肉月〜ニクツキ

白井智之

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肉月~ニクツキ20

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悠と宗助が、公園を離れた後、しばらくして。
悠たちが見た二人の男達も、行為を終えたのか、
公園から出て来るところだった。
背が高く、身体の大きな太った男が電灯に照らされる。
金の短髪に、片耳にピアス。
若干の童顔だったが、少しヤンチャな印象。
年齢はやはり悠たちと同じ高校生だろう。

「お前って本当にとんでもない変態だよな。佐伯。」

佐伯と呼ばれた、もう一人のデブ少年。
キレイな肌だが唇が厚く、目つきが悪い彼を
多くの人間は「不細工で性格の悪そうなデブ」と見るだろう。
丸い身体で、制服のネクタイを整えながら歩いている。

「池田もけっこう変態になったと思うけど…。」

池田と呼ばれた背の高いヤンチャなデブ少年は
佐伯の言葉に目を丸くしながら言う。

「いやいや…俺は言わねぇぞ?同じ学校のヤツに、見られながらヤりたいなんて。」

佐伯はまだネクタイが気になるらしく、
短い首の根元に手をやってネクタイを緩めたり、
締めたりしている。

「羞恥プレイ…その中でも、わりとポピュラーなタイプだよ。…でも結構、愉しかったな。」

佐伯がそう言い終えた時、
公園の出口に一台のリムジンが止まる。
黒服の運転手が素早く現れて、後部座席のドアを開けた。
池田と佐伯が何も言わずに車に乗り込む。
そしてリムジンは静かに走り始めた。


翌日の学校。昼休みの時間。
教室の窓から曇った空を見上げる悠。
昨日の宗助が言った、同性愛を嫌悪した言葉が
胸に刺さった棘のように、悠を苦しめていた。

【宗助くんはやっぱり男なんて興味ないよなぁ…】

そんな事で悩んでいると、
宗助のいる教室にいる事が辛くなってきた悠は
教室の外へと、あてもなく歩き始めた。
生徒達が立ち話をしている廊下や、
うるさい体育館を避け、静かな屋外へと向かう為に
玄関へと向かう。
すると、そこには小さくて丸い身体をした桜井が
身体の大きな生徒を勧誘している姿があった。
しかし、どうやら断られたところだったらしい。

「あ、田中クン。こんにちわぁ。」

先日、初めて卑猥な行為をしてしまった相手である
桜井に対して、悠は少しだけ戸惑いを感じていた。
だが、桜井が相変わらずの可愛らしく、明るい笑顔なので
漠然とした不安や抵抗はすぐに消えた。

「こ、こんにちわ、桜井先輩…」

そんな悠の様子を見て、
すぐに桜井は首をかしげる。

「ん~?何かあったのかなぁ?元気ないねぇ?そうだ、お兄さんに話してごらん?」

そういうと、床タイルの上に胡坐をかいて座った。
その姿も小さくて、コロコロとしているので可愛らしい。
桜井は悠にも座るように、床をポンポンと叩く。
だが、身体を重ねた相手である桜井に
宗助の事を相談することは悠には出来なかった。

「いえ、大丈夫です。桜井先輩に会えて良かったです。」

悠は、そう言うと足早にその場を去った。
悠を静かに見送ると、桜井は立ち上がり、

「ふぅ~。何だったんだろぉ?まぁいいや。あぁ!!…勧誘しないと!!」

そう言って周囲を見渡す。
すると背の高い体の大きな生徒が向こうから歩いてくる。
…金の短髪だ。

【あれは…ヤンキー君かなぁ。でも大きいし、太ってて強そうだなぁ。どうしよぉ…】

桜井のすぐ近くまで来た、
金髪生徒の名札を見る。

【1年生の池田…クンかぁ…ちょっと悪そうだなぁ…でも誰も勧誘できて無いし…】

そのまま、歩き去ろうとしている
池田に桜井は思い切って声をかけた。

「あ、あのぉ~…」

池田が立ち止まり、ゆっくりと振り返る。
背が高いだけでなく、太い手足と大きな胸、
そして逞しい腰まわり。脂肪が多めのガチムチ体型の池田は
相撲部としても桜井の個人的な嗜好にも、あっていた。

「あ、どうも…突然なんですけど…部活してますかぁ?」

桜井の質問に怪訝そうに応える池田。

「なんで、そんな事を聞いてんだ?」

その様子に桜井は早くも後悔する。
背が小さい桜井と背の高い池田が並ぶと
大人と子供のようだ。

「…あぁ、えっと…相撲部なんですけどぉ…良かったら見学とかって…来ないですよねぇ?ははは、すいません…」

桜井はそう言って会話を終えようと思った。
ところが…。

「ふん。行ってやるよ。部活って事は放課後か?」

桜井の太った子供のような横顔に
一筋の汗が流れた。
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