宮廷鍛冶師、贋作しか作れないと追放されたが実は本物の聖剣や魔剣を鍛錬できていた~俺の代わりが見つからずに困り果てているらしいが、もう遅い。

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武具の力を得た亜人族

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「ひやはああああああああああああああああああああああああああああ!」

「うおっ! なんだこいつっ! ぎやあああああああああああああああああああ!」

「そんな! 俺達はミスリルを特別加工した超硬質の鎧を着ているんだぞ! それが何でこんな意図も容易く」

 ミスリルクローを装備した獣人王レオは敵兵の鎧をまるでバターのようにいとも容易く切り裂いた。

「へっ。こいつは便利だぜ! これが武器の力か!」

 レオは驚きを覚えていた。自らの肉体が武器の力で上書きされ、凄まじい攻撃力を発揮していた。今までは貫けた守りをいとも容易く貫く事ができる。

「すごいにゃ! 武器ってすごいにゃ! 簡単に敵が倒れていくにゃ!」

 ミーシャも驚いていた。

「てえええええええやああああああああああああああああああああああ! ニューハンマーの力思い知れええええええええええええ! てええええええええええええい!」

 ドワーフ王はフェイから授かったミスリルハンマーで敵を殴打する。

「ぐほっ!」

 ハンマーで殴打された敵兵は吹っ飛んで昏倒した。

「なんて力だ! 木のハンマーだったら簡単に壊れてしまってるだ! なんて丈夫なハンマーだ!」

 ドワーフ王は感激していた。

「うわっ! なんだっ!」

「や、やばいっ! 逃げろ! ドラゴンだっ!」

 竜は強力な種族である。とても一般兵では相手にできない。その上神竜の手綱により乗算された火竜フレイムの力は人の手に負えるものではない。

 それは戦闘ではない。駆逐だ。害虫を駆除するかのよう。

 ボワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

 フレイムは炎をブレスを吐いた。炎に敵兵が飲まれていく。

「ぐわあああああああああああああああああああああ!」

「あ、熱い! 体に火が! 燃える! 死ぬ! 誰か! 助けて!」

「お前達に同情はしない。侵略をしてきたのはお前達だからな。私達は守る為に闘うより他にない」

 火竜フレイムに跨ったシャロは告げる。

「なんや。もうそんなに残っとらんか」

 突如、天空に暗黒の竜が姿を現す。竜人の王バハムートだ。その姿は実に雄大であり、他のものを寄せ付けない圧倒的なまでの存在感があった。

「バハムート様ぁ!」

 フレイムは声を出す。

「バハムート様。この度のご助力感謝いたします」

「ええよ。別に。うちらにとって人間とか蟻みたいなもんやし」

「バハムート様! 奥の方にまだ一杯人間いるよ!」

「……そうか。まだおるんか。そいつは楽しみやな」

「食べて良いかな?」

「どうせ死ぬんならうち等の腹の中で栄養になった方がええんちゃう?」

「今、私はものすごい怖い会話を聞いてしまいました」

 シャロは恐れおののいていた。

◆◆◆

「なんだと! 突如現れた他種族により状況が一変しただと!」

 高台でその様子を見ていたルードは報告を聞いて、流石に大慌てをしていた。先ほどまでの余裕はない。

「は、はい! 獣人族、それからドワーフ族、おまけに竜人までが加勢し、状況が一気に劣勢になりました。味方の志気も著しく低下し、恐怖のあまり逃亡する者も多数存在しています」

「くっ……まさかこうなるとはな。仕方がない。ここまでする予定ではなかった、切り札を使う。魔道カノンだ」

「魔道カノンですか」

「ああ。被害が大きくなりすぎる為、あまり使いたくはなかったが、致し方ない。出来るだけ無傷で攻め落としたかったのだが。敗北するよりはいい」

「は、はい。わかりました。魔道カノンを使用します」

 魔道カノン。それは移動式の巨大砲台である。いくつ人もの魔術師の魔力を集め、その魔力をエネルギー源として放つ、殲滅兵器である。
 
 あまりに強大すぎる力故に、よほどの事がない限り使わない、諸刃の剣でもあった。戦地であれば多くの味方も巻き込んでしまう。

「ふっふっふ。まさか僕に切り札まで使わせるとは。やるじゃないか。エルフ。そして鍛冶師フェイ」

 ルードの顔に焦りはあったが、それでも切り札を切った事で幾分落ち着きを取り戻していた。
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