宮廷ネクロマンサー、アンデッド嫌いの聖女に追放される~「人間は裏切るから戻ってきて!」と土下座されるがもう遅い!

つくも

文字の大きさ
上 下
16 / 20

聖女 財政苦の末に税金をあげる事を決断する そして暴動がおこる

しおりを挟む
「はぁ……」

 アリシアは頭を抱えていた。経済大臣が横領の末に高跳びをした経済苦を憂いでいたのである。
 そもそも国の金は国民の税金が主である。つまりはアリシアのものでは本来ないはずなのだが。それでも懐事情が苦しくなった事に相違はない。

「どうしようかしら……」

「アリシア殿。いかがされるのですか? 災害による王国の立て直し、それから経済大臣の横領による経済難、いかがされるのですか? これは痛い打撃でありますよ」

 外交大臣がわめく。

「わかっているわよ。そんな事。決まってるじゃないの。損失の穴埋めは税金をあげるしかないわよ」

「しかし税金をあげれば暴動が起こるかもしれませぬ」

「武力で鎮圧するのよ。仕方ないでしょ」

「独裁的ですな」

「仕方ないじゃないの! 他に方法がないんだから! いいからさっさと税金をあげる旨国民に通達しなさい! それで来月から税金あげるのよ!」

「わかりました」

 こうして王国中に税金が上がる報せが出回る。

 ◆◆◆
 
 当然のように税金の引き上げは国民の反発を買った。税金があがって喜ぶ国民はいないだろう。吸い上げる方はその限りではないが。

「ふざけんな! 来月から税金があがるだって!」

「こっちは災害だけでも大変だっていうのに!」

「やってられねぇぜ! こうならやってやらぁ! 俺達で徹底抗戦だ!」

 こうして国民によるデモが起こった。

 ◆◆◆

「聖女アリシアに告げる! 税金をあげるな! 聖女アリシアに告げる! 税金をあげるな!繰り返す!女アリシアに告げる! 税金をあげるな!」

「税金あげるのはんたーーーーーーーーーーーーーーーーい!」

「「「「はんたーーーーーーーーーーーーーーーーい!」」」」

 予想していたように国民は抗議のデモをするようになった。声を大きくする魔石でもあるようだった。えらい声量である。人数も多い。その為余裕で王城まで聞こえてきた。

「あーーーーー! もううるさいわねっ! 昼寝もできやしないわよ!」

「いかがされますか?」

「武力で鎮圧するって言ってたでしょうが」

「しかし国民が怪我をすれば労働力が減ります。それに流出する国民も増える事でしょう」

「くっ。そうね。何とか怪我させない程度に散らしなさい」

「はい! 了解しました」

 ◆◆◆

「ほら! ここは王城だ! 散れ! 散れ! デモは終わりだ」

 兵士がデモ隊を散らす。

「ふざけんなっ! こちとら生活かかってんだっ! おらっ! 食らえっ!」

 男が火炎瓶を投げつける。

「うわっ! あちいっ!」

「こいつ等! やりやがったなっ!」

「馬鹿! アリシア様に暴力はやめるように!」

「あっちが仕掛けてきたんだ! やらなきゃやられちまうだろうが!」

 兵士は剣を抜く。デモ隊と兵士の衝突が始まる。

 こうして多くの血が流れるのであった。

 多くの怪我人が出て、国民の国家に対する不満が溜まり、流出する国民も増えていった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

最後に言い残した事は

白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
 どうして、こんな事になったんだろう……  断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。  本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。 「最後に、言い残した事はあるか?」  かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。 ※ファンタジーです。ややグロ表現注意。 ※「小説家になろう」にも掲載。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

王子が元聖女と離縁したら城が傾いた。

七辻ゆゆ
ファンタジー
王子は庶民の聖女と結婚してやったが、関係はいつまで経っても清いまま。何度寝室に入り込もうとしても、強力な結界に阻まれた。 妻の務めを果たさない彼女にもはや我慢も限界。王子は愛する人を妻に差し替えるべく、元聖女の妻に離縁を言い渡した。

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

(完)聖女様は頑張らない

青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。 それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。 私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!! もう全力でこの国の為になんか働くもんか! 異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)

聖女召喚

胸の轟
ファンタジー
召喚は不幸しか生まないので止めましょう。

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

処理中です...