10 / 20
聖女の後悔深まる
しおりを挟む
地震が起こった王国の復旧工事には多くの人員を必要とした。
「ふう……疲れたぜ」
「一休み、一休み」
労働者達は休憩に入る。
「全く、不便なものね、人間って」
アリシアは吐き捨てる。その働きぶりを窓辺から見ていたのだ。
「仕方がありませぬ。人間は機械ではありませんから。ましてはアンデッドでもありません。不眠不休で労働ができるわけではないのです」
王国六大臣の一人。経済大臣はそう言う。
「くっ……」
アリシアは悔しそうに顔を歪める。
「ジル殿のアンデッドがいればこうはならないのですが」
「な、なんなのよ! 私がいけないってわけ!」
「何もアリシア様を批難しているのではありません! ジル様は国王の暗殺で国外逃亡されたのです! アリシア様に非はないではありませんか!」
「……そ、そうよね。その通りね」
事実を知らない経済大臣はそのように申していた。
そんな時の事だった。
「聖女アリシア様!」
使用人が部屋に入ってくる。
「何用ですか!? 騒々しい」
「他国から応援で着くはずだった人員が到着が遅れるそうです」
「な、なんですって!? どうして!?」
「なんでも自国で優先度の高い仕事が出来たそうでして、そちらを優先して終わらせてからになるそうです」
「くっ」
「仕方がありませんな。人間ですもの。都合というものがあります」
「くっ、ううっ」
(なんなのよ! なんなのよ! なんなのよ! あの薄気味悪いネクロマンサーを追放して全てが上手くいってたと思って清々していたのに! これじゃ全く逆じゃないの! 思惑が全部逆の方に! きいいいっ!)
アリシアは表情を歪め、慌てて取り繕った。
「ふう……疲れたぜ」
「一休み、一休み」
労働者達は休憩に入る。
「全く、不便なものね、人間って」
アリシアは吐き捨てる。その働きぶりを窓辺から見ていたのだ。
「仕方がありませぬ。人間は機械ではありませんから。ましてはアンデッドでもありません。不眠不休で労働ができるわけではないのです」
王国六大臣の一人。経済大臣はそう言う。
「くっ……」
アリシアは悔しそうに顔を歪める。
「ジル殿のアンデッドがいればこうはならないのですが」
「な、なんなのよ! 私がいけないってわけ!」
「何もアリシア様を批難しているのではありません! ジル様は国王の暗殺で国外逃亡されたのです! アリシア様に非はないではありませんか!」
「……そ、そうよね。その通りね」
事実を知らない経済大臣はそのように申していた。
そんな時の事だった。
「聖女アリシア様!」
使用人が部屋に入ってくる。
「何用ですか!? 騒々しい」
「他国から応援で着くはずだった人員が到着が遅れるそうです」
「な、なんですって!? どうして!?」
「なんでも自国で優先度の高い仕事が出来たそうでして、そちらを優先して終わらせてからになるそうです」
「くっ」
「仕方がありませんな。人間ですもの。都合というものがあります」
「くっ、ううっ」
(なんなのよ! なんなのよ! なんなのよ! あの薄気味悪いネクロマンサーを追放して全てが上手くいってたと思って清々していたのに! これじゃ全く逆じゃないの! 思惑が全部逆の方に! きいいいっ!)
アリシアは表情を歪め、慌てて取り繕った。
0
お気に入りに追加
143
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
双子の姉妹は無双仕様
satomi
ファンタジー
双子の姉妹であるルカ=フォレストとルリ=フォレストは文武両道というか他の人の2~3倍なんでもできる。周りはその事実を知らずに彼女たちを貶めようと画策するが……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる