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ラインハルト王子が国王を説得に向かいます
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「ううっ……」
その日の翌日、朝の事でした。ラインハルト王子が目を覚まします。
「わ、僕は……気を失っていたのか」
「王子、良かった! 目を覚まされましたか! 起きなかったらどうしようかと思っておりました!」
使用人さんは泣いて喜んでいます。
「僕はどうしたんだ、一体、どうして急にベッドに」
「王子。隣国の薬師アイリス様が王子の命救ってくれたのです。しかも病にかかられた王子の命を救うために貴重な治療薬まで使用してくれて」
「そうか……そうだったのか。ありがとう、アイリス殿。誠に恩に着るよ」
「いえ、命が救われてとてもよかったです」
「良かったな。ラインハルト王子。アイリスに感謝しろよ」
レオ王子は言います。
「それではエル王子。私達もお暇しましょうか。どうやらラインハルト王子も問題ないようですし」
「そうだな……もうこれ以上用もない事だし」
私達は王国アーガスから立ち去ろうとしました。
その時の事でした。
「待ってくれ!」
「え?」
私達はラインハルト王子に呼び止められます。
「……少し待ってくれ。君達ともう少し話をしたい」
「いかがされたのですか? ラインハルト王子」
「命を救われたからというわけではないが……君たちに協力したいと思ったのだよ。我が父上。アーガスの国王の説得に協力したい」
「なぜなのですか? なぜそう思われたのか?」
「確かにこの度の戦争は対岸の火事だ。帝国ビスマルクとルンデブルグが戦争をするとしても直接の実害も実益も私達にはないかもしれない。だが、いつ対岸の火事がこちらに飛び火してくるかもわからないではないか」
「それはそうかもしれません……」
「そうだろう! 帝国の噂は聞いている。連中は強権的で強欲なまるで強盗のような連中と聞いている。その連中が借りに戦争に勝利し、ルンデブルグを植民地化した場合、ありそうな未来が領土の拡大だ。連中は隣国アーガスにまで恐らくは侵略してくるだろう」
「確かにその未来は否定できません」
私達は帝国の王女であるリノア王女を見ています。美しい少女ではありましたが、我儘なんてレベルではありません。エル王子もレオ王子も自分を着飾るアクセサリーか何かとしか思っていない節がありました。
彼女は自分以外の存在を物としか考えていないような感じでした。父である帝王を直接見てはいないのですが、恐らく同じような考えに見えます。
人を物としか思っていないのでしたら、再び侵略戦争を起こすのも時間の問題かもしれません。
「そうだろう。だから、僕たちの国にも協力させて欲しいんだ。今回の戦争、決して負ける事はできない。帝国の脅威を食い止めるなら今だと思うんだよ。僕は」
「レインハルト王子。こちらとしても協力して頂けるなら願ったり叶ったりです。ですがよいのですが、間違いなく血が流れます。そして、多くの兵士が傷つく事になります。命を落とされる兵士も出る事でしょう」
「それはわかっている。だが、さっきも言っただろう? 今兵士が傷つかなくても、帝国の脅威は恐らく我が国にも降り注いでくる。その時抗っても無駄なんだ。恐らく一国の力だけでは帝国に抗う事はできない。蹂躙されるだけだ。手を打つなら今のうちなんだ」
「そうですか……」
「やってやろうぜ! ラインハルト王子! 俺達の力で、あの帝国に一泡吹かせてやろうぜ!」
レオ王子も意気込みます。
「ええ! 我々の力で連中を見返してやりましょう! あいつ等は他国の事なんて所有物としか思っていないんです! 強大な軍事力でいつでも攻め落とせると思っているんです! ですがそうはいかないという事を我々の手で証明してやるんです!」
やはり男の人は闘うのが好きなのでしょうか。血気盛んなところがある気がします。随分と盛り上がっています。
「とりあえずはわが父、国王の説得をしなければなりません。よろしければ皆さまも同席してください」
「は、はい! 勿論です!」
こうして私達は再びアーガスの国王。ラインハルト王子の父上と面会する事になったのです。
その日の翌日、朝の事でした。ラインハルト王子が目を覚まします。
「わ、僕は……気を失っていたのか」
「王子、良かった! 目を覚まされましたか! 起きなかったらどうしようかと思っておりました!」
使用人さんは泣いて喜んでいます。
「僕はどうしたんだ、一体、どうして急にベッドに」
「王子。隣国の薬師アイリス様が王子の命救ってくれたのです。しかも病にかかられた王子の命を救うために貴重な治療薬まで使用してくれて」
「そうか……そうだったのか。ありがとう、アイリス殿。誠に恩に着るよ」
「いえ、命が救われてとてもよかったです」
「良かったな。ラインハルト王子。アイリスに感謝しろよ」
レオ王子は言います。
「それではエル王子。私達もお暇しましょうか。どうやらラインハルト王子も問題ないようですし」
「そうだな……もうこれ以上用もない事だし」
私達は王国アーガスから立ち去ろうとしました。
その時の事でした。
「待ってくれ!」
「え?」
私達はラインハルト王子に呼び止められます。
「……少し待ってくれ。君達ともう少し話をしたい」
「いかがされたのですか? ラインハルト王子」
「命を救われたからというわけではないが……君たちに協力したいと思ったのだよ。我が父上。アーガスの国王の説得に協力したい」
「なぜなのですか? なぜそう思われたのか?」
「確かにこの度の戦争は対岸の火事だ。帝国ビスマルクとルンデブルグが戦争をするとしても直接の実害も実益も私達にはないかもしれない。だが、いつ対岸の火事がこちらに飛び火してくるかもわからないではないか」
「それはそうかもしれません……」
「そうだろう! 帝国の噂は聞いている。連中は強権的で強欲なまるで強盗のような連中と聞いている。その連中が借りに戦争に勝利し、ルンデブルグを植民地化した場合、ありそうな未来が領土の拡大だ。連中は隣国アーガスにまで恐らくは侵略してくるだろう」
「確かにその未来は否定できません」
私達は帝国の王女であるリノア王女を見ています。美しい少女ではありましたが、我儘なんてレベルではありません。エル王子もレオ王子も自分を着飾るアクセサリーか何かとしか思っていない節がありました。
彼女は自分以外の存在を物としか考えていないような感じでした。父である帝王を直接見てはいないのですが、恐らく同じような考えに見えます。
人を物としか思っていないのでしたら、再び侵略戦争を起こすのも時間の問題かもしれません。
「そうだろう。だから、僕たちの国にも協力させて欲しいんだ。今回の戦争、決して負ける事はできない。帝国の脅威を食い止めるなら今だと思うんだよ。僕は」
「レインハルト王子。こちらとしても協力して頂けるなら願ったり叶ったりです。ですがよいのですが、間違いなく血が流れます。そして、多くの兵士が傷つく事になります。命を落とされる兵士も出る事でしょう」
「それはわかっている。だが、さっきも言っただろう? 今兵士が傷つかなくても、帝国の脅威は恐らく我が国にも降り注いでくる。その時抗っても無駄なんだ。恐らく一国の力だけでは帝国に抗う事はできない。蹂躙されるだけだ。手を打つなら今のうちなんだ」
「そうですか……」
「やってやろうぜ! ラインハルト王子! 俺達の力で、あの帝国に一泡吹かせてやろうぜ!」
レオ王子も意気込みます。
「ええ! 我々の力で連中を見返してやりましょう! あいつ等は他国の事なんて所有物としか思っていないんです! 強大な軍事力でいつでも攻め落とせると思っているんです! ですがそうはいかないという事を我々の手で証明してやるんです!」
やはり男の人は闘うのが好きなのでしょうか。血気盛んなところがある気がします。随分と盛り上がっています。
「とりあえずはわが父、国王の説得をしなければなりません。よろしければ皆さまも同席してください」
「は、はい! 勿論です!」
こうして私達は再びアーガスの国王。ラインハルト王子の父上と面会する事になったのです。
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