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第33話 キラービーの巣を見つける
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俺達は森の中に入っていく。話を聞く所によると、キラービーの群れは森の中から出現しているようだ。
そして森の中にキラービーの巣がある可能性が高いという。
俺達は薄暗い森の中をひたすらに歩く。
「暗いです……ロキ様」
メルティは嘆く。森には多くの木が茂っており、昼間であるにも関わらずまるで夜であるかのように暗かったのだ。
「火で照らしてもいいですか?」
「ああ……構わないが木を燃やさないようにしろよ。山火事になりかねない」
「そんな事勿論わかってますよ……篝火」
メルティは手に微弱な炎を発生させ、松明のように使用する。周囲が明るく照らし出された。
「ありがとう……メルティ」
「いえいえ……」
こうして俺達はさらに森の奥に進んでいくのであった。
◇
「しかし、キラービーの巣はどこにあるのでしょうか?」
フレイアは聞いてくる。森と言っても広いのだ。なかなか見つかりそうにもない。それどころか、彷徨っている内に遭難しかねなかった。
「地道に探していくしかないな」
「それもそうですが……何も手がかりがないまま探しても埒が明かなそうです」
「……くんくん……なんか良い匂いがします」
メルティは鼻で嗅いだ。メルティの嗅覚はまるで犬のように鋭いようだ。
「甘くて良い匂いがします……こっちの方です」
「お、おい! メルティっ!」
甘い匂いに連れられ、メルティはふらふらとどこかへ行ってしまった。仕方なく、俺達はメルティの後を追う。
◇
「ここですっ! ここから甘くて良い匂いがしてきましたっ!」
「何を言ってるんだ! メルティ! 今はそんな事をしている場合じゃっ!」
「見てください、ロキ様。あれをっ!」
フレイアが指を指した。
「こ、これは……」
『『『『ブウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ』』』』
キラービーの羽ばたく音が無数に聞こえてくる。
そこにあったのは間違いない。巨大なキラービーの巣だった。ここからキラービーが発生しているのだ。
メルティが嗅ぎ分けた甘い匂い、というのはキラービーの巣から生じる、甘い蜜だったのだろう。
「ど、どうしますかっ! ロキ様っ! 燃やしちゃってもいいですかっ!」
「……いや。それはまずいな。炎を使うのは。森に燃え移ってしまいかねない。物理攻撃であの巣を破壊するんだ」
「はい! わかりました! ロキ様!」
フレイアは剣を構える。俺とフレイアの二人で攻撃を仕掛けるつもりだ。
しかしここで想定外の事が起きた。いや、良く良く考えれば想定内の事でもあるが……。キラービーの巣を作ったのは女王蜂だ。その女王蜂が近くにいたとしても何の不思議はない。自然な事だった。
『ブウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ』
羽ばたく音がした。
「な、なんですか……こいつは」
メルティは絶句する。そこにいたのは普通のキラービーの何倍も大きい、巨大なキラービーだった。
こいつが女王蜂。キラービークイーンだった。
「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
キラービークイーンは俺達が巣を破壊しに来た邪魔者だと認識したのだろう。突然、巨大な叫び声を上げた。
「うっ!」
俺達は思わず耳を塞ぐ。
キラービークイーンは大きな口を開けた。口の中には巨大な牙がある。子供であるキラービーよりも更に獰猛そうな牙だ。それだけではなく、何倍も巨大な毒針まである。
決して侮れる相手ではない。こうしてキラービークイーンが襲い掛かってきた。もはや戦闘は不可避であった。
突如としてキラービークイーンとの闘いが始まったのである。
そして森の中にキラービーの巣がある可能性が高いという。
俺達は薄暗い森の中をひたすらに歩く。
「暗いです……ロキ様」
メルティは嘆く。森には多くの木が茂っており、昼間であるにも関わらずまるで夜であるかのように暗かったのだ。
「火で照らしてもいいですか?」
「ああ……構わないが木を燃やさないようにしろよ。山火事になりかねない」
「そんな事勿論わかってますよ……篝火」
メルティは手に微弱な炎を発生させ、松明のように使用する。周囲が明るく照らし出された。
「ありがとう……メルティ」
「いえいえ……」
こうして俺達はさらに森の奥に進んでいくのであった。
◇
「しかし、キラービーの巣はどこにあるのでしょうか?」
フレイアは聞いてくる。森と言っても広いのだ。なかなか見つかりそうにもない。それどころか、彷徨っている内に遭難しかねなかった。
「地道に探していくしかないな」
「それもそうですが……何も手がかりがないまま探しても埒が明かなそうです」
「……くんくん……なんか良い匂いがします」
メルティは鼻で嗅いだ。メルティの嗅覚はまるで犬のように鋭いようだ。
「甘くて良い匂いがします……こっちの方です」
「お、おい! メルティっ!」
甘い匂いに連れられ、メルティはふらふらとどこかへ行ってしまった。仕方なく、俺達はメルティの後を追う。
◇
「ここですっ! ここから甘くて良い匂いがしてきましたっ!」
「何を言ってるんだ! メルティ! 今はそんな事をしている場合じゃっ!」
「見てください、ロキ様。あれをっ!」
フレイアが指を指した。
「こ、これは……」
『『『『ブウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ』』』』
キラービーの羽ばたく音が無数に聞こえてくる。
そこにあったのは間違いない。巨大なキラービーの巣だった。ここからキラービーが発生しているのだ。
メルティが嗅ぎ分けた甘い匂い、というのはキラービーの巣から生じる、甘い蜜だったのだろう。
「ど、どうしますかっ! ロキ様っ! 燃やしちゃってもいいですかっ!」
「……いや。それはまずいな。炎を使うのは。森に燃え移ってしまいかねない。物理攻撃であの巣を破壊するんだ」
「はい! わかりました! ロキ様!」
フレイアは剣を構える。俺とフレイアの二人で攻撃を仕掛けるつもりだ。
しかしここで想定外の事が起きた。いや、良く良く考えれば想定内の事でもあるが……。キラービーの巣を作ったのは女王蜂だ。その女王蜂が近くにいたとしても何の不思議はない。自然な事だった。
『ブウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ』
羽ばたく音がした。
「な、なんですか……こいつは」
メルティは絶句する。そこにいたのは普通のキラービーの何倍も大きい、巨大なキラービーだった。
こいつが女王蜂。キラービークイーンだった。
「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
キラービークイーンは俺達が巣を破壊しに来た邪魔者だと認識したのだろう。突然、巨大な叫び声を上げた。
「うっ!」
俺達は思わず耳を塞ぐ。
キラービークイーンは大きな口を開けた。口の中には巨大な牙がある。子供であるキラービーよりも更に獰猛そうな牙だ。それだけではなく、何倍も巨大な毒針まである。
決して侮れる相手ではない。こうしてキラービークイーンが襲い掛かってきた。もはや戦闘は不可避であった。
突如としてキラービークイーンとの闘いが始まったのである。
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