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竜人国で竜死病を治療する
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「どうやって竜人国まで行くのですか?」
竜人国はニューヨークから近いとはいえ、それでも徒歩でいけるような距離にはない。
「簡単です。私がお運びいたします」
ヴァイスは変化(トランス)した。光を放ち、一瞬にして巨大な白竜となる。
「行きましょうか。乗ってください」
「はい!」
「よろしくお願いします」
私達はヴァイスさんの背中に乗り、竜人国へと向かったのである。
◇
一瞬のフライトであった。瞬く間に竜人国に着く。
「ここが竜人国です」
私達が降りるとヴァイスは元の人型に戻る。
「ここが竜人国ですか……」
竜人国もかつての獣人国と同じように活気が失われていた。道行く人々の顔が暗い。病に毒されていない竜人までやはり身内が病んでいると精神が病んでしまうのだ。
「とりあえず竜城に来てください。シオン先生に是非治してほしい人がいるのです」
◇
「ばたんきゅーです……フレイム」
「もう死にそうだよ……アクア」
「エアロも……」
「ティータももう無理そう……げふっ」
竜城には数人の竜人達が寝込んでいた。皆、ベッドで寝込んでいる。
「彼女達は?」
「彼女達はそれぞれが四大属性を持った竜人達です」
四大属性とは要するに火、水、風、地の四つの属性(エレメント)の事である。
名前からするにフレイム=火竜 アクア=水竜、エアロ=風竜、ティータ=地竜 であろう。
「ヴァイス様……その人は?」
「ドクターと言って、皆様を治しにきてくれたお方です」
「私達を治してくれるの?」
「わーい! 本当!?」
「死にそうなんだよ。もう高熱がして頭痛くて、咳がゲホゲホで」
「もうわたし、ダメかもしれません」
「これは大変そうですね。すぐに治療をします」
「治療!? 治してくれるの!?」
「ええ」
「やった! あたし! あたし一番!」
「ダメだよフレイム! わたしだよ! わたし!」
「エアロ! エアロが一番! こんな苦しいのもう勘弁して!」
「ティータ! ティータが一番がいい!」
「落ち着いてください。順番に診察するから。けど随分と元気がいいですね」
「元気なんてない! 苦しくて必死なだけなの!」
「そうそう! 普段はこんなもんじゃないの! もっと元気なの!」
「ドクターの先生! 治してよ! もう治して!」
やかましかった。姦しいとは女が三人と書く。四人なのだから余計に姦しい。
「ともかく私の体はひとつしかありません! 一人ずつしか治す事はできません! 順番を決めてください」
「こうなったら!」
「揉めた時はひとつだよね!」
「「「じゃんけん!」」」
「ぽん!」
「やった! 勝った!」
火竜の竜人娘。確か名をフレイムといったか。ガッツポーズをする。
「ずるい! フレイム、後だしした!」
「ずるくないもーん! 証拠も何もないもーん!」
「い、いいから喧嘩しないでください。こちらとしても順番さえ決まればいいのですから。では一番はフレイムさんですね」
「はい!」
「そこの椅子に座ってください」
「はい!」
私は診察を開始する。
「聴診器を当てるので服を脱いでください」
「服!? おっぱい見せなきゃなの!?」
「そう直接的に言われるとこちらとしてもやりつらいのですが」
「まあいいや。この苦しいのが治るならおっぱいくらい。減るもんじゃないし!」
「そう! 減るもんじゃない!」
「減るもんじゃないです! 早くしてください!」
「婦女子の恥じらいが微塵もありませんね。竜人は」
彼女達が特別なのかもしれないが。
「はい! 脱いだよ!」
フレイムは勢いよく服を脱いで全裸になった。まるで子供のような豪快な脱ぎっぷりだ。
「誰が全裸になれと言いましたか! 上だけでいいです! まくるだけでもいいんです!」
「ええ!? そうなんだ!? まあけど別に全裸でもできるでしょ!?」
「まあ、確かにそうですが」
こうして私は竜人達の治療行為を終えた。
◇
「やったーーーーーーーーーーーーーーーー! 治ったーーーーーーーーーーーーー!」
「体が軽いですーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
「ひゃっほーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
元気になった竜人娘たちは歓喜に震えていた。
「余計にやかましくなりましたね」
私はため息を吐く。
「ありがとうございます。シオン先生、あなた様のおかげで竜人国は救われそうです」
「いえ。まだお礼を言うのは早いです。多くの竜人がまだ病に苦しんでいるはずですから。その治療行為があります」
「ゆくゆくは私と共に、この竜人四姉妹もシオン先生にお供させて貰えればと思っております」
「ありがとうございます。あなた達竜人が獣人国の医療を手伝ってくれる事でより多くの命を救う事ができます」
「はい。是非ご協力させてください」
ヴァイスは笑みを浮かべる。
「そういえば、ヴァイス様のお父様やお母様はいらっしゃらないのですか?」
「父は既に亡くなっています。ただ……」
「ただ……」
「竜死病が流行った日から、母バハムートはおかしくなったのです。他の者たちとは様子が変わってしまいました。今はその対応に追われているのです」
ヴァイスは語る。
「どうやら深刻な理由がありそうですね」
「はい」
竜人国の問題はまだ解決していなかった様子だ。
◇
「凶竜ウィルス?」
ブラックリベリオンでの会話だった。研究者とアルバートの会話だ。
「ええ。竜死病ウィルスの中には凶竜病という病を発症させるウィルスが含まれておりました」
「そのウィルスに毒されるとどうなる?」
「恐ろしく気性が荒くなり、手がつけられなくなります。敵味方関係なく、見境なく暴れるように」
「ぐっふっふ!」
「なぜ笑うのですか? アルバートギルド長」
「そんな事が起きたら竜人国は大パニックではないか。竜死病に侵された上に凶竜病まで発症すれば。いくらシオンとはいえ一泡吹くに違いない!」
「はぁ……」
「ぐっふっふ! 今頃大慌てであろうなっ! シオンの奴め! いい気味だわいっ! ぐっふっふ! ぐっふっふっふっふ!」
アルバートの笑みは絶えなかった。
竜人国はニューヨークから近いとはいえ、それでも徒歩でいけるような距離にはない。
「簡単です。私がお運びいたします」
ヴァイスは変化(トランス)した。光を放ち、一瞬にして巨大な白竜となる。
「行きましょうか。乗ってください」
「はい!」
「よろしくお願いします」
私達はヴァイスさんの背中に乗り、竜人国へと向かったのである。
◇
一瞬のフライトであった。瞬く間に竜人国に着く。
「ここが竜人国です」
私達が降りるとヴァイスは元の人型に戻る。
「ここが竜人国ですか……」
竜人国もかつての獣人国と同じように活気が失われていた。道行く人々の顔が暗い。病に毒されていない竜人までやはり身内が病んでいると精神が病んでしまうのだ。
「とりあえず竜城に来てください。シオン先生に是非治してほしい人がいるのです」
◇
「ばたんきゅーです……フレイム」
「もう死にそうだよ……アクア」
「エアロも……」
「ティータももう無理そう……げふっ」
竜城には数人の竜人達が寝込んでいた。皆、ベッドで寝込んでいる。
「彼女達は?」
「彼女達はそれぞれが四大属性を持った竜人達です」
四大属性とは要するに火、水、風、地の四つの属性(エレメント)の事である。
名前からするにフレイム=火竜 アクア=水竜、エアロ=風竜、ティータ=地竜 であろう。
「ヴァイス様……その人は?」
「ドクターと言って、皆様を治しにきてくれたお方です」
「私達を治してくれるの?」
「わーい! 本当!?」
「死にそうなんだよ。もう高熱がして頭痛くて、咳がゲホゲホで」
「もうわたし、ダメかもしれません」
「これは大変そうですね。すぐに治療をします」
「治療!? 治してくれるの!?」
「ええ」
「やった! あたし! あたし一番!」
「ダメだよフレイム! わたしだよ! わたし!」
「エアロ! エアロが一番! こんな苦しいのもう勘弁して!」
「ティータ! ティータが一番がいい!」
「落ち着いてください。順番に診察するから。けど随分と元気がいいですね」
「元気なんてない! 苦しくて必死なだけなの!」
「そうそう! 普段はこんなもんじゃないの! もっと元気なの!」
「ドクターの先生! 治してよ! もう治して!」
やかましかった。姦しいとは女が三人と書く。四人なのだから余計に姦しい。
「ともかく私の体はひとつしかありません! 一人ずつしか治す事はできません! 順番を決めてください」
「こうなったら!」
「揉めた時はひとつだよね!」
「「「じゃんけん!」」」
「ぽん!」
「やった! 勝った!」
火竜の竜人娘。確か名をフレイムといったか。ガッツポーズをする。
「ずるい! フレイム、後だしした!」
「ずるくないもーん! 証拠も何もないもーん!」
「い、いいから喧嘩しないでください。こちらとしても順番さえ決まればいいのですから。では一番はフレイムさんですね」
「はい!」
「そこの椅子に座ってください」
「はい!」
私は診察を開始する。
「聴診器を当てるので服を脱いでください」
「服!? おっぱい見せなきゃなの!?」
「そう直接的に言われるとこちらとしてもやりつらいのですが」
「まあいいや。この苦しいのが治るならおっぱいくらい。減るもんじゃないし!」
「そう! 減るもんじゃない!」
「減るもんじゃないです! 早くしてください!」
「婦女子の恥じらいが微塵もありませんね。竜人は」
彼女達が特別なのかもしれないが。
「はい! 脱いだよ!」
フレイムは勢いよく服を脱いで全裸になった。まるで子供のような豪快な脱ぎっぷりだ。
「誰が全裸になれと言いましたか! 上だけでいいです! まくるだけでもいいんです!」
「ええ!? そうなんだ!? まあけど別に全裸でもできるでしょ!?」
「まあ、確かにそうですが」
こうして私は竜人達の治療行為を終えた。
◇
「やったーーーーーーーーーーーーーーーー! 治ったーーーーーーーーーーーーー!」
「体が軽いですーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
「ひゃっほーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
元気になった竜人娘たちは歓喜に震えていた。
「余計にやかましくなりましたね」
私はため息を吐く。
「ありがとうございます。シオン先生、あなた様のおかげで竜人国は救われそうです」
「いえ。まだお礼を言うのは早いです。多くの竜人がまだ病に苦しんでいるはずですから。その治療行為があります」
「ゆくゆくは私と共に、この竜人四姉妹もシオン先生にお供させて貰えればと思っております」
「ありがとうございます。あなた達竜人が獣人国の医療を手伝ってくれる事でより多くの命を救う事ができます」
「はい。是非ご協力させてください」
ヴァイスは笑みを浮かべる。
「そういえば、ヴァイス様のお父様やお母様はいらっしゃらないのですか?」
「父は既に亡くなっています。ただ……」
「ただ……」
「竜死病が流行った日から、母バハムートはおかしくなったのです。他の者たちとは様子が変わってしまいました。今はその対応に追われているのです」
ヴァイスは語る。
「どうやら深刻な理由がありそうですね」
「はい」
竜人国の問題はまだ解決していなかった様子だ。
◇
「凶竜ウィルス?」
ブラックリベリオンでの会話だった。研究者とアルバートの会話だ。
「ええ。竜死病ウィルスの中には凶竜病という病を発症させるウィルスが含まれておりました」
「そのウィルスに毒されるとどうなる?」
「恐ろしく気性が荒くなり、手がつけられなくなります。敵味方関係なく、見境なく暴れるように」
「ぐっふっふ!」
「なぜ笑うのですか? アルバートギルド長」
「そんな事が起きたら竜人国は大パニックではないか。竜死病に侵された上に凶竜病まで発症すれば。いくらシオンとはいえ一泡吹くに違いない!」
「はぁ……」
「ぐっふっふ! 今頃大慌てであろうなっ! シオンの奴め! いい気味だわいっ! ぐっふっふ! ぐっふっふっふっふ!」
アルバートの笑みは絶えなかった。
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完結しました。お読みいただいた方々ありがとうございました。
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