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獣人の国の専属ドクターに選任される
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「ありがとうございます。シオン先生。あなた様のおかげで私の命は救われました」
そう、ミシェルは笑みを浮かべる。
「いえ。ドクターとして当然の事をしたまでです」
私は眼鏡をクイッとあげる。決まった。言ってみたかったんだ。この台詞を。
「シオン先生のおかげで母は救われました。本当にありがとうございます」
そうユエルは頭を下げた。
「そこでシオン先生にお願いがあるのです」
「お願いですか?」
「はい。今、獣人の国は奇病に侵されています。獣人の国を救えるのはシオン先生ただお一人です。シオン先生、どうか、私達、獣人の国の専属ドクターになってはいただけないでしょうか?」
「わたしからもお願いします。シオン先生、どうか、先生のお力で獣人の国をお救いして欲しいのです。どうかよろしくお願いします」
「わかりました。お受けしましょう」
「即答ですか!? まだ待遇の話も何もしていないのに!」
ユエルは驚いていた。
「待遇などそちらで決めて頂いて構いませんよ。私はただのドクターです。困っている人々がいる、救える命がある。私の力を必要としている人々がいるのです。人間も獣人も関係ありません。命を救う事こそがドクターの役目であり使命です」
「ありがとうございます、シオン先生」
ユエルは涙すら流しそうだった。
「全く、そんな事で涙を流していたらすぐに枯れてしまいますよ。ユエルさん」
「はい!」
ユエルは笑みを浮かべた。全く、表情がコロコロ変わる可愛い娘だと思った。
「ですが……シオン様。あなた様は私の命を救った恩人であり、この国をお救い頂く英雄になられるお方。こちらとしましてもできうるだけの待遇にはさせて頂きたく思います。まず報酬ですが、月金貨100枚でいかがでしょうか?」
「金貨100枚ですか?」
金貨1枚で大体、一般家庭が一月暮らせる程度の金額である。つまり100月分の生活費になりえた。
「不足でしたら、いくらでも増額致します。そして後日、専用の医療施設を用意させて頂ければと思います。そこで病んだ獣人達の治療にあたってもらえればと思います。そして住居ですが、この城を自由に使って頂いて構いません。いかがでしょうか?」
「え、ええ。こちらとしましてはそれだけ厚遇して頂けるのでしたら言う事はありません。私の力が病める獣人のお役に立てるのでしたら、いくらでも力になりたいと思っていますよ」
「まあ。それではよろしいのですね。シオン様」
「はい。王妃様。こちらこそよろしくお願いします」
私は頭を下げた。
「はい! よろしくお願いします! シオン先生!」
こうして私は獣人の国の専属ドクターになったのである。
◆◆◆
「シオン先生!」
「なんですか?」
廊下でユエルに会う。
「待遇についてもうひとつ決まった事があります」
笑顔だった。
「なんでしょう?」
「わたしが先生のお手伝いをする事になりました」
「お手伝い?」
「はい! お手伝いです! 患者さんとか一杯来るでしょうし。そのお世話をさせて頂こうと思っているんです!」
「……そうですか。ではユエルさんが私の専属看護師(ナース)というわけですね」
「ナースですか?」
「はい。ナースです。ドクターに付き従って患者のサポートをする職業(ジョブ)をナースというんですよ」
「じゃあ、私は先生のナースというわけですね」
「はい。王女様がナースというのも大変恐れ多い事ではありますが、これから私専属のナースとしてよろしくお願いしますね。ユエルさん」
「はい。これからよろしくお願いします! 先生!」
「……ん?」
「どうかしましたか? 先生」
「いえ、なんでもありません」
ユエルの手前私は平静を取り繕う。
今、死角から視線を感じた。あまり良くない視線だ。殺気の混じった視線。
死肺炎は普通に流行る病ではない。誰かが必ず裏で糸を引いている。
きっと、もうすぐに何かが起こる。そんな気がしていた。
「とりあえず、最初の仕事としてユエルさん。この王城の施設を教えてください。ここに住んでいるユエルさんなら来たばかりの私よりずっと詳しいでしょう」
