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国王 引退した伝説の鍛冶師に目をつけるがあまりの報酬の高さに目を飛び出して驚く
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品質低下の原因を突き止めた国王はフェイの代わりとなる鍛冶師を探していた。
やはり現役の鍛冶師で腕が立つ者の引き抜きは難しい。
そこで白羽の矢が立ったのが引退した鍛冶師だった。
かつて他国で宮廷鍛冶師をしていた男に目をつけたのだ。人呼んで伝説の鍛冶師。
名をエドガーという。白髪交じりの初老の男だった。国王はそのエドガーを招来しようと企んだのだ。とりあえず会ってみなければ話にならないと考えた国王はエドガーを呼び寄せた。
「エドガー殿よ。現役を退いたあなたを宮廷鍛冶師として招来するのは憚られた。だが、あなたの技術力の高さは評価しておる。是非、わが国で再びその鍛冶師としての腕を存分に発揮してはくれぬか?」
「して待遇はいかほどを用意して貰えるのですか?」
(すぐに待遇の話か。現金だの)
「どのようにすればいいのかの?」
「私のおっしゃっている条件を全て飲んでくれるのでしたら考えなくもありません」
「どのような条件かの?」
「まず報酬は月に金貨100枚」
「金貨100枚だとぉ!」
フェイは話を聞くに金貨1枚で月働いていたのである。いきなり100倍の要求である。
「私の鍛冶師として腕はそれくらいの価値があると自負しております」
「くっ……そうかの。他にもあるのかの?」
「ええ。次に労働時間ですが一日3時間を限度として頂きたい」
「なにぃ! 3時間だとぉ!」
フェイは一日12時間も働いていたと聞く。しかも休みも殆どなく出勤していたのだ。
「当然のように週に2日は休ませてもらいたい。調子が悪い時はさらのその日も休ませてもらいたい。私はこの通り、現役を引退した身で体力が衰えているのです。無理はできません」
「そ、そうなのかの」
国王はわなわなと震えていた。
「それでそなたならどれくらいの本数の武具の仕上げができるのじゃ? 例えば剣ならば一日何本できる?」
「そうですね。一日50本といったところです」
「50本だと! それだけか!」
フェイは一日に1000本もの剣の仕上げをしていたと聞く。実に20分の1しかできないのだ。実労働時間を考えればもう少しはマシになるが、それでもフェイの方が何倍も仕事ができたのだ。
「なんと失礼なお方だ! 並みの鍛冶師であれば一日10本が限界です! 私は50本もできるのですから作業効率は5倍なんですよ!」
「そうか。そうなのか。すまないの。無知だったもので」
なんという事だ。フェイの100倍もの賃金を支払った上で作業効率は20分の1になるのだ。
これは割が合わない。いかにプライドの高い国王でも背に腹は代えられなかった。
これだったらフェイを何とか呼び戻せばいい。2倍か3倍の給料にしてやれば喜んで働くだろう。それで元の鞘に戻るのだ。
流石の国王でも実際に金銭が絡んでくるとプライドを優先する事はできなかったのだ。
「いかがされますかな?」
「エドガー殿。この件は破談だ。すまなかったのご足労」
「そうですか。では私はこれで」
エドガーは去って行った。
「ふうっ。仕方ないの! 大臣よ!」
「はっ!」
「フェイがどこにいるか突き止めろ! フェイを探すのじゃ!」
「了解しました」
こうして国王はプライドを捨て、フェイを捜索する事を決めたのであった。
やはり現役の鍛冶師で腕が立つ者の引き抜きは難しい。
そこで白羽の矢が立ったのが引退した鍛冶師だった。
かつて他国で宮廷鍛冶師をしていた男に目をつけたのだ。人呼んで伝説の鍛冶師。
名をエドガーという。白髪交じりの初老の男だった。国王はそのエドガーを招来しようと企んだのだ。とりあえず会ってみなければ話にならないと考えた国王はエドガーを呼び寄せた。
「エドガー殿よ。現役を退いたあなたを宮廷鍛冶師として招来するのは憚られた。だが、あなたの技術力の高さは評価しておる。是非、わが国で再びその鍛冶師としての腕を存分に発揮してはくれぬか?」
「して待遇はいかほどを用意して貰えるのですか?」
(すぐに待遇の話か。現金だの)
「どのようにすればいいのかの?」
「私のおっしゃっている条件を全て飲んでくれるのでしたら考えなくもありません」
「どのような条件かの?」
「まず報酬は月に金貨100枚」
「金貨100枚だとぉ!」
フェイは話を聞くに金貨1枚で月働いていたのである。いきなり100倍の要求である。
「私の鍛冶師として腕はそれくらいの価値があると自負しております」
「くっ……そうかの。他にもあるのかの?」
「ええ。次に労働時間ですが一日3時間を限度として頂きたい」
「なにぃ! 3時間だとぉ!」
フェイは一日12時間も働いていたと聞く。しかも休みも殆どなく出勤していたのだ。
「当然のように週に2日は休ませてもらいたい。調子が悪い時はさらのその日も休ませてもらいたい。私はこの通り、現役を引退した身で体力が衰えているのです。無理はできません」
「そ、そうなのかの」
国王はわなわなと震えていた。
「それでそなたならどれくらいの本数の武具の仕上げができるのじゃ? 例えば剣ならば一日何本できる?」
「そうですね。一日50本といったところです」
「50本だと! それだけか!」
フェイは一日に1000本もの剣の仕上げをしていたと聞く。実に20分の1しかできないのだ。実労働時間を考えればもう少しはマシになるが、それでもフェイの方が何倍も仕事ができたのだ。
「なんと失礼なお方だ! 並みの鍛冶師であれば一日10本が限界です! 私は50本もできるのですから作業効率は5倍なんですよ!」
「そうか。そうなのか。すまないの。無知だったもので」
なんという事だ。フェイの100倍もの賃金を支払った上で作業効率は20分の1になるのだ。
これは割が合わない。いかにプライドの高い国王でも背に腹は代えられなかった。
これだったらフェイを何とか呼び戻せばいい。2倍か3倍の給料にしてやれば喜んで働くだろう。それで元の鞘に戻るのだ。
流石の国王でも実際に金銭が絡んでくるとプライドを優先する事はできなかったのだ。
「いかがされますかな?」
「エドガー殿。この件は破談だ。すまなかったのご足労」
「そうですか。では私はこれで」
エドガーは去って行った。
「ふうっ。仕方ないの! 大臣よ!」
「はっ!」
「フェイがどこにいるか突き止めろ! フェイを探すのじゃ!」
「了解しました」
こうして国王はプライドを捨て、フェイを捜索する事を決めたのであった。
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