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猛毒に侵されたエミリアを治療する
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身体が熱かった。
「ぐうっ……ああっ……」
毒を食らったエミリアの思考の中にあったのは人生における理不尽、それに対する嘆きである。
剣聖としてひたすらに強さを求めた。その強さが自衛において何の役にも立たずにこうして命を失おうとしている。
今まで鍛え上げた剣が一切何の役にも立たないとはどういう事か。何の為にこの15年間を生きていたのか。死ぬ為だけに生きてきたのではないか。
嫌であった。しかしどうしようもない、身体が熱い。毒の効果で体も動かない。どうしようもない。
エミリアは死を覚悟せざるを得なかった。そんな時だった。
「エミリアさん! エミリアさん! 気をしっかり持ってください」
視界の中に現れたのはあの白衣を着た男だった。ドクターであるシオンの顔であった。
エミリアは少しばかり心が安らいだのを感じた。
◇
悲鳴が聞こえた。女性の悲鳴だ。
「なんですか?」
私は慌てて部屋を飛び出る。
「先生、なんなんでしょうか? 今の声」
「女の人の声が」
廊下に出た時、ユエルとヴァイスの二人に会った。
「エミリア様! エミリア様! どうか、気を確かに! 誰か! 誰かあああああああああああああああああああ!」
気が触れたような声が聞こえてきた。女性の声だ。何かあったに違いない。
「行きましょう」
「「はい!」」
私達はその場へと向かう。
◇
「エミリア様! エミリア様!」
泣き叫ぶメイドがそこにいた。エミリアの自室での事だ。
「貸してください!」
私はエミリアの身体を受け止める。
「はぁ……はぁ……シオンさん」
顔色の悪いエミリアは肩で息をしていた。
「どうしたのですか? エミリアさん!?」
「毒を……何者かに毒を盛られました。恐らくは宰相の差し金です」
直観的に理解できていた。診察(スキャン)を使わずとも。エミリアに盛られたのは毒。それも強烈な猛毒だ。恐らくはエミリアでなければ意識を保っている事すら難しいであろう。
「エミリアさん。これから手術(オペ)を始めます」
「は、はい……」
いちいち服を脱がせるのが面倒だった。その手間すら惜しい。
「執刀(メス)」
私はスキル【ドクター】で執刀(メス)を作り出した。そして、エミリアの服を切裂く。
「あっ……」
エミリアの顔が一瞬赤くなるのを感じた。無理もない。彼女は剣聖であるというより以前に乙女である。柔肌を男に見られる事に抵抗があるのは必然である。
だが、今はそんな状況ではない。命がかかっているのである。
「診察(スキャン)」
私は触診を始める。毒の特定をする。
「神の手(ゴッドハンド)」
そして、神の手(ゴッドハンド)で治療を開始する。万物の病魔を癒す神の手がエミリアの胸の中にうずまっていく。癒しの光がエミリアの身体を直に癒し始めた。
「しっかりしてください! エミリアさん! お気を確かに! 今助けます!」
「シオンさん……」
閉じかけていたエミリアの目。死にかけていたその目に段々と生気が戻っていくのを感じた。
「エミリア様! 元に戻られたのですね!?」
メイドが驚嘆していた。
「良かったです! エミリアさん!」
「ええっ! 本当に良かったですっ!」
ユエルとヴァイスの二人も喜んでいた。
「ありがとうございます。シオンさん」
毒から治ったエミリアは私の手を握ってくる。
「おかげ様でわたしの命は救われました。この御恩、どう返せばいいか」
「それは何よりです。ですが私はドクターです。命を救う事が私の責務。ですから当然の事をしただけなのですよ」
「そんな事はありません! あの状況でわたしの命を救えるのはシオンさんだけでした。ですからシオンさんのした事はわたしにとって特別なことです!」
「エミリア様……大変申し上げ辛いのですが」
「はい! なんでしょうか!? なんでも申し上げてくださいっ!」
私は視線を逸らす。
「服を着て頂けないでしょうか」
「え!?」
ぷるん。エミリアは先ほどから自身があられもない恰好で、その美しい二つの膨らみを遠慮なく揺らしていた事に気づいた。
顔が一気に赤くなる。
「い、いやあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
エミリアは叫ぶ。胸を両手で抑える。
「すみません……私は席を外しますね」
「ま、待ってください! シオンさん!」
「はい?」
「後で改めてお礼をさせてください」
「いえ。それには適いません。ブラック・リベリオンの監査をしてくれるというだけで十分な事です」
「……そうですか」
「ええ。私達の最大の望みはそこですから」
「ではわたしにできる協力は何でもさせてください」
「はい。期待していますよ」
「そ、そうですっ! それより肝心な事を思い出しました!」
「何をですか?」
「お父様です! 国王の部屋に他のアサシンが向かっていると聞きました! 宰相はわたしだけでなく、父である国王までをも亡き者にしようとしているのです! すべては国王の地位を手に入れる為に」
「なんですと! ユエルさん! ヴァイスさん! 向かいますよ!」
「「はい!」」
「とはいえ場所がわかりません。メイドさん、急いで案内してくれませんか?」
「はい!」
「エミリア様、召し物を来た後に来てください。私達は先に王室へ向かいますので」
「はい。シオンさん」
「では、行きますよ」
