肉月〜ニクツキ

白井智之

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肉月~ニクツキ18

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委員会の最中だというのに、
いつの間にか宗助は眠ってしまっていた。
机の上で組んだ腕に、頭をのせて横を向いている。
ちょうど悠の方を向いて眠っているので
宗助の寝顔を見つめることが出来た。

【宗助くん…本当にカッコよくて可愛い…。】

委員会が終わった後も宗助は眠ったままだったので、
悠がそっと宗助を起こす。

「…そ、宗助くん、委員会は終わったよ?」

しかし、宗助は起きる様子が無い。
そんな宗助を見ていると悠は心の中に、
ジワジワと不思議な感情がこみ上げてくるのを感じていた。
そして…とても小さな声で言う。

「…君と出会ってから、まだ2ヶ月だけど…初めて見た時から…ずっと…」

その時、突然。ビクンと動いたかと思うと、
ゆっくりと顔をあげる宗助。

【…き、聞かれた?】

心配する悠。だが、起き上がった宗助は
大きなあくびをした後に周囲を見渡して、

「…あれ?寝てた…俺?」

悠は驚きながらも、優しく頷く。
宗助はふと、腕時計を見て驚き、声をあげる。

「えぇ!?…もう7時かよ?委員会て、そんな長かったの?」

悠はノートをカバンに入れながら答える。

「うん、随分と長かったよね。なんかいっぺんに進めて、当分の間、委員会はしなくていいようにしたみたい。」

宗助はその言葉を聞いて、それならとりあえず、
納得といった顔をした。そして悠に向かって言う。

「ごめん、俺だけ寝ちゃって…。じゃあ、もう帰ろうぜー。多分、駅だろ?田中も。」

嬉しそうに悠がコクリと頷いた。
すっかり暗くなった街。
空にはいくつかの星があった。
街灯や商店の灯かりが街を照らしている。
並んで暗い道を話しながら歩く悠と宗助。
そうして歩きながら他愛の無い会話をすると、
これまでは知らなかった宗助の事、
たとえば趣味がギターを弾くことで今度、
他の学校のバンド仲間とライブに出る事などを
知ることが出来た。
宗助も悠の事を、少しオドオドした暗いヤツだと
思っていたが、話してみると良いヤツだとわかった。
二人はまるで以前からの友人のように
時間を過ごすことができた。
悠にとってそれは、まさに至福の時間。
宗助も楽しそうに笑っていたが、

「あぁ…オシッコしたくなってきた…あ!あの公園のトイレでいいや。」

そういうと、道を曲がった先にある、公園に入っていく。
悠も宗助とともに公園へと入っていった。
その公園は周囲を植林に囲まれており、夜はとても暗い。
公園の奥へと入っていくと、小さな公衆トイレ。

「あぁ~漏れちゃうよ!!」

そう言いながら、宗助はトイレに駆け込む。
悠は外で待っていた。
とても静かで、真っ暗な公園に一人でいると
悠は少しだけ、心細くて恐くなってきた。
そして、理由は無いが突然に、
この公園には自分達以外にも誰かがいるような、
そんな気がしてくる。

「悪りぃ、悪りぃ。お待たせ~♪」

トイレから宗助が出てくると、明るく言う。
だが、悠の表情を見て、怪訝そうに尋ねる。

「…ん、どうかした?」

悠は返答に戸惑ったが、根拠の無い事で
宗助を恐がらせまいとした。

「ううん、何でもないよ。暗いからちょっと恐いなぁって。」

それを聞いた宗助が悠を笑いながら、
歩き始める。悠も宗助の隣を歩く。
公園の出口まであと少し。そこで…

「ん、あれ…なんだ?」

宗助が植林の奥に何かを見つけた。
悠も宗助の見ている方を見ると、
暗闇の中で何かが動いている。
なぜか悠は嫌な予感がして、
そこにいたくない程だったが
宗助は好奇心からか、植林へ近寄っていく。

「おい、あれなんだろ?」

宗助の1メートル後ろで怯える悠。
何が暗闇にいるのか解らないが、
早くここから離れたい。
ギリギリ宗助に聞こえるであろう、
小さな声で悠が言う。

「や、やめようよ。帰ろう?」

しかし宗助の足は止まらなかった。
さらに植林へと近づいた、…その時。
公園の入り口付近を車が通りかかって、
ヘッドライトに植林が照らされたのだ。
その一瞬。全てが見えた。
そして宗助が幽霊でも見たかのように
声を震わせて言う。

「えっ…?…な、なんだこれ…?」

植林の奥にいたのは太った男が二人。
一人の男はズボンとパンツを足元まで下ろし、
もう一人の男が跪いて…股間に顔を埋め、
頭を微妙に動かしていた。
悠も宗助の後ろでその光景を見た。

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