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私の作った薬は高値で取引されているようです
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「国王陛下、なんでしょうか?」
私は国王陛下に呼び出されてしまいます。
「実はアイリス様の作った薬、国内にも行き渡らない状態なのに、世界中から購入者が殺到していて、今価格が大変高騰しているんだ」
「へ、へー。そうなんですか」
「命あっての物種というからね。今世界中の富豪が命おしさにアイリス様の薬を購入しようとしているらしい。だからその薬ひとつで家一軒の値段がついているそうだよ」
「ま、まあ! そんなに!」
「勿論、我々としても規制はしているが、どうしても人の手に渡った後のことは管理しきれない。闇市のようなところに流れ、売りさばかれているらしい。命よりお金を優先する人たちは確実に存在しているからね」
「わ、私はどうすれば……やはり私の作っている量が少ないからですよね?」
「そういうわけではないよ。これ以上働かなくていい。アイリス様はよくやっている」
「ただ我々もそういうことが起きているとあなたに説明したかったのよ。気を負わないで。あなたは今まで通りのペースで仕事をしていればいいのよ」
国王と王妃はそう説明してくれました。私の作った薬が高値で取引されているというのも変な気分です。
◇
私はその日お休みを頂き、街に出ようとしました。久々の外出です。その時です。エル王子に呼び止められてしまいます。
「どこに行こうとしているんだい?」
「それは街にいこうと」
「何を言っているんだ? 君は? 一人で行こうとしているのかい?」
「え、ええ……何かいけませんか?」
「君は自分の価値をわかっていないようだね。貴重な薬を作れる君は当然重宝される。誘拐くらいされるかもしれない」
「ま、まあ! そうなんですか!」
薬を作ること以外頭にない私には考えつきもしないことでした。
「だから僕も行くよ。何かあったとしても君は僕が守る」
返ってよかったのかもしれません。こうしてエル王子と二人きりで街へ出向くことになったのです。
◇
「アイリス様だ!」
「薬師のアイリス様だ!」
「それにエル王子も!」
私たちを見て、国民たちが声をあげます。
「もしかして私って有名なんですか?」
「王国を救う救世主、聖女だって有名になっているよ」
「ええっ!? 本当ですか。私が!?」
私は驚きました。
「お姉ちゃん!」
その時、私の目の前に子供が現れました。男の子です。
「どうしたの? 僕?」
その時、母親らしき女性も姿を現わします。
「ありがとうございます。アイリス様。この子をアイリス様のお作りになられた薬で命を救われたのです」
「うん! ありがとうお姉ちゃん! 薬師のお姉ちゃんのおかげだよ!」
「まあ、それはよかったわね」
思わず私は笑みを浮かべました。
「……お姉ちゃんとエル王子は結婚するの?」
流石は子供です。大人は言いづらいようなことをさらりと言ってきます。
「えーと……それはまあ、うーん」
「こ、こらっ! す、すみませんね、アイリス様。王子。私たちはこれで失礼します」
そして子供を連れて母親はどこかへ去って行った。
「はは……子供は無邪気でかわいいね」
エル王子は笑みを浮かべました。こうして城下町での一日は過ぎ去っていくのです。
エル王子と過ごす一日はあっという間の出来事でした。
私は国王陛下に呼び出されてしまいます。
「実はアイリス様の作った薬、国内にも行き渡らない状態なのに、世界中から購入者が殺到していて、今価格が大変高騰しているんだ」
「へ、へー。そうなんですか」
「命あっての物種というからね。今世界中の富豪が命おしさにアイリス様の薬を購入しようとしているらしい。だからその薬ひとつで家一軒の値段がついているそうだよ」
「ま、まあ! そんなに!」
「勿論、我々としても規制はしているが、どうしても人の手に渡った後のことは管理しきれない。闇市のようなところに流れ、売りさばかれているらしい。命よりお金を優先する人たちは確実に存在しているからね」
「わ、私はどうすれば……やはり私の作っている量が少ないからですよね?」
「そういうわけではないよ。これ以上働かなくていい。アイリス様はよくやっている」
「ただ我々もそういうことが起きているとあなたに説明したかったのよ。気を負わないで。あなたは今まで通りのペースで仕事をしていればいいのよ」
国王と王妃はそう説明してくれました。私の作った薬が高値で取引されているというのも変な気分です。
◇
私はその日お休みを頂き、街に出ようとしました。久々の外出です。その時です。エル王子に呼び止められてしまいます。
「どこに行こうとしているんだい?」
「それは街にいこうと」
「何を言っているんだ? 君は? 一人で行こうとしているのかい?」
「え、ええ……何かいけませんか?」
「君は自分の価値をわかっていないようだね。貴重な薬を作れる君は当然重宝される。誘拐くらいされるかもしれない」
「ま、まあ! そうなんですか!」
薬を作ること以外頭にない私には考えつきもしないことでした。
「だから僕も行くよ。何かあったとしても君は僕が守る」
返ってよかったのかもしれません。こうしてエル王子と二人きりで街へ出向くことになったのです。
◇
「アイリス様だ!」
「薬師のアイリス様だ!」
「それにエル王子も!」
私たちを見て、国民たちが声をあげます。
「もしかして私って有名なんですか?」
「王国を救う救世主、聖女だって有名になっているよ」
「ええっ!? 本当ですか。私が!?」
私は驚きました。
「お姉ちゃん!」
その時、私の目の前に子供が現れました。男の子です。
「どうしたの? 僕?」
その時、母親らしき女性も姿を現わします。
「ありがとうございます。アイリス様。この子をアイリス様のお作りになられた薬で命を救われたのです」
「うん! ありがとうお姉ちゃん! 薬師のお姉ちゃんのおかげだよ!」
「まあ、それはよかったわね」
思わず私は笑みを浮かべました。
「……お姉ちゃんとエル王子は結婚するの?」
流石は子供です。大人は言いづらいようなことをさらりと言ってきます。
「えーと……それはまあ、うーん」
「こ、こらっ! す、すみませんね、アイリス様。王子。私たちはこれで失礼します」
そして子供を連れて母親はどこかへ去って行った。
「はは……子供は無邪気でかわいいね」
エル王子は笑みを浮かべました。こうして城下町での一日は過ぎ去っていくのです。
エル王子と過ごす一日はあっという間の出来事でした。
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