41 / 57
隣国に外交に向かいます
しおりを挟む
「アイリス、ちょっといいか?」
「はい? なんでしょうか?」
私はエル王子に呼び止められます。帝国と戦争をする事になりましたが、どうやら何もすぐに戦争が始まるわけではないようです。
ですので色々と準備をする時間はある様子。エル王子もレオ王子も忙しく駆け回っています。
レオ王子は軍隊の軍事演習を行っていたようでした。
「これから隣国のアーガスに行くんだ」
隣国アーガス。元々、私が生活していた国です。母国という事になります。
「何をしに行かれるのでしょう?」
「国王と面会する。その際に君も王国の薬師として帯同して欲しい」
「私に何をしろと?」
「君を外交の材料として、悪くいえば利用させて欲しいんだ」
「わかりました。ご一緒します」
「ありがとう、アイリス」
「いえいえ。これも仕事の内ですから。私にできる事でしたらなんでも言ってくださいと言いましたので」
「出発は明日の朝を予定している。それまでに準備をしておいてくれ。レオも帯同する予定だ。だがあいつは口が悪いから、余計な事を言わないように注意しておくよ」
「ははは……」
私は笑います。ノーコメントでお願いしたいものです。こうして私は隣国、私にとっては母国に向かう事になったのです。
◇
メイドによってめかしこんだ私の目の前に馬車が止まります。隣にはエル王子とレオ王子。ヴィンセントさんは王城でお留守番をする事になります。
「それじゃ、アイリス、乗ってくれ」
「はい」
私達は馬車に乗ります。
「それじゃあ、行ってくれないか」
「はっ!」
馬が鞭を叩かれます。
ヒヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!
パカパカと馬が走り出します。こうして私達は隣国に外交に向かう事になるのです。要するに戦争に協力して欲しいというお願いをするのです。嫌なお願いですが仕方がありません。
強大な帝国に抗うためには他に方法が残されていなかったのですから。
しかし、この時私は母国にたどり着いた時に思わぬ再会を果たすとは思ってもみませんでした。
私との婚約を破棄したロズワール様との再会です。思ってもいない彼との再会に、私は驚いてしまいました。まさかあんな事になっているなんて、夢にも思っていなかった事でしたので。
「はい? なんでしょうか?」
私はエル王子に呼び止められます。帝国と戦争をする事になりましたが、どうやら何もすぐに戦争が始まるわけではないようです。
ですので色々と準備をする時間はある様子。エル王子もレオ王子も忙しく駆け回っています。
レオ王子は軍隊の軍事演習を行っていたようでした。
「これから隣国のアーガスに行くんだ」
隣国アーガス。元々、私が生活していた国です。母国という事になります。
「何をしに行かれるのでしょう?」
「国王と面会する。その際に君も王国の薬師として帯同して欲しい」
「私に何をしろと?」
「君を外交の材料として、悪くいえば利用させて欲しいんだ」
「わかりました。ご一緒します」
「ありがとう、アイリス」
「いえいえ。これも仕事の内ですから。私にできる事でしたらなんでも言ってくださいと言いましたので」
「出発は明日の朝を予定している。それまでに準備をしておいてくれ。レオも帯同する予定だ。だがあいつは口が悪いから、余計な事を言わないように注意しておくよ」
「ははは……」
私は笑います。ノーコメントでお願いしたいものです。こうして私は隣国、私にとっては母国に向かう事になったのです。
◇
メイドによってめかしこんだ私の目の前に馬車が止まります。隣にはエル王子とレオ王子。ヴィンセントさんは王城でお留守番をする事になります。
「それじゃ、アイリス、乗ってくれ」
「はい」
私達は馬車に乗ります。
「それじゃあ、行ってくれないか」
「はっ!」
馬が鞭を叩かれます。
ヒヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!
パカパカと馬が走り出します。こうして私達は隣国に外交に向かう事になるのです。要するに戦争に協力して欲しいというお願いをするのです。嫌なお願いですが仕方がありません。
強大な帝国に抗うためには他に方法が残されていなかったのですから。
しかし、この時私は母国にたどり着いた時に思わぬ再会を果たすとは思ってもみませんでした。
私との婚約を破棄したロズワール様との再会です。思ってもいない彼との再会に、私は驚いてしまいました。まさかあんな事になっているなんて、夢にも思っていなかった事でしたので。
0
お気に入りに追加
3,653
あなたにおすすめの小説

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。

夫の告白に衝撃「家を出て行け!」幼馴染と再婚するから子供も置いて出ていけと言われた。
window
恋愛
伯爵家の長男レオナルド・フォックスと公爵令嬢の長女イリス・ミシュランは結婚した。
三人の子供に恵まれて平穏な生活を送っていた。
だがその日、夫のレオナルドの言葉で幸せな家庭は崩れてしまった。
レオナルドは幼馴染のエレナと再婚すると言い妻のイリスに家を出て行くように言う。
イリスは驚くべき告白に動揺したような表情になる。
子供の親権も放棄しろと言われてイリスは戸惑うことばかりでどうすればいいのか分からなくて混乱した。

【完結】幼い頃から婚約を誓っていた伯爵に婚約破棄されましたが、数年後に驚くべき事実が発覚したので会いに行こうと思います
菊池 快晴
恋愛
令嬢メアリーは、幼い頃から将来を誓い合ったゼイン伯爵に婚約破棄される。
その隣には見知らぬ女性が立っていた。
二人は傍から見ても仲睦まじいカップルだった。
両家の挨拶を終えて、幸せな結婚前パーティで、その出来事は起こった。
メアリーは彼との出会いを思い返しながら打ちひしがれる。
数年後、心の傷がようやく癒えた頃、メアリーの前に、謎の女性が現れる。
彼女の口から発せられた言葉は、ゼインのとんでもない事実だった――。
※ハッピーエンド&純愛
他サイトでも掲載しております。

【短編】捨てられた公爵令嬢ですが今さら謝られても「もう遅い」
みねバイヤーン
恋愛
「すまなかった、ヤシュナ。この通りだ、どうか王都に戻って助けてくれないか」
ザイード第一王子が、婚約破棄して捨てた公爵家令嬢ヤシュナに深々と頭を垂れた。
「お断りします。あなた方が私に対して行った数々の仕打ち、決して許すことはありません。今さら謝ったところで、もう遅い。ばーーーーーか」
王家と四大公爵の子女は、王国を守る御神体を毎日清める義務がある。ところが聖女ベルが現れたときから、朝の清めはヤシュナと弟のカルルクのみが行なっている。務めを果たさず、自分を使い潰す気の王家にヤシュナは切れた。王家に対するざまぁの準備は着々と進んでいる。

【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。
112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。
愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。
実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。
アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。
「私に娼館を紹介してください」
娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──

【完結】都合のいい女ではありませんので
風見ゆうみ
恋愛
アルミラ・レイドック侯爵令嬢には伯爵家の次男のオズック・エルモードという婚約者がいた。
わたしと彼は、現在、遠距離恋愛中だった。
サプライズでオズック様に会いに出かけたわたしは彼がわたしの親友と寄り添っているところを見てしまう。
「アルミラはオレにとっては都合のいい女でしかない」
レイドック侯爵家にはわたししか子供がいない。
オズック様は侯爵という爵位が目的で婿養子になり、彼がレイドック侯爵になれば、わたしを捨てるつもりなのだという。
親友と恋人の会話を聞いたわたしは彼らに制裁を加えることにした。
※独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる