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【義妹SIDE】奴隷として競りに出される
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「さ、最悪ですわ……なぜこんなことに。私は悪くありませんわ。悪いのは全部あの根暗女ですの」
薄暗い、そして寒い檻の中、ディアンナは閉じ込められていた。
「私がなぜこんな事に、ううっ……」
ディアンナはナンバープレートのようなものをつけさせられた。『13』。13番目のプレートという事であろう。
周りにいる数十名の娘達もまたプレートをつけさせられている。一体これから何が始まるというのか。
ぞろぞろと娘たちが連れられて行く。
「ほら、お前も行くんだ。ちゃっちゃと歩かないか」
男に連れられて檻の外へ向かう。手足に鎖をつけられているので逃走は困難であった。
「ひ、ひゃぁ! な、なんですの!」
「いいから付いてこい!」
ディアンナは檻の外へと連れ出された。
◇
「な、なんですのここはっ!」
多くの観客がいるステージのようであった、そこは。煌びやかな装飾品を身に着けた成金の男女たち。
その目は完全に楽しんでいた。一列に並ぶ少女達を物色するような目で見ていた。まるで装飾品をえらぶかのように。完全にショッピングのような気分である。
そう彼等は買い物に来ているのだ。
「え、えらいところに来てしまいましたわ!」
「さあ、それでは奴隷オークションを開始します!」
司会の男がそう宣言する。パチパチパチ、乾いた拍手がする。
「それでは早速エントリーナンバー1番、この娘から行きましょう! 金貨1枚からのスタートです!」
「金貨2枚!」「3枚だ!」「こっちは10枚!」
どんどんと金額があがっていく。そうやってせっていくのだ。
「な、なんて事でしょうか。人を家畜みたいに競りに出すなんて。私達を家畜だとしか思っていないようですわね。何とも思っていないようですわ」
ディアンナは嘆いた。世の中酷い人間もいるもんだと思った。自分も相当ひどい事をアイリスにしてきたのだが、わが身は振り返らなかった。そういう人間性の持ち主である。
そうこうしているうちにディアンナの番になった。
「さあ! それではこの13番の少女! いってみましょうか! 金貨5枚からのスタートです!」
「金貨5枚!」「8枚だ!」「こっちは10枚!」「20枚!」
「まあ、どんどん金額があがっていきますわ」
さっきの娘は金貨70枚だった。その金額を超えそうである。些細な事であり、自分には一銭も入らないにも関わらず、ディアンナは妙な承認欲求に取りつかれていた。金額が増える事に喜びを覚えていたのである。
「金貨100枚!」
一人の男がせってきた。恰幅のいい中年である。煌びやかな宝石を身に着け、王冠をしたいかにもな男。
「おおっと! これは帝国ビスマルクの帝王陛下だっ! やはりこの人には誰にもかなわない! なにせ我ら帝国の帝王だからだっ!」
周囲が静まり返った。流石に帝王には噛みつけないようだ。資金で殴り合いしても無駄だろうし、下手にかみついて恨みを買うだけ損である。
「ハンマープライス! 金貨100枚でこの13番の少女は帝王様のものです! おめでとうございます!」
「ま、まあ。そんなに私に値段がついたんですの」
ディアンナは喜んでいた。こんな状況にも関わらず。それに帝王とはどういう事か。
こうしてディアンナは奴隷として、帝王のものとなったのである。
こうして奴隷オークションは進んでいった。
不安ではあるがディアンナは運命の奔流に流され、ただただその身を任せるより他になかったのである。
薄暗い、そして寒い檻の中、ディアンナは閉じ込められていた。
「私がなぜこんな事に、ううっ……」
ディアンナはナンバープレートのようなものをつけさせられた。『13』。13番目のプレートという事であろう。
周りにいる数十名の娘達もまたプレートをつけさせられている。一体これから何が始まるというのか。
ぞろぞろと娘たちが連れられて行く。
「ほら、お前も行くんだ。ちゃっちゃと歩かないか」
男に連れられて檻の外へ向かう。手足に鎖をつけられているので逃走は困難であった。
「ひ、ひゃぁ! な、なんですの!」
「いいから付いてこい!」
ディアンナは檻の外へと連れ出された。
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「な、なんですのここはっ!」
多くの観客がいるステージのようであった、そこは。煌びやかな装飾品を身に着けた成金の男女たち。
その目は完全に楽しんでいた。一列に並ぶ少女達を物色するような目で見ていた。まるで装飾品をえらぶかのように。完全にショッピングのような気分である。
そう彼等は買い物に来ているのだ。
「え、えらいところに来てしまいましたわ!」
「さあ、それでは奴隷オークションを開始します!」
司会の男がそう宣言する。パチパチパチ、乾いた拍手がする。
「それでは早速エントリーナンバー1番、この娘から行きましょう! 金貨1枚からのスタートです!」
「金貨2枚!」「3枚だ!」「こっちは10枚!」
どんどんと金額があがっていく。そうやってせっていくのだ。
「な、なんて事でしょうか。人を家畜みたいに競りに出すなんて。私達を家畜だとしか思っていないようですわね。何とも思っていないようですわ」
ディアンナは嘆いた。世の中酷い人間もいるもんだと思った。自分も相当ひどい事をアイリスにしてきたのだが、わが身は振り返らなかった。そういう人間性の持ち主である。
そうこうしているうちにディアンナの番になった。
「さあ! それではこの13番の少女! いってみましょうか! 金貨5枚からのスタートです!」
「金貨5枚!」「8枚だ!」「こっちは10枚!」「20枚!」
「まあ、どんどん金額があがっていきますわ」
さっきの娘は金貨70枚だった。その金額を超えそうである。些細な事であり、自分には一銭も入らないにも関わらず、ディアンナは妙な承認欲求に取りつかれていた。金額が増える事に喜びを覚えていたのである。
「金貨100枚!」
一人の男がせってきた。恰幅のいい中年である。煌びやかな宝石を身に着け、王冠をしたいかにもな男。
「おおっと! これは帝国ビスマルクの帝王陛下だっ! やはりこの人には誰にもかなわない! なにせ我ら帝国の帝王だからだっ!」
周囲が静まり返った。流石に帝王には噛みつけないようだ。資金で殴り合いしても無駄だろうし、下手にかみついて恨みを買うだけ損である。
「ハンマープライス! 金貨100枚でこの13番の少女は帝王様のものです! おめでとうございます!」
「ま、まあ。そんなに私に値段がついたんですの」
ディアンナは喜んでいた。こんな状況にも関わらず。それに帝王とはどういう事か。
こうしてディアンナは奴隷として、帝王のものとなったのである。
こうして奴隷オークションは進んでいった。
不安ではあるがディアンナは運命の奔流に流され、ただただその身を任せるより他になかったのである。
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