「はーい! シオン先生!」
こうして私はユエルに案内をしてもらう事にした。
そう、ミシェルは笑みを浮かべる。
「いえ。ドクターとして当然の事をしたまでです」
私は眼鏡をクイッとあげる。決まった。言ってみたかったんだ。この台詞を。
「シオン先生のおかげで母は救われました。本当にありがとうございます」
そうユエルは頭を下げた。
「そこでシオン先生にお願いがあるのです」
「お願いですか?」
「はい。今、獣人の国は奇病に侵されています。獣人の国を救えるのはシオン先生ただお一人です。シオン先生、どうか、私達、獣人の国の専属ドクターになってはいただけないでしょうか?」
「わたしからもお願いします。シオン先生、どうか、先生のお力で獣人の国をお救いして欲しいのです。どうかよろしくお願いします」
「わかりました。お受けしましょう」
「即答ですか!? まだ待遇の話も何もしていないのに!」
ユエルは驚いていた。
「待遇などそちらで決めて頂いて構いませんよ。私はただのドクターです。困っている人々がいる、救える命がある。私の力を必要としている人々がいるのです。人間も獣人も関係ありません。命を救う事こそがドクターの役目であり使命です」
「ありがとうございます、シオン先生」
ユエルは涙すら流しそうだった。
「全く、そんな事で涙を流していたらすぐに枯れてしまいますよ。ユエルさん」
「はい!」
ユエルは笑みを浮かべた。全く、表情がコロコロ変わる可愛い娘だと思った。
「ですが……シオン様。あなた様は私の命を救った恩人であり、この国をお救い頂く英雄になられるお方。こちらとしましてもできうるだけの待遇にはさせて頂きたく思います。まず報酬ですが、月金貨100枚でいかがでしょうか?」
「金貨100枚ですか?」
金貨1枚で大体、一般家庭が一月暮らせる程度の金額である。つまり100月分の生活費になりえた。
「不足でしたら、いくらでも増額致します。そして後日、専用の医療施設を用意させて頂ければと思います。そこで病んだ獣人達の治療にあたってもらえればと思います。そして住居ですが、この城を自由に使って頂いて構いません。いかがでしょうか?」
「え、ええ。こちらとしましてはそれだけ厚遇して頂けるのでしたら言う事はありません。私の力が病める獣人のお役に立てるのでしたら、いくらでも力になりたいと思っていますよ」
「まあ。それではよろしいのですね。シオン様」
「はい。王妃様。こちらこそよろしくお願いします」
私は頭を下げた。
「はい! よろしくお願いします! シオン先生!」
こうして私は獣人の国の専属ドクターになったのである。
◆◆◆
「シオン先生!」
「なんですか?」
廊下でユエルに会う。
「待遇についてもうひとつ決まった事があります」
笑顔だった。
「なんでしょう?」
「わたしが先生のお手伝いをする事になりました」
「お手伝い?」
「はい! お手伝いです! 患者さんとか一杯来るでしょうし。そのお世話をさせて頂こうと思っているんです!」
「……そうですか。ではユエルさんが私の専属看護師(ナース)というわけですね」
「ナースですか?」
「はい。ナースです。ドクターに付き従って患者のサポートをする職業(ジョブ)をナースというんですよ」
「じゃあ、私は先生のナースというわけですね」
「はい。王女様がナースというのも大変恐れ多い事ではありますが、これから私専属のナースとしてよろしくお願いしますね。ユエルさん」
「はい。これからよろしくお願いします! 先生!」
「……ん?」
「どうかしましたか? 先生」
「いえ、なんでもありません」
ユエルの手前私は平静を取り繕う。
今、死角から視線を感じた。あまり良くない視線だ。殺気の混じった視線。
死肺炎は普通に流行る病ではない。誰かが必ず裏で糸を引いている。
きっと、もうすぐに何かが起こる。そんな気がしていた。
「とりあえず、最初の仕事としてユエルさん。この王城の施設を教えてください。ここに住んでいるユエルさんなら来たばかりの私よりずっと詳しいでしょう」
「はーい! シオン先生!」
こうして私はユエルに案内をしてもらう事にした。
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