上 下
6 / 58

何気なく作った剣がすごい切れ味だった

しおりを挟む
「うーん」

 俺は工房で唸っていた。

「いかがされましたか? フェイ様」

 俺の近くには二人の美少女エルフがいた。ユースとソフィアだ。

「武器を鍛錬するのはいいんだけど、何を作ればいいのかなー」

 具体性が必要だった。一体何を作ればこの国の為になるのか。

「でしたらエルフ兵の為に剣を打ってくださいませんか? 以前ご指摘されましたように我が国の兵は大した武器を持っておりませぬ」

「ふーん。エルフ兵の為の武器ねー」

 兵士という事はそれなりに数が必要だろう。という事はあまり性能の高いものを作るよりは量産した方が良さそうだった。

「質より量を多く作った方が良さそうだな」

「はい。それでお願いできればと思います」

「……それじゃあ適当に作っておくよ」

「はい。楽しみにしております」

 ユースは笑みを浮かべる。


 それから俺は数日間、ひたすらに剣を鍛造していた。こうして鍛造した剣は10振りほどだ。


「出来た!」

「お疲れ様でした。フェイ様」

 ソフィアが俺を労う。

 自分で言うのもなんだけど、そこそこの出来だった。

「ソフィア、エルフの兵士さんを呼んできてくれないか? 試しに振って貰いたいんだ」

 試し斬りをして貰いたかった。

「……はい。手配いたします」

 
 平野にエルフ兵達は案内された。目の前には大木が一本立っている。

「それでは皆様にフェイ様の鍛造した剣をお渡しします」

「はっ! ありがたき幸せであります」

 数人のエルフ兵がかしづいていた。

「性能を試してみたいそうです。誰か一人、前に出なさい」

「はっ! では隊長である私が」

「これがフェイ様のお作りになった剣です」

 ソフィアはエルフ兵に剣を渡す。

「なんと美しい剣でしょうか! 素晴らしい! 今までの使っていた剣とは見違えています!」

「ただの量産品で悪いだけど」

「滅相もありません! 素晴らしいものを提供頂きありがとうございます」

「それでは試し斬りをお願いします。性能を確かめたいとの事です」

「はっ! ではっ! 参ります」

 エルフ兵は剣を構える。

「……てやあああああああああああああああああああああ!」

 声と共に剣を振るった。
 
 手応えがなかった。

 しかし次の瞬間。ドサーーーーーーーーーン! と大きな音がして大木が真っ二つに斬れたのだ。

「な! なんともの凄い切れ味でしょうか! 木がバターのように斬れてしまいました」

「フェイ様! こんな素晴らしいものを我々に作ってくださり誠にありがとうございます!」

「そうかな……俺は普通の剣を作っただけのつもりだけど」

「滅相もありません! こんな素晴らしい剣他に見た事がありませぬ! あなた様のおかげですフェイ様! あなた様はこのエルフ国の救世主だ!」

「……そ、その剣を俺にくれ!」

「馬鹿! 俺のものだ!」

「やめないか! 君たち! フェイ様の鍛造した剣は上層部で決めた者に割り振る事とする!」

「心配しないでもいいよ。エルフ兵に行き渡るように作っておくから」

「フェイ様、何と言う寛大なお心。エルフ兵を代表してお礼申し上げます」

 なんか、えらい感謝されているな。普通に剣を鍛造しただけなのに。

「俺は工房に戻るから、また何かあったら言ってよ」

「「「はっ! フェイ様! この度は誠にありがとうございました」」」

 こうして剣を鍛造して渡したらエルフ兵に滅茶苦茶感謝された。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

倒すのが一瞬すぎて誰も見えなかった『絶対即死』スキルを持った暗殺者。護衛していた王子から何もしない無能と追放されてしまう

つくも
ファンタジー
「何もしない無能暗殺者は必要ない!お前はクビだ! シン・ヒョウガ」 それはある日突然、皇子の護衛としてパーティーに加わっていた暗殺者——シンに突き付けられた追放宣告。  実際のところ、何もしていなかったのではなく、S級の危険モンスターを一瞬で倒し、皇子の身を守っていたのだが、冗談だと笑われ聞き入れられない。  あえなくシンは宮廷を追放される事となる。  途方に暮れていたシンは、Sランクのモンスターに襲われている少女を助けた。彼女は神託により選ばれた勇者だという。 「あなたの力が必要なんです! 私と一緒に旅をして、この世界を救ってください!」 こうしてシンは彼女のパーティーに入り旅に出る事となる。  ――『絶対即死スキル』で魔王すら即死させる。これは不当な評価で追放された最強暗殺者の冒険譚である。

【オンボロ剣】も全て【神剣】に変える最強術者

月風レイ
ファンタジー
 神の手違いにより死んでしまった佐藤聡太は神の計らいで異世界転移を果たすことになった。  そして、その際に神には特別に特典を与えられることになった。  そして聡太が望んだ力は『どんなものでも俺が装備すると最強になってしまう能力』というものであった。  聡太はその能力は服であれば最高の服へと変わり、防具であれば伝説級の防具の能力を持つようになり、剣に至っては神剣のような力を持つ。  そんな能力を持って、聡太は剣と魔法のファンタジー世界を謳歌していく。  ストレスフリーファンタジー。

元勇者で神に近い存在になった男、勇者パーティに混じって魔王討伐参加してたら追い出されました。

明石 清志郎
ファンタジー
昔とある世界で勇者として召喚され、神に近い存在になった男ジン。 新人研修の一環として同胞の先輩から、適当に世界を一つ選んでどんな方法でもいいから救えと言われ、自分の昔行った異世界とは別の世界を選び、勇者四人の選定も行った。 自分もそこで勇者として潜入し、能力を隠しつつ、勇者達にアドバイスなんかを行い後方支援を行い、勇者を育てながら魔王討伐の旅にでていた。 だがある日の事だ。 「お前うるさいし、全然使えないからクビで」 「前に出ないくせに、いちいちうぜぇ」 等と言われ、ショックと同時にムカつきを覚えた。 俺は何をミスった……上手くいってる思ったのは勘違いだったのか…… そんな想いを抱き決別を決意。 だったらこいつらは捨ててるわ。 旅に出て仲間を見つけることを決意。 魔王討伐?一瞬でできるわ。 欲しかった仲間との真の絆を掴む為にまだよく知らない異世界を旅することに。 勇者?そんな奴知らんな。 美女を仲間にして異世界を旅する話です。気が向いたら魔王も倒すし、勇者も報復します。

孤児院で育った俺、ある日目覚めたスキル、万物を見通す目と共に最強へと成りあがる

シア07
ファンタジー
主人公、ファクトは親の顔も知らない孤児だった。 そんな彼は孤児院で育って10年が経った頃、突如として能力が目覚める。 なんでも見通せるという万物を見通す目だった。 目で見れば材料や相手の能力がわかるというものだった。 これは、この――能力は一体……なんなんだぁぁぁぁぁぁぁ!? その能力に振り回されながらも孤児院が魔獣の到来によってなくなり、同じ孤児院育ちで幼馴染であるミクと共に旅に出ることにした。 魔法、スキルなんでもあるこの世界で今、孤児院で育った彼が個性豊かな仲間と共に最強へと成りあがる物語が今、幕を開ける。 ※他サイトでも連載しています。  大体21:30分ごろに更新してます。

勇者、追放される ~仲間がクズばかりだったので、魔王とお茶してのんびり過ごす。戻ってこいと言われても断固拒否。~

秋鷺 照
ファンタジー
 強すぎて勇者になってしまったレッグは、パーティーを追放され、一人で魔王城へ行く。美味しいと噂の、魔族領の茶を飲むために!(ちゃんと人類も守る)

「モノマネだけの無能野郎は追放だ!」と、勇者パーティーをクビになった【模倣】スキル持ちの俺は、最強種のヒロインたちの能力を模倣し無双する!

藤川未来
ファンタジー
 主人公カイン(男性 20歳)は、あらゆる能力を模倣(コピー)する事が出来るスキルを持つ。  だが、カインは「モノマネだけの無能野郎は追放だ!」と言われて、勇者パーティーから追放されてしまう。  失意の中、カインは、元弟子の美少女3人と出会う。彼女達は、【希少種】と呼ばれる最強の種族の美少女たちだった。  ハイエルフのルイズ。猫神族のフローラ。精霊族のエルフリーデ。  彼女たちの能力を模倣(コピー)する事で、主人公カインは勇者を遙かに超える戦闘能力を持つようになる。  やがて、主人公カインは、10人の希少種のヒロイン達を仲間に迎え、彼女達と共に、魔王を倒し、「本物の勇者」として人類から崇拝される英雄となる。  模倣(コピー)スキルで、無双して英雄に成り上がる主人公カインの痛快無双ストーリー ◆◆◆◆【毎日7時10分、12時10分、18時10分、20時10分に、一日4回投稿します】◆◆◆

S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
ファンタジー
 主人公ライルはブリケード王国の第一王子である。  しかし、ある日―― 「ライル。お前を我がブリケード王家から追放する!」  父であるバリオス・ブリケード国王から、そう宣言されてしまう。 「お、俺のスキルが真の力を発揮すれば、きっとこの国の役に立てます」  ライルは必死にそうすがりつく。 「はっ! ライルが本当に授かったスキルは、【トカゲ化】か何かだろ? いくら隠したいからって、【竜化】だなんて嘘をつくなんてよ」  弟である第二王子のガルドから、そう突き放されてしまう。  失意のまま辺境に逃げたライルは、かつて親しくしていた少女ルーシーに匿われる。 「苦労したんだな。とりあえずは、この村でゆっくりしてくれよ」  ライルの辺境での慎ましくも幸せな生活が始まる。  だが、それを脅かす者たちが近づきつつあった……。

パーティーを追放された装備製作者、実は世界最強 〜ソロになったので、自分で作った最強装備で無双する〜

Tamaki Yoshigae
ファンタジー
ロイルはSランク冒険者パーティーの一員で、付与術師としてメンバーの武器の調整を担当していた。 だがある日、彼は「お前の付与などなくても俺たちは最強だ」と言われ、パーティーをクビになる。 仕方なく彼は、辺境で人生を再スタートすることにした。 素人が扱っても規格外の威力が出る武器を作れる彼は、今まで戦闘経験ゼロながらも瞬く間に成り上がる。 一方、自分たちの実力を過信するあまりチートな付与術師を失ったパーティーは、かつての猛威を振るえなくなっていた。

処理中です...