宮廷鍛冶師、贋作しか作れないと追放されたが実は本物の聖剣や魔剣を鍛錬できていた~俺の代わりが見つからずに困り果てているらしいが、もう遅い。

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開戦の知らせ

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ルード王子がエルフ国を去ってから数日が経過した。一通の封書が届く。それは宣戦布告の旨が書かれた書類だった。
 大帝国フィンからエルフ国への宣戦布告。
 だが、開戦の予定日は一ヶ月後である。

「一ヶ月後じゃと?」
「お父様……これはどういう事でしょうか?」

 俺達は会議室で会議をしていた。今後の戦争への対処を話し合っていたのである。国王、それからユース、シャロそして俺の四人である。

「恐らくは私達エルフ国を小国だと思って舐めているのだろう」

 シャロは憤っていた。

「ふむ。だが、この相手の油断を利用しない手はないの。準備を進めなければならない。戦争への準備を。もはや戦争は避けられぬのだからな」

 エルフ王はそう言っていた。

「ここはそうだの。多種種族への援軍を頼むかのう」

「援軍ですか?」

「うむ。大帝国の横暴が我々で終わるとは思えない。エルフ以外の種族にも及ぶ事であろう。ここで叩いておかなければ、きっと大きな被害へとなってくる。それを呼びかけ、援軍の要請をするのだ」

「そうですか。援軍ですか」

「すぐに使者を送るのだ。お手数ではあるがフェイ殿も賛同してはくれぬか?」

「俺が……?」

「わしのカンじゃ。フェイ殿には武具を作って欲しい気持ちもあるが、交渉の際に貴公の腕が必要になってくる気がしているのじゃ」

「は、はい。わかりました。ですがどの種族にアプローチをするのですか?」

「まずはそうじゃの。ドワーフ族じゃ。ドワーフの国に行ってみるかとするかの」

「私も行きますわ。お父様」

 ユースは手をあげる。

「私が行った方がいい事もあると思うのです。エルフの王女が使者として派遣されたとなれば相手もきっと本気だと理解すると思うのです」

「……そうか、ユース」

「私も役に立ちたいんです」

「そうか。では、私も護衛に行かせて貰いたいです」

 シャロは言う。

「構わない。子供達の意思を尊重しよう。三人で行ってきなさい」

「「ありがとうございます。父上」

「ありがとうございます」

 こうして俺達三人でドワーフの国へと出向く事になった。

 ◆◆◆

 大帝国での出来事である。国王エドモンドと宰相、それから王子の姿があった。

「ルード王子。なぜ開戦が一ヶ月後なのですか?」

「あがいている虫けらを見るのも愉悦だろう?」

「は、はぁ。そうですか」

「必死にあがき、最大限の準備をさせ、それでそれを圧倒的なまでの軍事力でねじ伏せる。それがまた快楽なんだ。あまりにあっけなかったらつまらないからね」

「そ、そうでございますか。流石は王子であります」

 立場が上の人物が決めた事に下の者が逆らえるはずもない。国王と宰相は頷くばかりであった。

 周囲をイエスマンでしか固めない。良くも悪くも大帝国は独裁的であった。

「せいぜい楽しませてくれよ。エルフの国。そして鍛治師フェイよ」

 ルード王子は余裕のある笑みを浮かべた。
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