、きちんと始めたい」
そう言うが早いか、夫は私の手をそっと持ち上げた。
「私ヘレス・ノーチェ・ラニットは────健やかなる時も病める時もレイチェル・プロテア・ラニットを愛し、敬い、その命ある限り真心を尽くすことを誓う」
真剣な声色で一語一語しっかり発音し、夫はスッと目を細める。
赤い瞳に強い意志と覚悟を宿す彼の前で、私は放心した。
まさか、本当に誓いの言葉を口にしてくれるとは思わなくて。
旦那様は決して、嘘をつかない……それはこれまでの経験から、断言出来る。
だから、この誓いは間違いなく────彼の本心。
『旦那様も同じ気持ちなんだ』と悟った途端、私は肩の力を抜いた。
拍子抜けするほど都合のいい展開に、歓喜よりも安堵してしまって。
これから、どうやって彼に接して行けばいいのか分からなかった分、余計に。
でも、直ぐにジワジワと熱が……幸福感が胸へ広がっていき、頬を緩める。
「私も……レイチェル・プロテア・ラニットも、誓います。健やかなる時も病める時もヘレス・ノーチェ・ラニットを愛し、敬い、その命ある限り真心を尽くすことを」
────不器用で無愛想だけど、誰より義理堅くて真っ直ぐな貴方が好きだから。
誠実な人柄にどんどん惹かれていったことを思い浮かべ、私は穏やかに微笑んだ。
すると、彼は優しく手を引いて私を立ち上がらせる。
と同時に、少しばかり身を屈めた。
「では、これで私達は正真正銘の夫婦だ」
そう言って、夫はもう一方の手で私の顎を掴み上げ、唇を重ねる。
『誓いのキス』という言葉が脳裏を過ぎる中、彼はおもむろに身を起こした。
「プレゼントの件はレイチェルの要望通り、白紙に戻す。それでいいな?」
「あっ、はい」
両想いだった事実に気を取られすぎて、当初の目的をすっかり忘れていたわ。
まあ、無事に解決したのだから別にいいでしょう。
などと考えていると、夫がじっとこちらを見つめる。
「ところで、このあと予定はあるのか?」
「いえ、特には」
「そうか。なら────もう少しゆっくりして行くといい」
また直ぐに自室へ戻ることを察知したのか、夫は引き止めてきた。
今まで、こんなことなかったのに。
旦那様なりに精一杯、愛情表現してくれているのかしら?
だとしたら、素直に嬉しいわ。
何とも言えない幸福感に包まれ、私は自然と笑みを零す。
繋いだ手を握り返しながら。
「お邪魔じゃなければ、是非」
赤い瞳を真っ直ぐ見つめ、私はうんと目を細めた。
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本作はこれにて、完結となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!┏○ペコッ
あれこれ悩みながら書いた作品なので、多くの方に読んでいただき、また感想・ハート・お気に入り登録・エールなども頂けて感無量です!
本当にありがとうございます!
それでは、本作の裏話(というか、主にヘレスの行動の補足?)を書いていきますね。
・ヘレスが結婚式と初夜をすっぽかしたのは、レイチェルを休ませるためだった
→結婚式でレイチェルの顔(クマが酷い)を見て、『こいつ、今にも死にそうじゃないか?』と思い、わざと自分に非がある形で中止にした。
『新婦の具合が悪そうだから』なんて言うと、レイチェルの責任になってしまうため。
・最初、レイチェルを別邸に住まわせていたのは多少警戒していたから
→やっぱり、駆け落ちしたクラリスの妹なので『こいつも何かやらかすのでは?』と少し不安になっていた。
だから、しばらく様子を見て何事もなければ本邸へ招き入れる予定だった。
・ヘレスがデニスをあの程度の怪我で許したのは、シャノンにお願いされたからというのもあるが、一番はレイチェルのため
→物語序盤でレイチェルが『人を死ぬところは見たくない』云々と言っていたのを思い出し、手加減することにした。
本作の裏話は、これで以上になります。
少しでも『へぇー!あれって、こういう事だったのか!面白い!』と思っていただけたら、幸いです!
それでは、改めまして……
本作を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
また気が向いた時にでも、レイチェル達の物語を……いえ、ヘレスの不器用すぎる溺愛を見に来ていただけますと幸いです┏○ペコッ
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