ヒーラーの方が安上がりだと追放されたが私じゃないと患者さん死にますよ?~治せないから戻ってこい?『ドクター』スキルでもあなたたちは手遅れです

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国王を襲うアサシン

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「きゃああああああああああああああああああああああああああああああ!」

「悲鳴、ですか」

 何となく私は嫌な予感がしていた。そして思った通りだった。

「国王陛下! 国王陛下!」

 王室には流血した国王がいた。

「しっかりしてくださいっ! 国王陛下!」

 また別のメイドが国王を介抱していた。

「どうしてください」

「うっ、ううっ」

 国王はうめいていた。

 私は慌てて治療をする。神の手(ゴッドハンド)の二連発だ。

「ふうっ……」

 流石に精神力を消耗しすぎた。私はふらっとする。たとえるなら貧血になった時のようだった。

 だが倒れるには早すぎる。私は何とか気力で自身の身体を支えた。

「ありがとう……シオン殿と言ったか。昼間にお会いしたな」

「いえいえ。ドクターである私は命を救うのが責務ですから」

「どうして君がここに」

「そのエミリア姫とお知り合いになりまして、それで厚意でお邪魔させて頂きました。ですが今はその事はさほど重要ではないかと考えます。国王陛下、いかがされましたか? 血を流されているという事は何者かに襲われたのでしょう?」

「あっ、ああ。黒い恰好をした男に突如襲われた」

「その男は?」

「窓から逃げていったよ」

「そうですか……やはり。エミリア様と同じ経緯ですね」

「エミリアだと!? エミリアも襲われたのか!? エミリアは無事か!?」

 やはり娘は可愛いのだろう。父なら無理もない。自分の体の事より娘であるエミリアの事を心配していた。

「お父様」

 召し物を変えたエミリアが慌ててやってくる。

「エミリア! 無事だったか!? エミリア」

「ええ。そこにいるシオン様のおかげで何とか無事だったわ。お父様」

「そうだったのですか。シオン殿! 娘を助けて頂き誠にありがとうございます!」

「はい。それは何よりです。ところで国王陛下、ひとつだけお願いがあるのです」

「お願いですか!? あなたは私達の命の恩人です! なんなりとおっしゃってください」

「今回の件、『ブラック・リベリオン』の犯行だとは思われますがひとつだけある嫌疑があるのです」

「嫌疑、ですと?」

「はい。やはり今回の暗殺者による襲撃。王国側の人間で手引きをした人間がいると考えるのが妥当です」

「裏切者が王宮内にいるとおっしゃるのですか?」

「はい。そうなります」

「で、ですが誰が」

「宰相だと思われます。お父様」

 エミリアは告げる。

「宰相だと、それは誠か!?」

「恐らく。だが確証はありません。わたしは常々あの宰相が気に食わなかったのですが、今回の件で猶更疑惑を深めました。わたしとお父様が命を落とす事でもっとも利する人間は誰か!? 宰相以外にありませぬ」

「そ、それを言われると確かにそうだな」

「宰相はわたし達を殺害後、その事を権力を用いもみ消し、うやむやにし、そして王座に平然とした顔でつくつもりだったのでしょう」

「確かに考えうる話だ。だが、確証はないぞ。私を襲ったアサシンも今は逃亡して捕らえられていないのだから。どうしようもないではないか」

「そこで国王陛下にお願いがあるのです」

「お願いの話に戻るのか。なんだ? なんである?」

「宰相にちょっと、注射をする許可を欲しいのです」

 私は注射針(ニードル)を作り出した。


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完結しました。お読みいただいた方々ありがとうございました。
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