41 / 48
王女で力試し
しおりを挟む
大帝国ガゼフに俺達は向かった。
「なんかちょうど、魔晶石が輝いているわね。大帝国の方から」
「……そうか」
「どうやら大帝国に神託に選ばれた勇者パーティーのメンバーがいるみたい」
「一体、何人いるんだ?」
あまり増えすぎるとパーティーというよりもギルドみたいな組織めいたものになってしまう。大集団。レギオンというのかもしれないが。
「それは私もわからないわよ。けどいいんじゃない? だって魔王と闘う上での戦力は多い方がいいんだから」
「確かにな」
こうして俺達は大帝国ガゼフへと向かった。
◆◆◆
「君たちが援軍にきてくれた冒険者達か」
俺達の目の前には帝王がいた。とはいえ、今まで見てきたような王様とは異なっている。どちらかというと、屈強な戦士のようだった。王族に生まれたから王になった、そういう世襲的な王ではなく、実力の高さ故に王になった、そんな感じの人だった。
「我が名はロイヤル・ガゼフ。この国の帝王だ」
「帝王ロイヤル様。俺達は勇者ユフィ率いるパーティーです。この度は魔王軍による脅威に貴国が晒されていると聞きつけ、はせ参じました」
「お金は! お金はいくらもらえるの! どれくらい! ねぇ! 帝王様! どれくらいくれるの!?」
「マリサ! お前は黙っていろ!」
「くっはっはっはっは! 欲望に忠実な奴だな。まあ、そういうのは嫌いじゃねぇぜ」
帝王自体まだ若いのだろう。せいぜい30代の後半のように感じた。どこか少年のような面影を見せる。無邪気な奴だった。
「俺達は実力主義でよ。その強さを元に金額は算定させてもらってるんだ」
「どうやって、どうやってその強さって測るのよ! さっさとやってよ!」
「そう焦るなって」
「……お父様。そのような者達で魔王軍の相手になるのですか?」
少女が姿を現す。金髪をした少女だった。腰には剣を携えている。
「リーゼ……。すまなかったな。こいつは俺の娘だ。リーゼロッテというんだ。まあ、リーゼと呼んでくれ」
「初めまして。リーゼロッテです。冒険者の皆さん」
美しい少女だ。気品がある。そして凛とした雰囲気。靡かない強さもまた、気に入る男は多いだろう。
マリサは解析魔法を使用したようだ。
「どうだ? マリサ」
リーゼロッテ・ガゼフ。年齢15歳。職業剣聖。
「ダーリン、あの娘……」
「なんだ?」
「まだ処女よ」
「そんな情報どうでもいいわ!」
俺は叫んだ。
「LV200。攻撃力1000防御力1000魔力800俊敏性1000。保有スキル。聖剣スキル」
「強いな……」
「見て! シン! 魔晶石が!」
魔晶石が輝いていた。
「と、いう事が。彼女が次の勇者パーティーのメンバー。神託により選ばれたメンバーという事か」
「さっきっから何を騒いでいるのです。冒険者の方々」
リーゼは首を傾げる。
「な、何でもありません!」
「そうだ。リーゼ、この冒険者達の力試しをしてくれないか?」
「私がですか?」
「ああ。お前なら不足ないと思うんだ。どうだ? そこの男。名前はシンでよかったよな?」
「はい。構いませんが。そちらはそれでよろしいのでしょうか?」
「うん。なんでだ?」
「見た所王女様でいらっしゃるようだ。お怪我をされるやもしれません」
「クックック! アッハッハッハッハッハッハ! 舐められたものだな! リーゼ。女の子扱いされているぞ! リーゼはこの国でも最強の剣士と称されているんだ。この帝国最大の切り札にして、砦でもある。そのリーゼに怪我だってよ」
「そこの黒いお方。シン殿でよろしいのでしょうか? そのような気遣いは無用です。婦女子として扱われる事は武人として侮蔑です。戦場では性別などありません。闘って勝つか、負けるか。生きるか、死ぬか。それだけの事です」
見た目のイメージそのまま、気丈に彼女は振る舞う。
「怪我させるかなんて気にするな。全力で戦え。無論、リーゼに勝てなんて言わない。その様子をもとに査定させてもらう」
「そちらがそれでいいなら構いませんが」
「いいでしょう。では闘技場へ向かいましょう」
俺達は闘技場へ向かった。
「なんかちょうど、魔晶石が輝いているわね。大帝国の方から」
「……そうか」
「どうやら大帝国に神託に選ばれた勇者パーティーのメンバーがいるみたい」
「一体、何人いるんだ?」
あまり増えすぎるとパーティーというよりもギルドみたいな組織めいたものになってしまう。大集団。レギオンというのかもしれないが。
「それは私もわからないわよ。けどいいんじゃない? だって魔王と闘う上での戦力は多い方がいいんだから」
「確かにな」
こうして俺達は大帝国ガゼフへと向かった。
◆◆◆
「君たちが援軍にきてくれた冒険者達か」
俺達の目の前には帝王がいた。とはいえ、今まで見てきたような王様とは異なっている。どちらかというと、屈強な戦士のようだった。王族に生まれたから王になった、そういう世襲的な王ではなく、実力の高さ故に王になった、そんな感じの人だった。
「我が名はロイヤル・ガゼフ。この国の帝王だ」
「帝王ロイヤル様。俺達は勇者ユフィ率いるパーティーです。この度は魔王軍による脅威に貴国が晒されていると聞きつけ、はせ参じました」
「お金は! お金はいくらもらえるの! どれくらい! ねぇ! 帝王様! どれくらいくれるの!?」
「マリサ! お前は黙っていろ!」
