6 / 17
【義妹視点】 王国から逃げ出す
しおりを挟む
一方その頃。義妹であるカレンの事であった。カレンは大ハズレ職業だと蔑まれ、追い出された兄アトラスとは異なり、『職業選定の儀』で大当たり職業と言われている【剣聖】の職業に選ばれていたのだ。
その結果、カレンはアトラスが受け継ぐはずだった責務を引き受ける事になる。王国の騎士として仕える事になったのだ。
それは王国の演習場で行われる、模擬戦だった。【剣聖】のスキルを得たカレンは瞬く間にその剣技を向上させていった。
そして、ついには王国の騎士団長との模擬戦を行えるようになるまで成長したのである。
その様子は多くの観客達に見守られていた。王国の騎士達にとどまらない。王子であるルーネス。その上に、アルカディア家の当主である義父レオンまでもが観戦していたのである。
皆が見守る中、王国騎士団長と【剣聖】カレンとの闘いが始まるのであった。
カン! 開始の合図となる鐘が鳴らされた。
「参るぞ! カレン殿! 王国騎士団の剣術を見るがよいっ!」
騎士団長は巧な剣術を披露する。一瞬で無数の剣を放つ。技術の高い、見事な剣であった。
――だが、【剣聖】の天職に選ばれたカレンの剣はその剣すらも遥かに凌駕する。
カレンの剣は力任せの剣ではない。剛の剣ではない。柔の剣だ。騎士団長の剣を巧みにいなした。無駄な力を使う事なく、受け流したのだ。
「ぬ、ぬおっ!」
自らの剣の力に流され、騎士団長は体勢を崩す。
その瞬間。カレンの剣が喉元に突き付けられたのだ。勝敗がどうなったのか、誰の目から見ても実に明らかな事であった。
「まだ続けますか?」
カレンは聞いた。
「い、いや。遠慮しよう。わ、私の負けだ!」
「すげー……あの娘、勝っちまったぜ」
「流石はあの名門騎士の家系、アルカディア家の娘、【剣聖】の天職を授かった娘だ」
「ああ……逃げ出していった、どっかの無能兄貴とは大違いだぜ」
王国の騎士達から賞賛の言葉が送られる。それと同時に義兄アトラスに対する侮蔑の言葉も送られるのであった。兄を慕うカレンからすれば許しがたい言葉ではあったが、いちいち揉めるのも問題だった。カレンは憤りの感情を抑え込む。
「素晴らしいぞ。カレン。流石は我がアトラス家の娘だ。お前をあの時引き取って誠に良かったと。父は思うぞ」
「お義父様」
カレンは讃える。
パチパチパチ。拍手が響いた。ルーネス王子の拍手だ。
「実に素晴らしい。何と美しい剣だ。そして、剣を振るう騎士の見た目もそれにふさわしく美しい」
誰もがカレンの剣の美しさに心惹かれたが、それ以上にカレンの見た目の美しさにも心惹かれていた。美しい剣に美しい見た目。
それらが相まって、皆がカレンの虜になっていたのだ。ただ、周囲の熱気とは裏腹にカレンの心は冷めていたが。
今のカレンの頭には、あの『職業選定の儀』の際に追い出された、義兄アトラスの事でいっぱいだった。
今、アトラスはどこで何をしているのだろうか。考えても仕方ないその事で頭の中を満たしていた。
「カレン・アルカディア。貴公は我が栄誉ある王国イスカンダルに仕える騎士として、実にふさわしい」
「……ありがとうございます」
カレンは心にもない礼の言葉を返す。
「カレン・アルカディアよ。貴公に大事な用件がある。この後、私の部屋に来なさい」
「大事な用事ですか?」
「ああ……二人っきりで話がしたいんだ」
王子は舌なめずりをした。その目は性的な厭らしさで満ちていた。カレンは本能的に身の毛がよだつような寒気がした。
――だが、王子の命令に背くわけにもいかない。カレンはその後、渋々ではあるが王子の部屋を訪れる事になる。
◇
コンコン。
「王子……参りました。カレン・アルカディアです」
鎧を脱ぎ、平服に着替えたカレンは王子の部屋を訪れる。
ガチャ。
王子が姿を現す。風呂上りだろうか、ガウンを着ただけの偉く、薄手の恰好であった。
「入りたまえ」
「はい。お邪魔します」
カレンは渋々、王子の部屋に入るのであった。
◇
カレンはルーネスの部屋に入った。豪勢な部屋だった。身なりと同じく、金ぴかな装飾が施され、高価そうなアンティークが所狭しと並んでいる。
「よくぞ来てくれた。どうする、先にシャワーを浴びるか?」
「いえ。着替える時に水浴びは済ませたものでして」
「そうか……だったら何か飲むか? 極上のワインがあるんだよ。きっと、君も気に入ると思うよ」
「いえ。私はお酒を嗜みませんので」
「ふむ……そうか。残念だ」
「それで王子、大事な用件とは一体なんでしょうか?」
カレンは本題に入った。
「ああ……カレンよ。貴公の闘いぶりは実に見事であった。それだけではない。貴公は実に美しい」
王子はカレンの栗色の髪を撫でた。寒気がした。今すぐ跳ね飛ばしたいのを、立場故にカレンは必死に我慢する。
「私は君の事が実に気に入ったよ。君にはこれから私の夜を相手をしてもらいたい」
予想通りだった。ゲスな王子の考えそうな事だった。
「そ……それは」
「何だったら、君を妾にしてやってもいい。良い暮らしを保証してやるぞ。それだけではない。君の心がけ次第で、妻にしてやってもいい。ゆくゆくは王国の妃になれるのだぞ。夢のような話ではないか?」
「い、いや……」
王子はカレンをベッドに押し倒す。
「さあ……全てを私に委ねるがいい……カレンよ」
王子は舌なめずりをした。目が完全に狩猟動物の目だった。完璧にスイッチが入ってしまっているような怖い目。こうなってしまったら言葉では決して止まるものではない。
「い、いやっ!」
カレンは我慢の限界だった。バシィ! カレンは王子に平手打ちをかました。そして王子をはねのける。
「ぐ、ほおっ! き、貴様! 自分が何をしたのかわかっているのか! 私は王国の王子なのだぞっ!」
「もう我慢できません……育ててもらった恩もあり、騎士として仕えようともしましたが、もう、我慢の限界です。騎士の務めを辞めさせて貰います」
カレンは逃げ出した。
「ま、待て! 貴様どこに行く! どうするつもりだ!」
カレンは着の身着のまま逃げ出していく。
目的はひとつだ。カレンは義兄アトラスのところへ向かうつもりだ。
何の手がかりもない。だが、これ以上王国にいる事はできない。
カレンはアトラスを探して、王国イスカンダルから逃げ出していったのである。
その結果、カレンはアトラスが受け継ぐはずだった責務を引き受ける事になる。王国の騎士として仕える事になったのだ。
それは王国の演習場で行われる、模擬戦だった。【剣聖】のスキルを得たカレンは瞬く間にその剣技を向上させていった。
そして、ついには王国の騎士団長との模擬戦を行えるようになるまで成長したのである。
その様子は多くの観客達に見守られていた。王国の騎士達にとどまらない。王子であるルーネス。その上に、アルカディア家の当主である義父レオンまでもが観戦していたのである。
皆が見守る中、王国騎士団長と【剣聖】カレンとの闘いが始まるのであった。
カン! 開始の合図となる鐘が鳴らされた。
「参るぞ! カレン殿! 王国騎士団の剣術を見るがよいっ!」
騎士団長は巧な剣術を披露する。一瞬で無数の剣を放つ。技術の高い、見事な剣であった。
――だが、【剣聖】の天職に選ばれたカレンの剣はその剣すらも遥かに凌駕する。
カレンの剣は力任せの剣ではない。剛の剣ではない。柔の剣だ。騎士団長の剣を巧みにいなした。無駄な力を使う事なく、受け流したのだ。
「ぬ、ぬおっ!」
自らの剣の力に流され、騎士団長は体勢を崩す。
その瞬間。カレンの剣が喉元に突き付けられたのだ。勝敗がどうなったのか、誰の目から見ても実に明らかな事であった。
「まだ続けますか?」
カレンは聞いた。
「い、いや。遠慮しよう。わ、私の負けだ!」
「すげー……あの娘、勝っちまったぜ」
「流石はあの名門騎士の家系、アルカディア家の娘、【剣聖】の天職を授かった娘だ」
「ああ……逃げ出していった、どっかの無能兄貴とは大違いだぜ」
王国の騎士達から賞賛の言葉が送られる。それと同時に義兄アトラスに対する侮蔑の言葉も送られるのであった。兄を慕うカレンからすれば許しがたい言葉ではあったが、いちいち揉めるのも問題だった。カレンは憤りの感情を抑え込む。
「素晴らしいぞ。カレン。流石は我がアトラス家の娘だ。お前をあの時引き取って誠に良かったと。父は思うぞ」
「お義父様」
カレンは讃える。
パチパチパチ。拍手が響いた。ルーネス王子の拍手だ。
「実に素晴らしい。何と美しい剣だ。そして、剣を振るう騎士の見た目もそれにふさわしく美しい」
誰もがカレンの剣の美しさに心惹かれたが、それ以上にカレンの見た目の美しさにも心惹かれていた。美しい剣に美しい見た目。
それらが相まって、皆がカレンの虜になっていたのだ。ただ、周囲の熱気とは裏腹にカレンの心は冷めていたが。
今のカレンの頭には、あの『職業選定の儀』の際に追い出された、義兄アトラスの事でいっぱいだった。
今、アトラスはどこで何をしているのだろうか。考えても仕方ないその事で頭の中を満たしていた。
「カレン・アルカディア。貴公は我が栄誉ある王国イスカンダルに仕える騎士として、実にふさわしい」
「……ありがとうございます」
カレンは心にもない礼の言葉を返す。
「カレン・アルカディアよ。貴公に大事な用件がある。この後、私の部屋に来なさい」
「大事な用事ですか?」
「ああ……二人っきりで話がしたいんだ」
王子は舌なめずりをした。その目は性的な厭らしさで満ちていた。カレンは本能的に身の毛がよだつような寒気がした。
――だが、王子の命令に背くわけにもいかない。カレンはその後、渋々ではあるが王子の部屋を訪れる事になる。
◇
コンコン。
「王子……参りました。カレン・アルカディアです」
鎧を脱ぎ、平服に着替えたカレンは王子の部屋を訪れる。
ガチャ。
王子が姿を現す。風呂上りだろうか、ガウンを着ただけの偉く、薄手の恰好であった。
「入りたまえ」
「はい。お邪魔します」
カレンは渋々、王子の部屋に入るのであった。
◇
カレンはルーネスの部屋に入った。豪勢な部屋だった。身なりと同じく、金ぴかな装飾が施され、高価そうなアンティークが所狭しと並んでいる。
「よくぞ来てくれた。どうする、先にシャワーを浴びるか?」
「いえ。着替える時に水浴びは済ませたものでして」
「そうか……だったら何か飲むか? 極上のワインがあるんだよ。きっと、君も気に入ると思うよ」
「いえ。私はお酒を嗜みませんので」
「ふむ……そうか。残念だ」
「それで王子、大事な用件とは一体なんでしょうか?」
カレンは本題に入った。
「ああ……カレンよ。貴公の闘いぶりは実に見事であった。それだけではない。貴公は実に美しい」
王子はカレンの栗色の髪を撫でた。寒気がした。今すぐ跳ね飛ばしたいのを、立場故にカレンは必死に我慢する。
「私は君の事が実に気に入ったよ。君にはこれから私の夜を相手をしてもらいたい」
予想通りだった。ゲスな王子の考えそうな事だった。
「そ……それは」
「何だったら、君を妾にしてやってもいい。良い暮らしを保証してやるぞ。それだけではない。君の心がけ次第で、妻にしてやってもいい。ゆくゆくは王国の妃になれるのだぞ。夢のような話ではないか?」
「い、いや……」
王子はカレンをベッドに押し倒す。
「さあ……全てを私に委ねるがいい……カレンよ」
王子は舌なめずりをした。目が完全に狩猟動物の目だった。完璧にスイッチが入ってしまっているような怖い目。こうなってしまったら言葉では決して止まるものではない。
「い、いやっ!」
カレンは我慢の限界だった。バシィ! カレンは王子に平手打ちをかました。そして王子をはねのける。
「ぐ、ほおっ! き、貴様! 自分が何をしたのかわかっているのか! 私は王国の王子なのだぞっ!」
「もう我慢できません……育ててもらった恩もあり、騎士として仕えようともしましたが、もう、我慢の限界です。騎士の務めを辞めさせて貰います」
カレンは逃げ出した。
「ま、待て! 貴様どこに行く! どうするつもりだ!」
カレンは着の身着のまま逃げ出していく。
目的はひとつだ。カレンは義兄アトラスのところへ向かうつもりだ。
何の手がかりもない。だが、これ以上王国にいる事はできない。
カレンはアトラスを探して、王国イスカンダルから逃げ出していったのである。
0
お気に入りに追加
100
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
「魔法が使えない無能」と実家を追放された少年、世界唯一の召喚魔法師として覚醒する~魔法学園では劣等生扱いされますが、召喚魔法で無双します~
つくも
ファンタジー
「15年も良く辛抱した。お前には出て行って貰う」
15歳の誕生日、アレクは父親からそう告げられる。なぜなら、アレクは15歳の誕生日になるまで、魔法を使う事ができなかったのだ。家督は義理の弟に奪われ、アレクは用無しの無能として実家を追われる。
途方に暮れていたアレクは、『魔女』と呼ばれる叔母に拾われる。叔母の家で生活するようになったアレクだが、偶然、召喚魔法の存在を知り、叔母に召喚魔法の才能を見抜かれる。
アレクはかつて存在していたが失われてしまった、太古の魔法。召喚魔法を使う事ができた。
世界で唯一の召喚魔法師として覚醒したのだ。
そして、アレクは数々の召喚獣を従え、最強の召喚魔法師となる。
その後、アレクは叔母の勧めで魔法学園に通い始めるのであった。そこでアレクは劣等生として虐げられる事になるのだが……。
従来の魔法を遥かに超越した召喚魔法で圧倒し、その評価は一変していく。
そしてアレクの名声は学園の枠を超えて、世界中に轟いていくのであった。
※他サイトでも公開
とあるオタが勇者召喚に巻き込まれた件~イレギュラーバグチートスキルで異世界漫遊~
剣伎 竜星
ファンタジー
仕事の修羅場を乗り越えて、徹夜明けもなんのその、年2回ある有○の戦場を駆けた夏。長期休暇を取得し、自宅に引きこもって戦利品を堪能すべく、帰宅の途上で食材を購入して後はただ帰るだけだった。しかし、学生4人組とすれ違ったと思ったら、俺はスマホの電波が届かない中世ヨーロッパと思しき建築物の複雑な幾何学模様の上にいた。学生4人組とともに。やってきた召喚者と思しき王女様達の魔族侵略の話を聞いて、俺は察した。これあかん系異世界勇者召喚だと。しかも、どうやら肝心の勇者は学生4人組みの方で俺は巻き込まれた一般人らしい。【鑑定】や【空間収納】といった鉄板スキルを保有して、とんでもないバグと思えるチートスキルいるが、違うらしい。そして、安定の「元の世界に帰る方法」は不明→絶望的な難易度。勇者系の称号がないとわかると王女達は掌返しをして俺を奴隷扱いするのは必至。1人を除いて学生共も俺を馬鹿にしだしたので俺は迷惑料を(強制的に)もらって早々に国を脱出し、この異世界をチートスキルを駆使して漫遊することにした。※10話前後までスタート地点の王城での話になります。
転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう!〜公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ〜
西園寺若葉
ファンタジー
転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。
どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。
- カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました!
- アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました!
- この話はフィクションです。
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
異世界サバイバルセットでダンジョン無双。精霊樹復活に貢献します。
karashima_s
ファンタジー
地球にダンジョンが出来て10年。
その当時は、世界中が混乱したけれど、今ではすでに日常となっていたりする。
ダンジョンに巣くう魔物は、ダンジョン外にでる事はなく、浅い階層であれば、魔物を倒すと、魔石を手に入れる事が出来、その魔石は再生可能エネルギーとして利用できる事が解ると、各国は、こぞってダンジョン探索を行うようになった。
ダンジョンでは魔石だけでなく、傷や病気を癒す貴重なアイテム等をドロップしたり、また、稀に宝箱と呼ばれる箱から、後発的に付与できる様々な魔法やスキルを覚える事が出来る魔法書やスキルオーブと呼ばれる物等も手に入ったりする。
当時は、危険だとして制限されていたダンジョン探索も、今では門戸も広がり、適正があると判断された者は、ある程度の教習を受けた後、試験に合格すると認定を与えられ、探索者(シーカー)として認められるようになっていた。
運転免許のように、学校や教習所ができ、人気の職業の一つになっていたりするのだ。
新田 蓮(あらた れん)もその一人である。
高校を出て、別にやりたい事もなく、他人との関わりが嫌いだった事で会社勤めもきつそうだと判断、高校在学中からシーカー免許教習所に通い、卒業と同時にシーカーデビューをする。そして、浅い階層で、低級モンスターを狩って、安全第一で日々の糧を細々得ては、その収入で気楽に生きる生活を送っていた。
そんなある日、ダンジョン内でスキルオーブをゲットする。手に入れたオーブは『XXXサバイバルセット』。
ほんの0.00001パーセントの確実でユニークスキルがドロップする事がある。今回、それだったら、数億の価値だ。それを売り払えば、悠々自適に生きて行けるんじゃねぇー?と大喜びした蓮だったが、なんと難儀な連中に見られて絡まれてしまった。
必死で逃げる算段を考えていた時、爆音と共に、大きな揺れが襲ってきて、足元が崩れて。
落ちた。
落ちる!と思ったとたん、思わず、持っていたオーブを強く握ってしまったのだ。
落ちながら、蓮の頭の中に声が響く。
「XXXサバイバルセットが使用されました…。」
そして落ちた所が…。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる