聖剣を錬成した宮廷錬金術師。国王にコストカットで追放されてしまう~お前の作ったアイテムが必要だから戻ってこいと言われても、もう遅い!

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魔王四天王の登場

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 宿屋へと着いた四人。早速ではあるがエルクはリーネから魔道書を借りた。自室で解析をする。

「どうだったんですか?」

 リーネは聞く。

「この魔道書は古代の魔道書です。失われた古代魔法について書かれています」
「古代魔法?」
「ええ。勇者と魔王が闘ったとされる2000年前にあった魔法です。その古代魔法は現代の魔法では行使できる比ではない程強力だそうです。指定されるランクはEX。つまりは規格外の力を放つ事でしょう」
「それで、その魔法はどうやったら使えるようになるんですか?」
「この魔導書では覚える事はできません。この魔導書はその場所が示されているのです」
「その場所とは?」
「魔導書に示されている場所はここから北にあるエルフの森を抜けたところ。そこに存在する搭にあるそうです。そこに古代文明の残した遺産があります。そこに古代魔法の手がかりがあるそうです」
「早速、そこに行きましょう!」
「待って。私も魔道士として興味がないわけじゃない。というか、勿論ある。古代魔法。強力な魔法なんでしょうね。でも今はそこに固執するべきではないと思うの。現存する魔法や攻撃でも大抵のモンスターは攻略できる。そこにこだわるよりも冒険者パーティーとしてクエストを地道にクリアして、ランクをあげていく方が先決だと思うの」

 イシスはそう進言する。

「確かにそうです。ランクEXの魔法は確かに魅力的ではあるのですが、その魔法でなければ倒せない敵とはそうはいないでしょう。手間や労力を考えると些か割が合わないかもしれません」
「そうですか。じゃあ、この搭を目指すのは後回しという事ですか」
「残念ながらそうですね。この搭に行くにはエルフの森を通らなければなりませぬ。エルフは長命で美しい見た目をした亜人種ですが排他的です。簡単に通してくれるとも思えませぬ」
「うーん。残念ですが仕方ないですね。今はもっと優先度の高い事をしていきましょう」
「はい!」

 この時はまだそう考えていた。そう、この時はまだ。

 王国アーガス。国王の間だった。

「来たれよ! 我が魔王に従う四人の傑物達よ!」

 魔王となった元国王はそう言う。

「魔王に仕える四天王よ!」

 一人は明らかに人間といった見た目をしていた。金髪をした白い鎧の騎士だ。
 彼の名はガウェインという。2000年前に人間でありながら魔王に寝返った元人間である。彼は四天王の一角である。
 次は女である。だが彼女は人間ではない。妖艶な見た目、白い蝋燭のような肌をし、黒のドレスに身を包んだ彼女は俗に言う不死者の王である吸血鬼(ヴァンパイア)である。
 吸血鬼カーミラ。
 そしてその次に黒いローブを着た魔道士風の男。彼は人間ではない。魔族である。魔人ネメシス。人類最強の魔法使いを遥かに超越した魔法の使い手であり、魔道を極めし存在である。大魔道士である。
 そして最後は褐色の肌の女性。彼女はダークエルフと呼ばれる人種だった。エルフ故の高い魔力を持ちながら、剣術を行う事も出来る。魔法剣士と呼ばれる存在であった。
 彼女の名はゼロティアと言う。
 バラエティに富んだ四人の強者達。それが魔王の四天王である。

「よくぞ集まってくれた。魔王に仕える四人の傑物達よ」
「「「「魔王様の御心のままに」」」」
「ぐっふっふっふ! これほどの強者がわしに従っておるぞ! 夢のようだ! ぐっふっふっふ! ぐっふっふっふ!」
 魔王は笑う。
「それで魔王様、いかがされるのでしょうか?」
「我々魔王軍の力を全世界に見せつけてやろうぞ! 手短の国や町を手当たり次第に襲いまくれ!」
「はっ! ・・・・・・御心のままに」

 四人はぞろぞろと魔王室を出て行く。

「全く、馬鹿な人間ね。本当に私達を使役したつもりになっている」

 部屋を出た時の事だった。ゼロティアは吐き捨てる。

「本当だ。だがあんな馬鹿でも感謝しなければならないな。おかげで俺達はこうして復活する事ができたのだからな」

 ガウェインは吐き捨てる。

「本当馬鹿な奴。けど馬鹿とハサミは使いようって言うじゃない。くっくっく。あんな馬鹿でも煽ててれば木に登るでしょうよ」

 カーミラは笑う。

「我らが仕えるのは真なる魔王様ただお一人だ。あいつは魔王様の力を借りただけの器にすぎない」
「真なる魔王の復活。それこそが私達の目的」
「ええ。その通り」
「それでどうするつもりだ? あの豚の言うことを聞くのか?」
 
 ネメシスは聞く。

「魔王様の真なる魂は四つに分断されていると聞きます。だがその魂は私達にも感知できないように巧妙に隠されている。ですから諜報活動を始めましょう」
「そうだな。だがその諜報活動の最中、邪魔をする者や正直に答えないものもいるだろう。交戦になる事もなる」
「その時は、そう。あの豚の言う通りに暴れ回ればよいでしょうよ」

 ゼロティアは笑った。こうして魔王軍四天王は世界各国へと飛んだ。
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