7 / 17
レアモンスターを倒して、資金を稼ぐ
しおりを挟む俺は一泊10Gの宿屋に泊まった。
残金が100Gから90Gへと減少する。さらに俺は10Gで夕飯を食ってきたので、残金は80Gだ。
やはり世の中金だ。綺麗事ではどうにもならない。金がなければ何も回らないのが現実だ。
俺は世間一般からすれば外れ職業と言われる【竜騎士】に就いている。その上、着の身着のままで家から追い出された。
しかし、俺は何の財産もないわけではなかった。俺は幼き頃に読み漁った、古代書物の知識がある。あの古代書物にはこの世のありとあらゆる叡智が秘められていた。普通の人々では知らないような、裏技のようなやり方や、常識外の高効率な経験値や資金の稼ぎ方も可能だった。
俺は地図と睨めっこをする。この辺りの地形を確認する為だ。この王国ギネヴィアから、近い場所で高効率の資金稼ぎを実現するにはどうすればいいのかを検討していた。
よし。これにしよう。俺はプランを決定した。まず、すべきは資金稼ぎだ。資金稼ぎによる装備の拡充。LVを上げるには地道な努力が必要だが、装備による強さは金を払えば簡易的に手に入る。無論、その強さとは装備の強さであり、自分自身の強さではないが。
楽に早く強さを手に入れる為には、金を払って強い装備を手に入れる方が手っ取り早い。
俺はギネヴィアの北方にある湖を目指した。そこには普段遭遇しないような、資金を稼ぐ効率の良いモンスターが出現する。今の俺のレベルで倒せるモンスターで、最も効率が良い。
とりあえずはそこでモンスターを狩ろう。本当はもっと効率の良い稼ぎ方が存在するが、それには下準備が必要だった。これはその下準備のようなクエストだ。
身支度をした俺は早速、目的地である北の湖へと向かった。
◇
「……よし。ここだ」
俺は北の湖までたどり着いた。モンスターのあまり出なさそうな長閑で美しい湖。そこに資金効率の良いレアモンスターが出現する。
「「「すらっ!」」」
現れたのは無数のスライムだった。とはいえ、普通のスライムではない。全身が黄金で出来た、ゴールデンスライムである。
しかも運が良かった。滅多に姿を見せない、レアモンスターであるゴールデンスライムに、しかも、一度に三匹も遭遇したのだ。
こいつらは遭遇率こそ低いが、弱いのがメリットだ。今の俺でも倒せる。どんなに稼げるモンスターでもそもそも倒せなければどうしようもない。
「くらえっ!」
俺は〈銅の剣〉で攻撃をした。俺のLVは現在2だ。その上、〈銅の剣〉は剣系装備の中でも最弱の部類。しかし、ゴールデンスライムはそれでも倒せてしまえる程に弱かった。
「「「すらっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」」」
スライム達は情けない断末魔を上げ、果てる。
「やった……倒せた」
俺は胸を撫で下ろす。今の俺の強さでは、どんな雑魚モンスターでも侮れないのだ。一戦一戦が緊張の連続だった。俺はゴールデンスライムの素材を持って、ギネヴィアまで戻る事にした。ついでに今の戦闘で俺は経験値を得たようだ。一匹につき、経験10。10×3で、30の経験値だ。
『レベルがUPしました』
どこからともかく声が聞こえてきた。俺のレベルが上がったようだ。俺はステータスを確認する。
【アトラス・アルカディア】
天職:竜騎士
Lv :3
HP :20/20
MP :10/10
攻撃力:8
防御力:8
魔法力:3
素早さ:3
【装備】
〈銅の剣〉※攻撃力+5
〈古びた鎧〉※防御力+5
【職業固有スキル】
〈騎竜〉
〈全竜強化〉
【通常スキル】
【所持金】
80G
【所持アイテム】
ポーション〈回復力小〉×5
金塊〈ゴールデンスライムの素材〉×3
よし、また一歩、確実に俺は前に進めたようだ。少しだがレベルもあがったし、その上、換金用アイテムの金塊まで手に入った。これがいくらになるか楽しみだ。俺は期待に胸を躍らせながら、ギネヴィアの換金所へと向かうのである。
◇
「へい、いらっしゃい」
俺は換金所へ向かった。ここは冒険者ギルドに併設されている、商用施設である。換金所は多くのモンスターの素材を買い取ってくれるのだ。また、モンスターの素材だけではない。金などの希少金属から、ダイヤモンドなんかも買い取ってくれる。
「あの、すみません」
俺は換金所の店主に声をかける。
「へい、どのようなご用件で。旦那」
「素材アイテムの買い取りをして貰いたいんですが」
「あいよ……じゃあ、カウンターに素材アイテムを置いてくれ」
俺はカウンターに金塊を置く。
「ほう……こいつは見事な純金じゃないか。待っててくれ、今、査定するから」
「は、はい……わかりました」
店主は奥に戻っていく。俺はしばらく待たされた。
◇
「へい……待たせたな。旦那」
店主が戻ってくる。
「金塊が3つで、一個1000G。×3だから、買い取り価格は3000Gになる。どうする? 売ってくか?」
「は、はい。是非、買い取りをお願いします」
「あいよ。商談成立だ。ほら、数えてくれ」
俺は3000Gが入った小包を受け取る。中を数えると、ちゃんと3000Gあった。
「ありがとよ……また来てくれ」
こうして俺はある程度まとまった資金を得たのだ。この資金を元に、俺は次の作戦に出る事にした。
金さえあれば、もっと効率の良い稼ぎ方が存在するのだ。
俺は次の計画を実行する事にした。
◇
【所持金】
80G→3080G
0
お気に入りに追加
101
あなたにおすすめの小説
【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~
柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」
テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。
この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。
誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。
しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。
その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。
だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。
「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」
「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」
これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語
2月28日HOTランキング9位!
3月1日HOTランキング6位!
本当にありがとうございます!

異世界に転生したので裏社会から支配する
Jaja
ファンタジー
スラムの路地で、ひもじい思いをしていた一人の少年。
「あれぇ? 俺、転生してるじゃん」
殴られた衝撃で前世の記憶を思い出した少年。
異世界転生だと浮かれていたが、現在の状況は良くなかった。
「王道に従って冒険者からの立身出世を目指すか…。それとも…」
そして何を思ったか、少年は裏社会から異世界でのし上がって行く事を決意する。
「マフィアとかギャングのボスってカッコいいよね!」
これは異世界に転生した少年が唯一無二の能力を授かり、仲間と共に裏社会から異世界を支配していくお話。
※この作品はカクヨム様にも更新しています。

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!
日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」
見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。
神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。
特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。
突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。
なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。
・魔物に襲われている女の子との出会い
・勇者との出会い
・魔王との出会い
・他の転生者との出会い
・波長の合う仲間との出会い etc.......
チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。
その時クロムは何を想い、何をするのか……
このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

外れスキル【建築】持ちの俺は実家を追放される。辺境で家作りをしていただけなのに、魔王城よりもすごい最強の帝国が出来上がってた
つくも
ファンタジー
「闘えもしない外れスキルを授かった貴様など必要ない! 出て行け! グラン!」
剣聖の家系に生まれた少年グランは15歳のスキル継承の儀の際に非戦闘用の外れスキルである【建築】(ビルド)を授かった。
対する義弟は当たりスキルである『剣神』を授かる。
グランは実父に用無しの無能として実家を追放される事になる。辺境に追いやられ、グランはそこで【建築】スキルを利用し、家作りを始める。家作りに没頭するグランは【建築】スキルが外れスキルなどではなく、とんでもない可能性を秘めている事に気づく。
【建築】スキルでどんどん辺境を開拓するグラン。
気づいたら魔王城よりもすごい、世界最強の帝国ができあがる。
そして、グランは家にいたまま、魔王を倒した英雄として、世界中にその名を轟かせる事となる。
ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

勇者、追放される ~仲間がクズばかりだったので、魔王とお茶してのんびり過ごす。戻ってこいと言われても断固拒否。~
秋鷺 照
ファンタジー
強すぎて勇者になってしまったレッグは、パーティーを追放され、一人で魔王城へ行く。美味しいと噂の、魔族領の茶を飲むために!(ちゃんと人類も守る)

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる