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難病の少女を一瞬で治しめちゃくちゃ感謝される
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「はぁ~……つきました」
四人はリーシアの妹がいる町にたどり着いた。長閑な町だった。リーシアの実家がある町でもある。
「ゆっくりと休んでいる暇はありませんよ。早速ですがリーシアさんのご実家に行きましょうか」
「は、はい。先生。案内します」
リーシアに案内され、その町の一軒家に案内される。
「ごほっ! がほっ! ごほっ!」
家に入るなり、せき込むような声が聞こえてきた。
「だ、大丈夫かティナ。もうすぐ新しい白魔導士を連れてくるから」
「む、無理だよ。だって何人連れてきても私の病気は治らなかったじゃない。私はもう死ぬ運命なのよ」
「あ、諦めるな。希望を捨てなければ絶対」
「希望を抱けば絶望が深くなるだけよ。私も最初の頃連れてきた先生達には期待してた。でも無理だった。だから希望を抱かないようにしたの。これも自分の運命だって諦めた方が気が楽になるから」
明るくない話が聞こえてきた。
「お母さん」
「……あら。リーシア、おかえりなさい」
一人の女性が現れる。優しそうな女性ではあるが目には疲れが見える。やはり重病の娘がいると気が気ではないのだろう。その心労を察するのはたやすい。
「どうしたの? 冒険者が嫌になって逃げかえってきた?」
「そんなわけないじゃない」
「そちらの方々は?」
「錬金術師の先生、それと一緒に冒険をするパーティーの皆なの」
「あら。そうだったの。初めまして。リーシアの母です。娘がお世話になっております」
リーシアの母は頭を下げた。
「それでお母さん、ティナは」
「今お父さんが様子を見ているわ」
「容態はどうなの?」
「変わらないわよ」
お母さんは頭を振る。
「なに? お見舞いにきてくれたの? 是非顔をみていってやって」
「うん。そうじゃないけど。そのようなものかもしれない」
リーシアは疑っていたわけではない。しかしエルクでもどうにかできなかった場合、絶望がより深くなる気がして信じきれなかったのだ。
「ともかくティナのところへ行くから」
「ええ。是非顔を見ていってね」
「お邪魔します」
四人はリーシアの妹のティナのところへ行った。
「ごほっ! ごほっ! ごほっ!」
「大丈夫か! ティナ!」
嗚咽する娘。それから介護をする父の痛々しい姿があった。母は台所に立っていたことから食事の用意をしていたのであろう。皆、疲れ切っている様子だった。
ティナもリーシアと同じで美人である。面影があるが、その蒼白な表情は美しいという印象より先惨めさを感じさせる。
「お、お客様かしら。それに、お姉ちゃん」
「リーシア。お客様まで。一体どうして」
「ティナ、錬金術師の先生を連れてきたよ。すっごい先生だから。ティナの病気も治せるかも」
「そんなわけないじゃない。今まで何人も先生を連れてきても私の病気は治せなかったんだから」
「ともかく診てみなければわかりません。私に診せてはいただけないでしょうか」
「……無駄だと思いますが、それでもよろしければ」
エルクはリーシアを診察する。
「ね。無駄でしょう。無理ですよね。治せるわけないですよね。何人先生を連れてきても無理だったんですから」
「治せますよ」
「え?」
「今、なんと」
「治せますよ。あなたの病。大昔に流行った流行り病です。現代の白魔法では癒す事はできませんか、古代の知識から秘薬を作れば治ります」
「う、嘘よ! そんな簡単に治せるはずがない! きっとうまい事をいって、うちからお金を絞りとる気でしょう!」
「ティナ! エルク先生がそんな事をする人なわけないでしょう!」
「まあ、いいです」
エルクは錬成石による高速錬成で一瞬にして秘薬を作り出した。
「疑うのはこれを飲んでからにしてみませんか」
エルクは秘薬を差し出す。
「別にいいです。あなたが渡したのが毒薬でもなんでも。楽に死ねるなら本能ですから」
ティナは女の子とは思えない強引な飲みっぷりで秘薬を一気飲みした。すると体が緑色の光で覆われる。
「う、うそ! ……体が」
そしてティナは常時していた咳が消え、顔色も元通りになった。
「どうして。今まで治せなかったのに」
「だから言ったでしょう。ティナ、先生は凄い先生だって」
「お姉ちゃん、私、うわあああああああああああああん!」
「ティナ! ううっ!」
リーシアとティナは抱き合った。リーシアはそれほどまでにティナの病気が治る事を祈っていたのである。
「ほら、ティナ、先生にお礼を言いなさい」
「ありがとうございます! 先生! ごめんなさい、私先生の言う事信じられなくて。何度も裏切られてきたからそれで。うわあああああああああああん!」
「そう、謝らなくていいですよ。大切な教え子であるリーシアさんの妹さんが健康になって私も嬉しいのです」
「母さん! ティナの病気が治ったって!」
「え? 嘘? 本当なの?」
先ほどまでの生気のない表情が嘘のようだった。活気のある顔で両親がエルクの元へ駆け寄ってきた。
「せ、先生! ティナの病気が治ったんですか」
「ええ。まあ、おそらくそうですが」
「本当なの? ティナ! 治ったの?」
「う、うん。そうみたい。自分でもあっけないくらい。何事もなかったように元気になって」
「先生! ありがとうございます!」
「は、はい。親御さんにも喜んでいただけて私としても嬉しい限りです」
「今日はお祝いだ! 盛大にパーティーを開こう!」
「先生も是非参加してください。あなたはティナの恩人というだけではありません。私達の恩人です」
「え、ええ。まあ。ではお言葉に甘えて」
こうしてパーティーが開かれる事となる。
「ところで先生は独身なんですか?」
豪華な料理がテーブルに並び酒が振舞われている最中の事だった。父は喜びのあまり飲みすぎ、酒を飲み過ぎていた。ついついハメを外してしまっていた。
「お父さん、いきなり失礼よ」
「はは……お恥ずかしながら独身です。長年自室にこもりっきりで、あまり縁らしい縁もなかったんですよ」
エルクは笑いながら答える。エルクも酔っていた。
「あなたは娘ーーティナの命の恩人です。そして優秀な錬金術師だと聞いております。よろしければ私の娘どちらか貰っていただけないでしょうか?」
「お、お父さん!」
「あら? お姉ちゃんはエルク先生と結婚したくないの?」
「そ、そんな事はないけど。勿論結婚して欲しいけど。え? って、ティナ。何言わせるのよ!」
「先生!」
ティナはエルクの手を握る。そして潤んだ瞳で見つめ、熱心に語りかけてきた。
「先生は私の命の恩人です。よろしければ私を貰って頂けませんか?」
「だ、だめですっ!」
リーネが割り込む。
「なぜリーネが口を挟む?」そうイシスは問う。
「だめです! だめです! だめです! 先生は私と結婚するんですーーーーーーーーーーーーーー!」
リーネは叫んだ。その叫びは町中に聞こえる程大きな声であった。
こうしてリーシアの妹の病気を治すという目的は達成されたのだ。
「いいんですか? リーシアさん。あなたの冒険の目的は終わったのでしょう? あなたがこれ以上冒険者として生きる必要はもう」
「確かにティナの病気は治りました。けど私はまたひとつ目的ができたんです。それはーー」
リーシアは笑顔で語る。
「エルク先生という命の恩人に、返せない程大きな恩ができました。だからその恩を少しずつ返していきたいんです」
「そうですか。ではまだ一緒に冒険を続けましょうか」
「はい! お願いします」
こうして四人は次の目的地へと旅立った。
四人はリーシアの妹がいる町にたどり着いた。長閑な町だった。リーシアの実家がある町でもある。
「ゆっくりと休んでいる暇はありませんよ。早速ですがリーシアさんのご実家に行きましょうか」
「は、はい。先生。案内します」
リーシアに案内され、その町の一軒家に案内される。
「ごほっ! がほっ! ごほっ!」
家に入るなり、せき込むような声が聞こえてきた。
「だ、大丈夫かティナ。もうすぐ新しい白魔導士を連れてくるから」
「む、無理だよ。だって何人連れてきても私の病気は治らなかったじゃない。私はもう死ぬ運命なのよ」
「あ、諦めるな。希望を捨てなければ絶対」
「希望を抱けば絶望が深くなるだけよ。私も最初の頃連れてきた先生達には期待してた。でも無理だった。だから希望を抱かないようにしたの。これも自分の運命だって諦めた方が気が楽になるから」
明るくない話が聞こえてきた。
「お母さん」
「……あら。リーシア、おかえりなさい」
一人の女性が現れる。優しそうな女性ではあるが目には疲れが見える。やはり重病の娘がいると気が気ではないのだろう。その心労を察するのはたやすい。
「どうしたの? 冒険者が嫌になって逃げかえってきた?」
「そんなわけないじゃない」
「そちらの方々は?」
「錬金術師の先生、それと一緒に冒険をするパーティーの皆なの」
「あら。そうだったの。初めまして。リーシアの母です。娘がお世話になっております」
リーシアの母は頭を下げた。
「それでお母さん、ティナは」
「今お父さんが様子を見ているわ」
「容態はどうなの?」
「変わらないわよ」
お母さんは頭を振る。
「なに? お見舞いにきてくれたの? 是非顔をみていってやって」
「うん。そうじゃないけど。そのようなものかもしれない」
リーシアは疑っていたわけではない。しかしエルクでもどうにかできなかった場合、絶望がより深くなる気がして信じきれなかったのだ。
「ともかくティナのところへ行くから」
「ええ。是非顔を見ていってね」
「お邪魔します」
四人はリーシアの妹のティナのところへ行った。
「ごほっ! ごほっ! ごほっ!」
「大丈夫か! ティナ!」
嗚咽する娘。それから介護をする父の痛々しい姿があった。母は台所に立っていたことから食事の用意をしていたのであろう。皆、疲れ切っている様子だった。
ティナもリーシアと同じで美人である。面影があるが、その蒼白な表情は美しいという印象より先惨めさを感じさせる。