「くっはっはっはっは! 欲望に忠実な奴だな。まあ、そういうのは嫌いじゃねぇぜ」
帝王自体まだ若いのだろう。せいぜい30代の後半のように感じた。どこか少年のような面影を見せる。無邪気な奴だった。
「俺達は実力主義でよ。その強さを元に金額は算定させてもらってるんだ」
「どうやって、どうやってその強さって測るのよ! さっさとやってよ!」
「そう焦るなって」
「……お父様。そのような者達で魔王軍の相手になるのですか?」
少女が姿を現す。金髪をした少女だった。腰には剣を携えている。
「リーゼ……。すまなかったな。こいつは俺の娘だ。リーゼロッテというんだ。まあ、リーゼと呼んでくれ」
「初めまして。リーゼロッテです。冒険者の皆さん」
美しい少女だ。気品がある。そして凛とした雰囲気。靡かない強さもまた、気に入る男は多いだろう。
マリサは解析魔法を使用したようだ。
「どうだ? マリサ」
リーゼロッテ・ガゼフ。年齢15歳。職業剣聖。
「ダーリン、あの娘……」
「なんだ?」
「まだ処女よ」
「そんな情報どうでもいいわ!」
俺は叫んだ。
「LV200。攻撃力1000防御力1000魔力800俊敏性1000。保有スキル。聖剣スキル」
「強いな……」
「見て! シン! 魔晶石が!」
魔晶石が輝いていた。
「と、いう事が。彼女が次の勇者パーティーのメンバー。神託により選ばれたメンバーという事か」
「さっきっから何を騒いでいるのです。冒険者の方々」
リーゼは首を傾げる。
「な、何でもありません!」
「そうだ。リーゼ、この冒険者達の力試しをしてくれないか?」
「私がですか?」
「ああ。お前なら不足ないと思うんだ。どうだ? そこの男。名前はシンでよかったよな?」
「はい。構いませんが。そちらはそれでよろしいのでしょうか?」
「うん。なんでだ?」
「見た所王女様でいらっしゃるようだ。お怪我をされるやもしれません」
「クックック! アッハッハッハッハッハッハ! 舐められたものだな! リーゼ。女の子扱いされているぞ! リーゼはこの国でも最強の剣士と称されているんだ。この帝国最大の切り札にして、砦でもある。そのリーゼに怪我だってよ」
「そこの黒いお方。シン殿でよろしいのでしょうか? そのような気遣いは無用です。婦女子として扱われる事は武人として侮蔑です。戦場では性別などありません。闘って勝つか、負けるか。生きるか、死ぬか。それだけの事です」
見た目のイメージそのまま、気丈に彼女は振る舞う。
「怪我させるかなんて気にするな。全力で戦え。無論、リーゼに勝てなんて言わない。その様子をもとに査定させてもらう」
「そちらがそれでいいなら構いませんが」
「いいでしょう。では闘技場へ向かいましょう」
俺達は闘技場へ向かった。
0
お気に入りに追加
1,812
あなたにおすすめの小説
回復力が低いからと追放された回復術師、規格外の回復能力を持っていた。
名無し
ファンタジー
回復術師ピッケルは、20歳の誕生日、パーティーリーダーの部屋に呼び出されると追放を言い渡された。みぐるみを剥がされ、泣く泣く部屋をあとにするピッケル。しかし、この時点では仲間はもちろん本人さえも知らなかった。ピッケルの回復術師としての能力は、想像を遥かに超えるものだと。
婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。
なつめ猫
ファンタジー
公爵家令嬢のアリーシャは、我儘で傲慢な妹のアンネに婚約者であるカイル王太子を寝取られ学院卒業パーティの席で婚約破棄されてしまう。
そして失意の内に王都を去ったアリーシャは行方不明になってしまう。
そんなアリーシャをラッセル王国は、総力を挙げて捜索するが何の成果も得られずに頓挫してしまうのであった。
彼女――、アリーシャには王国の重鎮しか知らない才能があった。
それは、世界でも稀な大魔導士と、世界で唯一の聖女としての力が備わっていた事であった。
無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~
桜井正宗
ファンタジー
元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。
仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。
気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~
平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。
三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。
そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。
アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。
襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。
果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる