俺だけ成長限界を突破して強くなる~『成長率鈍化』は外れスキルだと馬鹿にされてきたけど、実は成長限界を突破できるチートスキルでした~

つくも/九十九弐式

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第2話 スライムの大量繁殖

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「ううっ……」

 朝になった。眩しい朝日が差し込んでくる。

「グガアアアアアアア! グガアアアアアアアアアアア! グアアアアアアア!」

 隣の部屋から猛烈な鼾が聞こえてくる。安宿故に壁が極端に薄いのだ。

「さ、酒だ……酒が切れた……一杯飲まないと腕の振るえが止まんねぇよ。ぐぴぐぴ、ひぃー! 生き返らぁ!」

 もう片方の隣の部屋から声が聞こえてきた。重度のアルコール依存者が寝泊りしているようだ。

 客質の悪さが如実に伝わってくる。仕方がない。最安値の宿には最底辺の人々が集まってくるのだ。あまり良くない環境故に、俺は熟睡できていなかった。いつまでも宿にいても仕方がない。俺は安宿を出て、冒険者ギルドへ向かったのだ。

 ◇

 不貞腐れていてもしょうがない。神はなぜ、俺に『成長率鈍化』なんて何のメリットもない外れスキルを授けたのか。呪われているとしか思えなかったが、恨んでも仕方ないのだ。恨んでも何も変わらない。

 俺は今日もまた冒険者ギルドでクエストを受注し、スライム退治へと向かったのだ。

 俺は平原でスライムを相手にする。この半年間、休む事なくスライム退治を行ってきた。その間、レベルもスキルレベルも大して向上してこなかったのだが、それでも何も収穫がなかったわけではない。

 スライムの攻撃にはある程度規則性があるという事が段々とわかってきた。スライムの攻撃は単純かつ、直線的なものでしかない。

 体当たりのような大雑把な攻撃を仕掛けてくる。そして、その直後に隙が生じるのだ。その隙を狙えば、スライムに効果的にダメージを与えられるようになる。

 それがこの半年間のスライム退治で得た収穫だった。

「はあっ!」

 俺はスライムの隙に攻撃を叩き込む。慣れてくれば効率的にスライムを倒す事ができた。

 スライムが果てる。アメーバ状のスライムは霧のようになり、消えていった。

 虚しい作業だ。

 俺は一体、後何匹倒せば次のレベルに到達できるというんだ。唯一持っているスキル『剣技』のスキルレベルも上昇する気配すら見せない。

 この半年間で得たものは僅かなレベルとスキルレベルの上昇。それからスライムを倒した経験だけだ。

 同期の冒険者達は俺を置いてけぼりにして、ずっと遠くまで行ってしまった。

 なのに俺はレベルもスキルレベルもろくに上がらないまま、最下級のFランク冒険者として足踏みを続けている。

「……一体、どうすればこの状況から抜け出せるんだ」

 俺は嘆いた。人生で使える時間っていうのは間違いなく有限だ。こうしている間にも時間が減り続けている。人より成長が遅いっていうのは罪な事だった。俺はこのままスライム相手に格闘しているだけでお爺さんになってしまうのではないか。

 そんな現実味(リアリティ)があるが故に恐ろしい想像が頭の中に駆け巡ってしまう。

「今日はこれくらいにして帰ろうか」

 俺はいつものようにスライム退治を終え、冒険者ギルドに戻ろうと思った。

 ――だが、ここでいつもとは違う、予想外の出来事(トラブル)に出くわすのであった。

「ス、スライムっ!」

 俺の前に、アメーバ状のモンスター。スライムが姿を現したのだった。そのスライムの数は異常だった。数十体はいた。数十体のスライムが俺を囲んでいたのだ。

 なぜ、と考えた。そこで一つの回答に至る。

 季節性だ。スライムの個体数は年中一緒ではない。季節によって、大量に発生する時がある。スライム退治を長い期間ずっと続けていたので、スライムの繁殖期に出くわしたのだ。

 どうする? 俺は考えた。逃げるという考えも浮かんだが、どうやらスライム達は俺を逃がすつもりはないようだ。

 だったらやる事は一つだけだ。闘うしかなかった。大量に発生したスライムの群れと。

 それに、一つ前向きな考えが浮かんだ。人より成長が遅いのなら、数をこなすしかない。人の半分程度の速度でしか歩けないなら、二倍時間をかければいい。というか、それしか俺に出来る事はなかった。

 こうして俺は数十匹のスライムの群れとの闘いが始まったのである。
 
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