駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

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本編

帰還と突撃《クラリス side》②

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「私、話をしに行ってくる!」

 妹の一大事ということで居ても立ってもいられず、私は部屋を飛び出す。
後ろからウィルに呼び止められたような気がするが……気にせず、歩を進めた。
そして、実家に直行すると、早速両親に抗議を行う。

「何故、レイチェルをあんな男の元へ嫁がせたんですか!」

 人目も憚らず両親に詰め寄り、私は思い切り目を吊り上げた。
すると、父は目を白黒させる。

「なっ……!?あんな男とは、なんだ……!」

「帰ってきて、一番に言うことがそれなの!?」

 『もっと他にあるでしょう!』と叱り、母は私の肩を掴んだ。
爪が食い込むほど、強く。
いつも温和で、人を傷つけることなんてないのに。

「私達、ずっと貴方のことを心配していたのよ!?今まで、どこに行っていたの!?」

 怒ったような……でも泣きそうな声で責め立て、母は顔を歪めた。
珍しく感情をぶつけてくる彼女の前で、私は一瞬怯む。
が、エントランスに飾られた家族の絵画を見て奮起した。
大切な妹をあんな男のところに置いておく訳にはいかない、と。

「話を逸らさないでください!何でレイチェルをあそこへ嫁がせたんですか!」

 『私のことは今、どうでもいい!』と主張し、話を元へ戻す。
と同時に、母が何か文句を言おうとするものの……それよりも早く、父が口を開いた。

「先方からの要請だ。レイチェルも承知の上で、結婚している。だから、この件ではもう騒がないでくれ。レイチェルの立場を思うなら、尚更」

 『我々が手を出しても、今より良くなることはない』と告げ、父はそっと目を伏せる。
どこか思い詰めたような表情を浮かべる彼の前で、私は奥歯を噛み締めた。
まるで、レイチェルを心配する気持ちが否定されたような気がして。

「なに、それ……!不幸になるレイチェルを黙って見ていろ、と言うのですか!?」

 感情のままに怒鳴り散らし、私は肩に載ったままの母の手を払い除ける。

「もういいです!私があの男と直接、話をつけてきます!」

 『お父様達と話していても、埒が明かない!』と判断し、私は踵を返す。
────が、母に腕を掴まれ、父に行く手を阻まれ、使用人に玄関の扉を閉ざされ……私は家を出られなかった。
『ちょっ……何を!』と喚く私を前に、父は顔を上げる。

「クラリス、しばらく部屋で頭を冷やしなさい」
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