「お、お客様かしら。それに、お姉ちゃん」
「リーシア。お客様まで。一体どうして」
「ティナ、錬金術師の先生を連れてきたよ。すっごい先生だから。ティナの病気も治せるかも」
「そんなわけないじゃない。今まで何人も先生を連れてきても私の病気は治せなかったんだから」
「ともかく診てみなければわかりません。私に診せてはいただけないでしょうか」
「……無駄だと思いますが、それでもよろしければ」
エルクはリーシアを診察する。
「ね。無駄でしょう。無理ですよね。治せるわけないですよね。何人先生を連れてきても無理だったんですから」
「治せますよ」
「え?」
「今、なんと」
「治せますよ。あなたの病。大昔に流行った流行り病です。現代の白魔法では癒す事はできませんか、古代の知識から秘薬を作れば治ります」
「う、嘘よ! そんな簡単に治せるはずがない! きっとうまい事をいって、うちからお金を絞りとる気でしょう!」
「ティナ! エルク先生がそんな事をする人なわけないでしょう!」
「まあ、いいです」
エルクは錬成石による高速錬成で一瞬にして秘薬を作り出した。
「疑うのはこれを飲んでからにしてみませんか」
エルクは秘薬を差し出す。
「別にいいです。あなたが渡したのが毒薬でもなんでも。楽に死ねるなら本能ですから」
ティナは女の子とは思えない強引な飲みっぷりで秘薬を一気飲みした。すると体が緑色の光で覆われる。
「う、うそ! ……体が」
そしてティナは常時していた咳が消え、顔色も元通りになった。
「どうして。今まで治せなかったのに」
「だから言ったでしょう。ティナ、先生は凄い先生だって」
「お姉ちゃん、私、うわあああああああああああああん!」
「ティナ! ううっ!」
リーシアとティナは抱き合った。リーシアはそれほどまでにティナの病気が治る事を祈っていたのである。
「ほら、ティナ、先生にお礼を言いなさい」
「ありがとうございます! 先生! ごめんなさい、私先生の言う事信じられなくて。何度も裏切られてきたからそれで。うわあああああああああああん!」
「そう、謝らなくていいですよ。大切な教え子であるリーシアさんの妹さんが健康になって私も嬉しいのです」
「母さん! ティナの病気が治ったって!」
「え? 嘘? 本当なの?」
先ほどまでの生気のない表情が嘘のようだった。活気のある顔で両親がエルクの元へ駆け寄ってきた。
「せ、先生! ティナの病気が治ったんですか」
「ええ。まあ、おそらくそうですが」
「本当なの? ティナ! 治ったの?」
「う、うん。そうみたい。自分でもあっけないくらい。何事もなかったように元気になって」
「先生! ありがとうございます!」
「は、はい。親御さんにも喜んでいただけて私としても嬉しい限りです」
「今日はお祝いだ! 盛大にパーティーを開こう!」
「先生も是非参加してください。あなたはティナの恩人というだけではありません。私達の恩人です」
「え、ええ。まあ。ではお言葉に甘えて」
こうしてパーティーが開かれる事となる。
「ところで先生は独身なんですか?」
豪華な料理がテーブルに並び酒が振舞われている最中の事だった。父は喜びのあまり飲みすぎ、酒を飲み過ぎていた。ついついハメを外してしまっていた。
「お父さん、いきなり失礼よ」
「はは……お恥ずかしながら独身です。長年自室にこもりっきりで、あまり縁らしい縁もなかったんですよ」
エルクは笑いながら答える。エルクも酔っていた。
「あなたは娘ーーティナの命の恩人です。そして優秀な錬金術師だと聞いております。よろしければ私の娘どちらか貰っていただけないでしょうか?」
「お、お父さん!」
「あら? お姉ちゃんはエルク先生と結婚したくないの?」
「そ、そんな事はないけど。勿論結婚して欲しいけど。え? って、ティナ。何言わせるのよ!」
「先生!」
ティナはエルクの手を握る。そして潤んだ瞳で見つめ、熱心に語りかけてきた。
「先生は私の命の恩人です。よろしければ私を貰って頂けませんか?」
「だ、だめですっ!」
リーネが割り込む。
「なぜリーネが口を挟む?」そうイシスは問う。
「だめです! だめです! だめです! 先生は私と結婚するんですーーーーーーーーーーーーーー!」
リーネは叫んだ。その叫びは町中に聞こえる程大きな声であった。
こうしてリーシアの妹の病気を治すという目的は達成されたのだ。
「いいんですか? リーシアさん。あなたの冒険の目的は終わったのでしょう? あなたがこれ以上冒険者として生きる必要はもう」
「確かにティナの病気は治りました。けど私はまたひとつ目的ができたんです。それはーー」
リーシアは笑顔で語る。
「エルク先生という命の恩人に、返せない程大きな恩ができました。だからその恩を少しずつ返していきたいんです」
「そうですか。ではまだ一緒に冒険を続けましょうか」
「はい! お願いします」
こうして四人は次の目的地へと旅立った。
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