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シオン王国デュランダルへ向かう
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「うーん。疲れました」
私はその日もまた、病院で死肺炎の患者の治療を行っていた。
「シオン先生、お疲れ様でした」
「お疲れ様でした、シオン先生」
私の専属ナースとなったユエル。それに新規に専属ナースとなったヴァイスがそう労ってくる。
「ありがとうございます。皆様も疲れたでしょう」
「これからどうされるんですか?」
「王城へ行きます。ミシェル様にお話があるんです」
「お母様にお話ですか?」
「よろしければ二人も一緒に来てくださいませんか。今後に係る重大な話をしたいんです」
「はい! わかりました」
「わたしもいっていいんですか?」
「ヴァイスさんにも手伝ってもらう可能性があるのです。ですから来てくれたら助かります」
「はい。構いません。先生」
「では参りましょうか」
その日の診察を終えた私は王城へ向かう。ミシェルのところへと向かった。
◇
「王妃様、お願いがあるのです」
私はミシェルに陳情する。
「なんでしょうか? シオン様?」
「国内の死肺炎患者は凡そ片付きました。無論まだ潜在してはおりますが、急を要するほどの患者は見受けられません」
「はい。それはシオン様のおかげです。本当にありがたい事だと思いますし、嬉しい事だと思います」
「はい。ですので私に出張の許可を頂きたいのです」
「出張ですか? どこに出張されるのですか?」
「はい。王国デュランダルにです。私がかつて住んでいた人間の国。そしてギルド『ブラック・リベリオン』が存在する国でもあります」
「差支えなければなぜ行くのか理由を聞かせては頂けませんか?」
「『ブラック・リベリオン』の悪事はもはや見過ごせません。今までは重病者の命を救うために医療行為に邁進して参りましたが、獣人国の医療は多少なりの余裕を得る事ができました」
「直談判をされるという事ですか?」
「そうなりますかね。国王に直訴するのです。ブラック・リベリオンの悪事を」
「ですが、王国は信じますか? 確たる証拠というほどのものは見当たらないように感じます。死肺炎を流行らせた事も竜死病を流行らせた事も。確実にブラック・リベリオンがやったとまで言えるものがあるのでしょうか?」
今まで得た情報はアルバートとレイドールを自白させて得たものだ。自分にとってはその信ぴょう性は極めて高い。自分のドクタースキルを信じているからだ。
だが、他人にその情報を信じさせる事ができるかというと、なかなかに怪しいのではないか、そう考えていた。
「確かに不安要素はあります。ですが、実際にやってみなければ、会ってみなければわからない事もあります」
「いくら獣人国の専属ドクターであるシオン先生とはいえ、王国デュランダルからすれば余所者です。その余所者を国王が招き入れてくれるでしょうか?」
「それは……そうですね。その通りです。国王は身分の高いお人です。会う事すら難儀するでしょう」
「待っていてください。獣人国王妃としての直訴状を書きます。他国の王妃からの訴えがあれば取り合ってくれるやもしれませぬ。少なくとも手ぶらよりは幾分は頼りになるかと思います」
「ありがとうございます。王妃様。大変心強いです」
「ええ。お気をつけていってきてください」
私はミシェルから直訴状を受け取る。獣人国の印も押されている。
「それでは私はユエルさんとヴァイスさんと三人で行って参ります」
「ええ。気を付けて行ってらっしゃいね。ユエル、それからヴァイスさん」
「はい。お母様。気を付けていってきます」
「行ってきます。王妃ミシェル様」
私達は人間の王国デュランダルへ向かった。本来は馬車で三日かかる距離ではあるが、竜となったヴァイスの速度は凄まじく、一日かからずに付いてしまう。
あっという間のフライトになった。
私はその日もまた、病院で死肺炎の患者の治療を行っていた。
「シオン先生、お疲れ様でした」
「お疲れ様でした、シオン先生」
私の専属ナースとなったユエル。それに新規に専属ナースとなったヴァイスがそう労ってくる。
「ありがとうございます。皆様も疲れたでしょう」
「これからどうされるんですか?」
「王城へ行きます。ミシェル様にお話があるんです」
「お母様にお話ですか?」
「よろしければ二人も一緒に来てくださいませんか。今後に係る重大な話をしたいんです」
「はい! わかりました」
「わたしもいっていいんですか?」
「ヴァイスさんにも手伝ってもらう可能性があるのです。ですから来てくれたら助かります」
「はい。構いません。先生」
「では参りましょうか」
その日の診察を終えた私は王城へ向かう。ミシェルのところへと向かった。
◇
「王妃様、お願いがあるのです」
私はミシェルに陳情する。
「なんでしょうか? シオン様?」
「国内の死肺炎患者は凡そ片付きました。無論まだ潜在してはおりますが、急を要するほどの患者は見受けられません」
「はい。それはシオン様のおかげです。本当にありがたい事だと思いますし、嬉しい事だと思います」
「はい。ですので私に出張の許可を頂きたいのです」
「出張ですか? どこに出張されるのですか?」
「はい。王国デュランダルにです。私がかつて住んでいた人間の国。そしてギルド『ブラック・リベリオン』が存在する国でもあります」
「差支えなければなぜ行くのか理由を聞かせては頂けませんか?」
「『ブラック・リベリオン』の悪事はもはや見過ごせません。今までは重病者の命を救うために医療行為に邁進して参りましたが、獣人国の医療は多少なりの余裕を得る事ができました」
「直談判をされるという事ですか?」
「そうなりますかね。国王に直訴するのです。ブラック・リベリオンの悪事を」
「ですが、王国は信じますか? 確たる証拠というほどのものは見当たらないように感じます。死肺炎を流行らせた事も竜死病を流行らせた事も。確実にブラック・リベリオンがやったとまで言えるものがあるのでしょうか?」
今まで得た情報はアルバートとレイドールを自白させて得たものだ。自分にとってはその信ぴょう性は極めて高い。自分のドクタースキルを信じているからだ。
だが、他人にその情報を信じさせる事ができるかというと、なかなかに怪しいのではないか、そう考えていた。
「確かに不安要素はあります。ですが、実際にやってみなければ、会ってみなければわからない事もあります」
「いくら獣人国の専属ドクターであるシオン先生とはいえ、王国デュランダルからすれば余所者です。その余所者を国王が招き入れてくれるでしょうか?」
「それは……そうですね。その通りです。国王は身分の高いお人です。会う事すら難儀するでしょう」
「待っていてください。獣人国王妃としての直訴状を書きます。他国の王妃からの訴えがあれば取り合ってくれるやもしれませぬ。少なくとも手ぶらよりは幾分は頼りになるかと思います」
「ありがとうございます。王妃様。大変心強いです」
「ええ。お気をつけていってきてください」
私はミシェルから直訴状を受け取る。獣人国の印も押されている。
「それでは私はユエルさんとヴァイスさんと三人で行って参ります」
「ええ。気を付けて行ってらっしゃいね。ユエル、それからヴァイスさん」
「はい。お母様。気を付けていってきます」
「行ってきます。王妃ミシェル様」
私達は人間の王国デュランダルへ向かった。本来は馬車で三日かかる距離ではあるが、竜となったヴァイスの速度は凄まじく、一日かからずに付いてしまう。
あっという間のフライトになった。
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