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王国アルヴァートゥアでの出来事

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 異世界から召喚された英雄として、来斗達。ユグドラシルの人間からすれば異世界人でもある彼等は王国アルヴァートゥアに招来された。異世界から来た英雄として。

「でけぇ城だな……」
「ああ……壮観だな」

 生粋の日本人である彼等にとって、西洋風の城というのは無縁の存在であった。行った事があったとしても日本の城くらいのものだ。こんな大きな城はアニメや漫画くらいでしか見た事がなかった。

 そして、国王と王女という存在もまた、初めて対面するのである。

「おおっ! よくぞ来てくださいました! 異世界からの英雄諸君!」

 そう、王冠に白髭を伸ばした、いかにもといった風貌の国王が来斗達を出迎えた。

「お待ちしておりましたわ……異世界から来た英雄の皆様」

 美しい王女であった。金髪をし、綺麗なドレスを着た少女。彼女がこの王国一美しいと言われる少女——王女ソフィアであった。

 草原に落とされたクラス転移された生徒達。この世界からすれば英雄召喚された英雄達……といったところであろう。
 その英雄達は紆余曲折があり、この王国を訪れる事になったのだ。

「……それで国王陛下、俺達になんか用なんですか?」

 この世界に転移され、英雄達は既に幾多もの戦闘を繰り広げてきた。その結果としてレベルが上がり、そしてその結果面々は自信を手に入れた。自信というものは厄介なものだ。無さ過ぎれば臆病になりうるし、ありすぎれば慢心を招く。そして彼等は自信を持ちすぎ、慢心に至っていた。

 その結果、段々と死の恐怖が薄れていったのだ。この世界の出来事は現実に目の前で起きている出来事だとは思わなくなり、どこかゲームの世界での出来事であるかのように、彼等は錯覚し始めた。

「うむ……この世界は今、滅びの危機に瀕しているのはそなた等も知っている事だろう」
「ええ……何となくは。それで俺達がその滅びの危機から人間族を救う為に、この世界に呼び出されたっていうのはわかってます」

 この世界には数多の種族が存在する。人は勿論、魔族や竜族など異形の化け物もまた存在する。人智を超えた化け物との抗争に対して、人間はあまりに無力だった。このまま行けば、人間族だけの滅びでは留まらず、この『ユグドラシル』という世界すら滅びかねないだろう。

 そしてその結果としてこの世界に招来されたのが、神から強力な力(天職)を授けられた英雄達であった。

「そうか……なら話は早い。我々の王国の近くに、迷宮(ダンジョン)があるのだ。その地下迷宮(ダンジョン)は大変危険な地下迷宮(ダンジョン)であり、封印結界により封印されていたのだが、その封印が最近破られたのだ」

「へぇー……」
「なんだかそれは随分とやばい感じがするじゃん」

『やばい感じがする』とは言ったものの、一部の面々には行き過ぎた自信が見て取れた。どこか余裕綽々で、舐めているような感じがあったのだ。

「封印結界を再び張ろうにも、モンスター達が強力すぎて再び張るには困難だ。頼む、英雄達諸君。どうかこの王国の危機……いや、この世界の危機を救ってはくれぬか。地下迷宮(ダンジョン)『ウロボロス』の問題を解決して欲しいのだ」

 地下迷宮『ウロボロス』蛇のような、入り組んだ地形をした地下迷宮(ダンジョン)である。だが、それだけではない。この地下迷宮には巨大で邪悪な蛇型のモンスター『ウロボロス』が待ち構えているのだ。

 そしてこの騒動はその『ウロボロス』を討伐するまでは解決する事はない。その事を知っているのは現時点では来斗だけだった。

「無論……解決の暁にはそれ相応の褒美を出そう」

国王は言った。慈善事業ではないのだ。やはりそれ相応のリターンがなければ人は動かないのは必然であった。 

「へぇー……それ相応の褒美って具体的にどのくらいのもんで?」
「それはもう……諸君等の望むものは何でも叶えてやろう」

「……へぇ……だったらお姫様」

 一人の男が言った。彼は暗殺者の天職に就いていた。名前を影沼という生徒だった。彼は王女ソフィアに歩み寄り、顎首に指をあて、持ち上げた。そして舌なめずりをする。

「俺達がその地下迷宮(ダンジョン)を攻略したら、一晩相手してもらえるかな?」

「馬鹿! ……影沼。その振る舞いは失礼だろうが!」

 勇希は叱責した。

「何言ってるんだよ……こっちだって命張ってるんだよ。別にこれくらい、いいじゃねぇか」

「それはもう……お望みとあれば」

 顔を赤く染め、ソフィア姫は顔をそむけた。

「きっひっひ……これはもう、テンション上がるぜ。やってやろうぜ。お前ら」
「ああ」「おう」

 影沼は元いた世界では、元々不良生徒達のリーダー格であった。その為、同じような不良生徒達、数名を束ねていた。数名は影沼の手下のように動き、この世界でも徒党を組んでいる節があった。

 だから、クラスの中心的人物である勇希に対しても、どこか反抗的な行動を見せるのだ。

「うむ……約束はちゃんと守ろう。それでは任せたぞ、英雄諸君! 地下迷宮(ダンジョン)『ウロボロス』の問題をどうか解決してくれ!」
「お願いしましたわ……英雄様方」

 王族の二人に頼まれ、英雄達は地下迷宮(ダンジョン)『ウロボロス』の攻略に出向く。

「三雲君……」

 不安げな顔で可憐は三雲に話かける。

「……どうかしたか? 北城」
「なんだか……私、嫌な予感がするの」

 そう、告げてきた。そしてその可憐の嫌な予感は見事に的中する事となる。この世界が二週目である来斗でもイレギュラーな出来事が起きたのだ。
 そしてその出来事により、来斗の運命は大きく変わってしまう事となる。来斗の運命が前回とは異なり、大きく分岐してしまう結果となったのだ。

 かくして、英雄達40名は地下迷宮(ダンジョン)『ウロボロス』の攻略へと出向くのであった。




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