「こちらです」
私達はメイドさんに連れられて、国王の部屋へと向かった。
「ぐうっ……ああっ……」
毒を食らったエミリアの思考の中にあったのは人生における理不尽、それに対する嘆きである。
剣聖としてひたすらに強さを求めた。その強さが自衛において何の役にも立たずにこうして命を失おうとしている。
今まで鍛え上げた剣が一切何の役にも立たないとはどういう事か。何の為にこの15年間を生きていたのか。死ぬ為だけに生きてきたのではないか。
嫌であった。しかしどうしようもない、身体が熱い。毒の効果で体も動かない。どうしようもない。
エミリアは死を覚悟せざるを得なかった。そんな時だった。
「エミリアさん! エミリアさん! 気をしっかり持ってください」
視界の中に現れたのはあの白衣を着た男だった。ドクターであるシオンの顔であった。
エミリアは少しばかり心が安らいだのを感じた。
◇
悲鳴が聞こえた。女性の悲鳴だ。
「なんですか?」
私は慌てて部屋を飛び出る。
「先生、なんなんでしょうか? 今の声」
「女の人の声が」
廊下に出た時、ユエルとヴァイスの二人に会った。
「エミリア様! エミリア様! どうか、気を確かに! 誰か! 誰かあああああああああああああああああああ!」
気が触れたような声が聞こえてきた。女性の声だ。何かあったに違いない。
「行きましょう」
「「はい!」」
私達はその場へと向かう。
◇
「エミリア様! エミリア様!」
泣き叫ぶメイドがそこにいた。エミリアの自室での事だ。
「貸してください!」
私はエミリアの身体を受け止める。
「はぁ……はぁ……シオンさん」
顔色の悪いエミリアは肩で息をしていた。
「どうしたのですか? エミリアさん!?」
「毒を……何者かに毒を盛られました。恐らくは宰相の差し金です」
直観的に理解できていた。診察(スキャン)を使わずとも。エミリアに盛られたのは毒。それも強烈な猛毒だ。恐らくはエミリアでなければ意識を保っている事すら難しいであろう。
「エミリアさん。これから手術(オペ)を始めます」
「は、はい……」
いちいち服を脱がせるのが面倒だった。その手間すら惜しい。
「執刀(メス)」
私はスキル【ドクター】で執刀(メス)を作り出した。そして、エミリアの服を切裂く。
「あっ……」
エミリアの顔が一瞬赤くなるのを感じた。無理もない。彼女は剣聖であるというより以前に乙女である。柔肌を男に見られる事に抵抗があるのは必然である。
だが、今はそんな状況ではない。命がかかっているのである。
「診察(スキャン)」
私は触診を始める。毒の特定をする。
「神の手(ゴッドハンド)」
そして、神の手(ゴッドハンド)で治療を開始する。万物の病魔を癒す神の手がエミリアの胸の中にうずまっていく。癒しの光がエミリアの身体を直に癒し始めた。
「しっかりしてください! エミリアさん! お気を確かに! 今助けます!」
「シオンさん……」
閉じかけていたエミリアの目。死にかけていたその目に段々と生気が戻っていくのを感じた。
「エミリア様! 元に戻られたのですね!?」
メイドが驚嘆していた。
「良かったです! エミリアさん!」
「ええっ! 本当に良かったですっ!」
ユエルとヴァイスの二人も喜んでいた。
「ありがとうございます。シオンさん」
毒から治ったエミリアは私の手を握ってくる。
「おかげ様でわたしの命は救われました。この御恩、どう返せばいいか」
「それは何よりです。ですが私はドクターです。命を救う事が私の責務。ですから当然の事をしただけなのですよ」
「そんな事はありません! あの状況でわたしの命を救えるのはシオンさんだけでした。ですからシオンさんのした事はわたしにとって特別なことです!」
「エミリア様……大変申し上げ辛いのですが」
「はい! なんでしょうか!? なんでも申し上げてくださいっ!」
私は視線を逸らす。
「服を着て頂けないでしょうか」
「え!?」
ぷるん。エミリアは先ほどから自身があられもない恰好で、その美しい二つの膨らみを遠慮なく揺らしていた事に気づいた。
顔が一気に赤くなる。
「い、いやあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
エミリアは叫ぶ。胸を両手で抑える。
「すみません……私は席を外しますね」
「ま、待ってください! シオンさん!」
「はい?」
「後で改めてお礼をさせてください」
「いえ。それには適いません。ブラック・リベリオンの監査をしてくれるというだけで十分な事です」
「……そうですか」
「ええ。私達の最大の望みはそこですから」
「ではわたしにできる協力は何でもさせてください」
「はい。期待していますよ」
「そ、そうですっ! それより肝心な事を思い出しました!」
「何をですか?」
「お父様です! 国王の部屋に他のアサシンが向かっていると聞きました! 宰相はわたしだけでなく、父である国王までをも亡き者にしようとしているのです! すべては国王の地位を手に入れる為に」
「なんですと! ユエルさん! ヴァイスさん! 向かいますよ!」
「「はい!」」
「とはいえ場所がわかりません。メイドさん、急いで案内してくれませんか?」
「はい!」
「エミリア様、召し物を来た後に来てください。私達は先に王室へ向かいますので」
「はい。シオンさん」
「では、行きますよ」
「こちらです」
私達はメイドさんに連れられて、国王の部屋へと向かった。
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