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山吹修一郎②ひねくれた大学生活
第9話1日の終わり
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時刻は夜の22時。
焼き肉屋でついた煙の匂いが部屋に充満してきた頃、研究用の施設を作り始めた。
「で?何を作るんだ?」
「ふむ。まずはこの大量の研究用の道具を置く場所が必要なのだ。だが、見ての通りこの部屋には収納というものがろくにないのだよ。ということでまずはそれを作る」
「それはいいんですけど、どうやって作るのですか?収納を作れるようなものはありませんけど……」
ふっふっふ。まあそう見えるだろう。
だが、この部屋には収納を作るための道具がすでに揃っているのだ。
「これを使うのだよ」
私は部屋の隅から厚さ2㎝の大きさの違うパイン集成材5枚を取り出した。
この木材というのは以前ホームセンターで買ってきておいたものなのだ。
こうして自分で作った方が節約になるのでな。
お金は研究につぎ込みたいのだよ。
「……それゴミではなかったのか」
矢田氏め……この木材をゴミだと思っていたのか!なんたる男だ!
「なるほど!自分で箱を作って経費節約を図っているのですね!」
「そういうことだ。この合板は60×50㎝のものが一枚、60×40㎝が二枚、50×40㎝が二枚だ。これらを釘で打ち付け箱にする。さあ、矢田氏よ木材を合わせて押さえたまえ」
矢田氏は私の言われた通りに材を合わせて押さえつけた。
「よし、では打ち付けるとしよう。天音さんよ、ちゃぶ台の下の工具箱から釘と金槌を取ってくれたまえ」
「はい。お任せあれ」
すぐさま工具箱から釘と金槌を取り出して渡してくれた。
金槌のグリップを握りこんで釘を打ち付ける。私はこの手の作業にはもう慣れてしまったのでな。素晴らしい手際で釘を打ち付けていく。
矢田氏がせわしなく材を組む。しかし遅い。まったく本ばかり読んでいるからこういうことになるのだ。
「うむ、これで良いだろう。感謝するぞ天音さんよ」
「いえいえ。こうしてお部屋見学させていただいたのですからこれくらい当然です」
「……おい、おれに感謝はないのか」
「うむ!掃除を手伝ってくれたことには感謝している。ありがとう」
「……この野郎」
「さてさて、道具は入るか?」
平凡な活躍しかしなかった矢田氏は放っておいて私は道具を箱に収めた。
うむ!上手いこと入ったではないか!これで収納は良い事としよう!
「綺麗に収まりましたね」
「うむ。そうだな。これならば明日はより研究が進むであろう」
「そうですか!なら、研究がひと段落した時でもいいのでまた来させてもらって良いですか?」
「勿論構わない。私も君のように物分かりの良いものには初めて出会った。また語り合いたい」
「そうですね。それじゃあ私はこれで。矢田さんはどうします?」
「僕も帰るぞ。こんなところにずっといてはくだらん研究を手伝わされるだけだ」
そうか、矢田氏も帰ってしまうか……。
まだまだ手伝って欲しいのだがなぁ。まあいいだろう。今回は帰してやろう。
「そうか!ではさらばだ諸君」
客二人が帰ったのを確認して私は風呂に入った。
洗濯物はひとまとめにしておき、明日にでもコインランドリーに持っていくしかないだろう。
風呂からあがれば時間は夜中の10時過ぎであろう。
今日は疲れたのでな。とっとと寝てしまおう。
私の一日が今日も終わる。
焼き肉屋でついた煙の匂いが部屋に充満してきた頃、研究用の施設を作り始めた。
「で?何を作るんだ?」
「ふむ。まずはこの大量の研究用の道具を置く場所が必要なのだ。だが、見ての通りこの部屋には収納というものがろくにないのだよ。ということでまずはそれを作る」
「それはいいんですけど、どうやって作るのですか?収納を作れるようなものはありませんけど……」
ふっふっふ。まあそう見えるだろう。
だが、この部屋には収納を作るための道具がすでに揃っているのだ。
「これを使うのだよ」
私は部屋の隅から厚さ2㎝の大きさの違うパイン集成材5枚を取り出した。
この木材というのは以前ホームセンターで買ってきておいたものなのだ。
こうして自分で作った方が節約になるのでな。
お金は研究につぎ込みたいのだよ。
「……それゴミではなかったのか」
矢田氏め……この木材をゴミだと思っていたのか!なんたる男だ!
「なるほど!自分で箱を作って経費節約を図っているのですね!」
「そういうことだ。この合板は60×50㎝のものが一枚、60×40㎝が二枚、50×40㎝が二枚だ。これらを釘で打ち付け箱にする。さあ、矢田氏よ木材を合わせて押さえたまえ」
矢田氏は私の言われた通りに材を合わせて押さえつけた。
「よし、では打ち付けるとしよう。天音さんよ、ちゃぶ台の下の工具箱から釘と金槌を取ってくれたまえ」
「はい。お任せあれ」
すぐさま工具箱から釘と金槌を取り出して渡してくれた。
金槌のグリップを握りこんで釘を打ち付ける。私はこの手の作業にはもう慣れてしまったのでな。素晴らしい手際で釘を打ち付けていく。
矢田氏がせわしなく材を組む。しかし遅い。まったく本ばかり読んでいるからこういうことになるのだ。
「うむ、これで良いだろう。感謝するぞ天音さんよ」
「いえいえ。こうしてお部屋見学させていただいたのですからこれくらい当然です」
「……おい、おれに感謝はないのか」
「うむ!掃除を手伝ってくれたことには感謝している。ありがとう」
「……この野郎」
「さてさて、道具は入るか?」
平凡な活躍しかしなかった矢田氏は放っておいて私は道具を箱に収めた。
うむ!上手いこと入ったではないか!これで収納は良い事としよう!
「綺麗に収まりましたね」
「うむ。そうだな。これならば明日はより研究が進むであろう」
「そうですか!なら、研究がひと段落した時でもいいのでまた来させてもらって良いですか?」
「勿論構わない。私も君のように物分かりの良いものには初めて出会った。また語り合いたい」
「そうですね。それじゃあ私はこれで。矢田さんはどうします?」
「僕も帰るぞ。こんなところにずっといてはくだらん研究を手伝わされるだけだ」
そうか、矢田氏も帰ってしまうか……。
まだまだ手伝って欲しいのだがなぁ。まあいいだろう。今回は帰してやろう。
「そうか!ではさらばだ諸君」
客二人が帰ったのを確認して私は風呂に入った。
洗濯物はひとまとめにしておき、明日にでもコインランドリーに持っていくしかないだろう。
風呂からあがれば時間は夜中の10時過ぎであろう。
今日は疲れたのでな。とっとと寝てしまおう。
私の一日が今日も終わる。
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