宮廷鍛冶師、贋作しか作れないと追放されたが実は本物の聖剣や魔剣を鍛錬できていた~俺の代わりが見つからずに困り果てているらしいが、もう遅い。

つくも

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国王と大臣の会食

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「ぐふふっ! 飯がうまいのう!」

「本当ですなっ!」

 一方その頃。フェイを追放した王国では国王と大臣が会食をしていた。

「代わりなどいくらでもいる贋作鍛冶師など、いくらでも使い倒して当然じゃ」

「ええ。若くて安く雇える鍛冶師などいくらでもいるのです。ですから、年々と給料があがっていくという幻想を抱かせて、そして5年程度で打ち切りにしてまた若くて安い鍛冶師を雇えばいいのです。それをとにかく繰り返せばいい」

「そうじゃの。そうじゃの。鍛冶師など使い捨てにしておけばいいのじゃ。あいつ等の代わりなどいくらでもいるのだからの」

「そういえば国王陛下、あの男はどうしているのでしょうか?」

「あの男じゃと」

「はい。最近クビにしたばかりの贋作鍛冶師です」

「あのフェイとかいった男か。あいつは態度が生意気だしクビにしてやりたかったんじゃ。だから猶更せいせいしているわい」

「はい。全くですな。ぐふふっ」

「どうせ今頃、物乞いでもしているか、野垂れ死んでいるか、あるいはまたわしらに使われていた時と同じようにどこかで使い古されている事だろうよ」

「でしょうなっ。いやいや、万事抜かりなく飯がうまいです」

「まったくじゃっ」

「そういえば国王陛下」

「なんじゃ?」

「鍛冶師学校から新規に数名採用予定であります。今度就任式があるので出席してはくれませんか?」

「出席か。構わぬよ。ぐふふっ。贋作鍛冶師などいくらでもおる。大量に採用して、そして安く使い倒す。そして生産した武具を販売すればわしらはなにもせずに大儲けじゃ」

「ぐふふっ。まったくですな」

 二人は豪華な食事に舌づつみをうつ。その時はまだ、これからも万事うまくいくと二人は思っていたのである。だが今後、フェイという一人の贋作鍛冶師をクビにした事が後々に国家にとって大きな影響を与えていくのである。

 新規鍛冶師の就任式の事だった。数名の青年たちが王室に並ぶ。

「よくぞきてくれたっ! 若者たちよ! この仕事は夢に満ち溢れている! 給料は最初のところは安く抑えられているが、10年後には倍増を予定しておるっ! 15年後には今の3倍だっ! 今は苦しいかもしれないが、それでも将来は夢溢れた豊かな生活を保障しよう!」

 国王は嘘八百を並べた。どうせ5年後には雇用を打ち切る予定なのだ。だから10年後に倍になっていようが無意味なのである。
 辛い境遇を必死に我慢させる為の餌なのである。幻想のニンジンだ。

「諸君らの繁栄と共に、この王国をもっと繁栄させていこうではないか。国王として君たちの就任を心より喜んでいる。ささやかではあるがこの後立食パーティーを予定しておる。是非おいしい食事に舌鼓を打って欲しい」

 国王の言葉をその通りに信じている無垢な若者たち。その顔は夢や希望で輝いていた。
 しかし5年後に国王たちを恨む事になるとは、知る由もない。
 この笑顔の下に残酷な一面を持っている事を察する程の人生経験を無垢な彼等は持ち合わせていないのである。
 
 しかしこの後、国王と大臣にとって思いもよらぬ出来事が次々と襲い掛かってくるのであった。






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