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国王、王国一の呪術師集団でフェイを洗脳する事を決める
しおりを挟む「ぐぅ! どうすればいいんじゃ! フェイの寄り戻しに失敗したぞっ!」
「はい! 左様であります! あれはもはや心を決めております! どうしようもありません!」
王国に戻った国王と大臣は泣いていた。しかし国王はふと何かを思いついたようだ。泣き止む。
「わしは諦めん! 諦めんぞぉっ!」
「国王陛下、何か思いついたのですか?」
「奴の決意は堅いのはわかった。だが人間の心なんていうのは簡単なものだ。いとも容易くコントロールできる!」
「は、はぁ。どうやってですか!?」
「我が国一の呪術師集団を派遣しよう!」
「呪術師集団とはどんな集団ですか?」
「面妖な術を使う、魔法使いのような連中だ。そやつらの術の中で洗脳効果があるものがあった! フェイを洗脳してわし等のいう事を聞く道具にしてしまえばいい! そうすれば奴のご機嫌を伺う必要もなくなる! 好き放題に使い捨て、給料を一銭も払わんでもよい!」
「名案ですなっ! そんな便利な術があるのでしたらなぜ他の鍛冶師には使わないのですか? 無給で使い放題になるではないですか」
「お主は悪魔のような事を考えるの。呪術師集団とて金がかかるのだ。その上数人がかりで一人を洗脳するのがやっと。だから割が合わないんじゃ。雑多な贋作鍛冶師は低賃金でニンジンをぶらげておいた方が効率がいいんじゃ」
「なるほどっ! 流石国王陛下! それでは早速呪術師集団をお呼びしましょうぞ!」
「ふむ! そうするかの!」
国王は呪術師集団を王室に呼びつけた。
「我らが王国一の呪術師集団『呪(ノロイ)』であります」
「ふむ。呪よ。よく来てくれた」
数名の若い男女がいた。薄いヴェールで顔を隠している不気味な集団。率いているのは若い女のようだった。
「それでいかようでありましょうか? 国王陛下」
「洗脳して欲しい男がいるのだ」
「はい。どの男でしょうか?」
「王国でかつて鍛冶師をしていたフェイだ」
「フェイ殿ですか」
「できるか?」
「可能であると思います」
「して報酬はいか程を望む?」
「金貨200枚をお願いします」
「ぐっ! ううっ! 金貨200枚かのぉっ!」
国王は表情を歪める。しかし考える。金貨200枚はフェイがエルフの国からもらっている1月の賃金だ。
その金貨200枚で今後一生フェイが奴隷となり、使い放題になる事を考えれば決して高い金額ではない。
国王はそう考えていた。
「それは成功報酬かの?」
「いえ、成功も失敗も関係なくお支払い頂きたい」
「くっ! わかったわ! 払ってやるわ! その代わり必ず成功させるのだぞっ! 呪術師集団『呪(ノロイ)』よっ!」
「はっ! 仰せのままに!」
こうして国王のフェイ洗脳作戦が始まったのであった。呪術師集団はフェイがいるエルフの国へと向かう。
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