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剣聖の王女との決闘
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「それじゃ俺が見届け人になる」
帝王ロイヤルはそう言った。闘技場のステージで俺達は向かい合う。
リーゼは剣を構えていた。無駄のない構えだ。流石に剣聖と呼ばれるだけの事はある。手に持っているのは聖剣エクスカリバー。
聖剣の中でも最上位に位置する名剣だ。強力ではあるがデメリットとしては使い手が限定されているという事だ。聖剣は剣ではあるが心がある。聖剣は選ばれた所有者にしか心を開かない。
彼女は聖剣スキルを持っている。故に聖剣エクスカリバーの所有者となれるのであろう。
「両者構えろ!」
俺はダガーを抜いた。オリハルコンダガーの二刀流だ。張り詰めた空気の中、闘いの火蓋は切って落とされる。
「はじめ!」
「はあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
迷いのないリーゼの攻撃。確かに早い。そして鋭い踏み込みだ。
「はっ!」
聖剣エクスカリバーからこぼれる聖の気は光となって襲い掛かってくる。寸前のところで避けたその光は観客席に突き刺さり、大穴を開けた。
「す、すごい攻撃」
「ダーリン! 負けないで! 負けちゃやだっ!」
「シン! 勝ってください! あなたに神の祝福を」
皆応援していた。
「ちょこまかと逃げ回ってなくて、闘ったらどうなんですか?」
「悩んでいるんです」
「悩んでいる? 何を?」
「力の加減を」
「力の加減?」
「弱すぎても意味がないし、強すぎてあなたを傷つけてしまうのも問題だ」
「余裕ですね。珍しく腹が立ってきましたよ! はあっ!」
リーゼは聖剣を振るう。仕方ない。できるだけ無傷のまま負けを認めさせよう。
「はあっ! な! 消えた」
剣が地面に振り下ろされる。俺は宙に舞った。剣に着地する。首筋にダガーを当てる。
「詰みです。王女」
「くっ! はああああああああああああああああああああああああああ!」
「なっ!」
強気なリーゼは構う事なく剣を振り上げた。俺は舞う。
くそっ。このまま傷ひとつなく決着をつけてやろうと思ってたのに。
俺は敢え無く、ダガーを捨てた。空中で態勢を整え、落下していく。
「なっ!?」
リーゼは俺を視認した。だが遅い。
「はあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
「ぐうっ!」
俺はリーゼの首筋に手刀をヒットさせた。リーゼは昏倒する。
「リーゼ! ……あのリーゼが手刀、一撃でっ! あんた、一体何者だ!」
「ただの暗殺者です。それより王女の手当を。アリス、治してやれ」
「はいっ」
大神官にジョブチェンジしたアリスは回復魔法を使う事ができる。
「やれやれっ。こうまでアリスが完膚なきまでにやられるとはな。お手上げだよ。あんたなら魔王軍もどうにかできるかもしれねぇ!」
「ダーリンの強さはわかったでしょ! それで待遇! お金! お金はどうなるの!?」
マリサ。すっかり守銭奴キャラになってしまったな。俺は溜息を吐く。
「ああ。それも考えておくよ。ただ結果は期待していいと思うぜ」
「うっ、うう……私は」
「無事か。リーゼ」
「お父様……私は……そうか。負けたのですね」
「ああ。世の中強いやつの上にはまた強いやつがいるんだ。お前もまだまだ精進しないとな」
「はいっ。己惚れていました。魔王軍も私などよりもっと強い存在が大勢いるはずです。もっともっと精進しなければなりません」
「そうだ。負けるなリーゼ。それでこそ俺の娘だ」
「はい。お父様」
こうして俺は大帝国の王女であるリーゼとの決闘に勝利した。
帝王ロイヤルはそう言った。闘技場のステージで俺達は向かい合う。
リーゼは剣を構えていた。無駄のない構えだ。流石に剣聖と呼ばれるだけの事はある。手に持っているのは聖剣エクスカリバー。
聖剣の中でも最上位に位置する名剣だ。強力ではあるがデメリットとしては使い手が限定されているという事だ。聖剣は剣ではあるが心がある。聖剣は選ばれた所有者にしか心を開かない。
彼女は聖剣スキルを持っている。故に聖剣エクスカリバーの所有者となれるのであろう。
「両者構えろ!」
俺はダガーを抜いた。オリハルコンダガーの二刀流だ。張り詰めた空気の中、闘いの火蓋は切って落とされる。
「はじめ!」
「はあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
迷いのないリーゼの攻撃。確かに早い。そして鋭い踏み込みだ。
「はっ!」
聖剣エクスカリバーからこぼれる聖の気は光となって襲い掛かってくる。寸前のところで避けたその光は観客席に突き刺さり、大穴を開けた。
「す、すごい攻撃」
「ダーリン! 負けないで! 負けちゃやだっ!」
「シン! 勝ってください! あなたに神の祝福を」
皆応援していた。
「ちょこまかと逃げ回ってなくて、闘ったらどうなんですか?」
「悩んでいるんです」
「悩んでいる? 何を?」
「力の加減を」
「力の加減?」
「弱すぎても意味がないし、強すぎてあなたを傷つけてしまうのも問題だ」
「余裕ですね。珍しく腹が立ってきましたよ! はあっ!」
リーゼは聖剣を振るう。仕方ない。できるだけ無傷のまま負けを認めさせよう。
「はあっ! な! 消えた」
剣が地面に振り下ろされる。俺は宙に舞った。剣に着地する。首筋にダガーを当てる。
「詰みです。王女」
「くっ! はああああああああああああああああああああああああああ!」
「なっ!」
強気なリーゼは構う事なく剣を振り上げた。俺は舞う。
くそっ。このまま傷ひとつなく決着をつけてやろうと思ってたのに。
俺は敢え無く、ダガーを捨てた。空中で態勢を整え、落下していく。
「なっ!?」
リーゼは俺を視認した。だが遅い。
「はあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
「ぐうっ!」
俺はリーゼの首筋に手刀をヒットさせた。リーゼは昏倒する。
「リーゼ! ……あのリーゼが手刀、一撃でっ! あんた、一体何者だ!」
「ただの暗殺者です。それより王女の手当を。アリス、治してやれ」
「はいっ」
大神官にジョブチェンジしたアリスは回復魔法を使う事ができる。
「やれやれっ。こうまでアリスが完膚なきまでにやられるとはな。お手上げだよ。あんたなら魔王軍もどうにかできるかもしれねぇ!」
「ダーリンの強さはわかったでしょ! それで待遇! お金! お金はどうなるの!?」
マリサ。すっかり守銭奴キャラになってしまったな。俺は溜息を吐く。
「ああ。それも考えておくよ。ただ結果は期待していいと思うぜ」
「うっ、うう……私は」
「無事か。リーゼ」
「お父様……私は……そうか。負けたのですね」
「ああ。世の中強いやつの上にはまた強いやつがいるんだ。お前もまだまだ精進しないとな」
「はいっ。己惚れていました。魔王軍も私などよりもっと強い存在が大勢いるはずです。もっともっと精進しなければなりません」
「そうだ。負けるなリーゼ。それでこそ俺の娘だ」
「はい。お父様」
こうして俺は大帝国の王女であるリーゼとの決闘に勝利した。
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