ヒーラーの方が安上がりだと追放されたが私じゃないと患者さん死にますよ?~治せないから戻ってこい?『ドクター』スキルでもあなたたちは手遅れです

つくも

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災厄の張本人を突き付ける

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「まあ。どうされたのですか? シオン様」

「王妃様。お話があるのです」

「ええ。なんでしょう?」

「入ってきてください」

「くっ! 離せ!」

「レイドールさん」

 王妃の目の前にレイド―ルが連れてこられる。

「俺を離せ! 俺が何をしたっていうんだ!」

 さらには拘束されたアルバートも連れられてくる。

「い、一体。これはどういう事ですか?」

 ミシェルは慌てていた。

「獣人貴族レイドールと私が勤めていたギルド『ブラック・リベリオン』は裏で結託していたのです」

「ま、まあ! それは本当ですか!?」

「ええ。そしてアンデッドの灰を撒き、死肺炎を獣人国に蔓延させたのは彼等の所業です」

「そ、そんな……」

「さらには貴族レイドールは疫病に見せかけ、国王を毒殺しました」

「う、嘘ですよね。レイド―ルさんが夫を」

「残念ながら本当です。とても許せるものではありません」

「う、嘘だっ! そこの男の言っている事は嘘っぱちだ! 私はそんな事をしていない!」

「先ほど自白剤を打ったら白状したでしょうが……往生際の悪い」

 私は溜息を吐いた。

「まだショックで現実を受け止められていません。そちらの人間の方は一体?」

「私の元上司であり、レイドールと結託し『ブラック・リベリオン』と裏で糸を引いていた人物です」

「う、嘘だっ! 信じてくれっ! シオン殿! 俺はそんな事やっていない! 俺は無実だっ! 無実だぁっ!」

「あなたも自白剤を打ったら白状したでしょう。往生際が悪いですよ」

「そんな……ではこの方達がわたしたち獣人を苦しめていたっていうんですか?」

「その通りです」

「……そんな」

「この方達の所業はどうしましょうか?」

「所業と言われましても。わたしは」

 心優しいミシェルの事だ。借りに極悪人が相手だとしても非道な決断を下せるはずもない。

 だが時には強さや厳しさも国を率いる指導者には必要だ。だから私は助け船を出した。

「とりあえずは牢屋のようなものがこの獣人国にありますか?」

「あります。そういった施設も。やはり獣人も善人ばかりではありませんから」

「ではその施設にとりあえずは入れておきましょう。刑務所に」

「ええ……」

 実際は刑務所というより留置場というところだろう。

「く、くそっ! 離せっ! い、いやだぁ! 刑務所なんて行きたくない!」

「俺もいやだ! 臭い飯を食わされるのはっ!」

「兵士を呼びなさい。ユエル」

「はい! お母様!」

「さあ! 大人しくこっちについてこい!」

「い、いやだ! 離せ! わたしは無実だ!」

「俺もだ! 離せ! 何もやってないんだ!」

「いいから! こっちにこい!」

 兵士二人に引き連れられ、レイドールとアルバートは留置所に連れていかれた。

「行かれましたね」

「これでどうこうなるとは思えませんが、それでも新たに悪意を働かれる事はないでしょう」

「そうだと良いのですが……」

 だが、依然として『ブラック・リベリオン』は健在だ。まだ何か手を打ってくる事は考えうる。

 だが、貴族レイドールを捕らえ内部からの攻撃や妨害がなくなった事は大きい。

 夜も安心して眠る事ができそうだ。

 ◇

「入れ」

「く、くそっ! はなせ! 解放しろ! 俺を!」

「私は何もやってない! 冤罪だ!」

 留置場に二人は入れられた。他にも犯罪者的な、異様な顔つきの獣人達がその施設には収容されていた。

「貴様達の処遇は後日決定される! だが獣人族に病を持ちんだ容疑! そして国王陛下を暗殺した容疑! いくら貴族とはいえただでは済まされるものではない」

「そうだ! 心してその時を待つが良い!」

「く、くそっ! くそぉ!」

「な、なぜ俺まで! 俺はシオンを呼び戻しにきただけなのに! ううっ!」

 アルバートは涙を流し始めた。


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完結しました。お読みいただいた方々ありがとうございました。
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