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【義妹SIDE】辺境伯様の新たな噂を聞く
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「ふんふーん♪」
シャーロットに対する義妹。果たして義妹と呼んでいいのか、カーディガン家を追い出された今では。ともかく、ガーベラ・カーディガンは陽気であった。
なにせあの養子であったシャーロットを都合良く厄介払いできたからである。あのただ飯食らいであり、尚且つ獣臭い(とはいえそれは義母が飼っている家畜の世話を強制させていたからなのではあるが。それに関しては一切彼女が顧みる事はなかった)女がいなくなったという事は。
いわばガーベラにとっては長年うっとおしく邪魔だと思っていた粗大ごみを捨てれたに等しい。気分爽快である。
だから今のガーベラは珍しく陽気であり、晴れ晴れとした気分をしていたのである。
ガーベラが呑気にテラスで優雅なティータイムをしていた時の事であった。それなりの名家であるカーディガン家には当然のように使用人がいた。
わざわざ自分から紅茶を入れる必要性などない。ただ使用人が淹れたちょうどいい温度と香りの紅茶を飲めばいいだけであった。片付けもやってくれたのだ。この上ないサービスをガーベラは受けていた。
――と、その時であった。
「はぁ……はぁ……はぁ」
母――ローズがガーベラの元へ走ってきたのである。
「あら、どうしたのでありますか、お母様。そんな血相を変えて」
「い、いえ。なんか変な噂を聞いちゃって」
「変な噂? どんな噂ですの?」
「前に『辺境伯』のところに嫁に出したシャーロットの事は覚えている?」
「ああ。あの獣臭い粗大ごみのような女でありますか。あの女がどうしたのですか?」
「そのシャーロットが嫁いだ『辺境伯』のあたりに凄い美丈夫が現れたんだって」
「何かの間違いではありませんか? お母様? あの地帯には化け物のような見た目をしているという『辺境伯』がいるだけではありませんか? あの地帯には他に屋敷どころか、一軒家すらありません事よ」
「そうなのよ。だから私は何かの間違いだと思っていたんだけど、どうやらそうじゃないようなのよ。他の令嬢たちがその美丈夫を一目見たいが故に集まっているみたいで」
「まさか……そんな事が。ありえませんわ! あの地帯には野獣のような化け物。『辺境伯』がいるだけのはずですもの!」
ガーベラは憤った。だが、まさか何かがあったのか。そんな予感がした。なんにせよ、この場にいてはどうしようもない。実際足を踏み入れてみなければわからない事も世の中には存在する。
「どうするの? ガーベラ」
「ともかく行ってみましょう。何かの間違いではあると思うのですが、実際にこの目で見て観なければ様子がわかりませんもの」
「そう。わかったわ。馬車を走らせましょう」
「ええ……」
(そんなはずがありませんわ……あの犬臭い女、シャーロットは間違いなくお似合いの化け物のような辺境伯と結ばれているはず。そんな事あるはずがない)
まさか、シャーロットがそんな美丈夫と結ばれているような事は決してないとは思いつつも。胸にざわめきのようなものを抱えたガーベラは馬車を走らせ、辺境伯のところへと向かったのである。
シャーロットに対する義妹。果たして義妹と呼んでいいのか、カーディガン家を追い出された今では。ともかく、ガーベラ・カーディガンは陽気であった。
なにせあの養子であったシャーロットを都合良く厄介払いできたからである。あのただ飯食らいであり、尚且つ獣臭い(とはいえそれは義母が飼っている家畜の世話を強制させていたからなのではあるが。それに関しては一切彼女が顧みる事はなかった)女がいなくなったという事は。
いわばガーベラにとっては長年うっとおしく邪魔だと思っていた粗大ごみを捨てれたに等しい。気分爽快である。
だから今のガーベラは珍しく陽気であり、晴れ晴れとした気分をしていたのである。
ガーベラが呑気にテラスで優雅なティータイムをしていた時の事であった。それなりの名家であるカーディガン家には当然のように使用人がいた。
わざわざ自分から紅茶を入れる必要性などない。ただ使用人が淹れたちょうどいい温度と香りの紅茶を飲めばいいだけであった。片付けもやってくれたのだ。この上ないサービスをガーベラは受けていた。
――と、その時であった。
「はぁ……はぁ……はぁ」
母――ローズがガーベラの元へ走ってきたのである。
「あら、どうしたのでありますか、お母様。そんな血相を変えて」
「い、いえ。なんか変な噂を聞いちゃって」
「変な噂? どんな噂ですの?」
「前に『辺境伯』のところに嫁に出したシャーロットの事は覚えている?」
「ああ。あの獣臭い粗大ごみのような女でありますか。あの女がどうしたのですか?」
「そのシャーロットが嫁いだ『辺境伯』のあたりに凄い美丈夫が現れたんだって」
「何かの間違いではありませんか? お母様? あの地帯には化け物のような見た目をしているという『辺境伯』がいるだけではありませんか? あの地帯には他に屋敷どころか、一軒家すらありません事よ」
「そうなのよ。だから私は何かの間違いだと思っていたんだけど、どうやらそうじゃないようなのよ。他の令嬢たちがその美丈夫を一目見たいが故に集まっているみたいで」
「まさか……そんな事が。ありえませんわ! あの地帯には野獣のような化け物。『辺境伯』がいるだけのはずですもの!」
ガーベラは憤った。だが、まさか何かがあったのか。そんな予感がした。なんにせよ、この場にいてはどうしようもない。実際足を踏み入れてみなければわからない事も世の中には存在する。
「どうするの? ガーベラ」
「ともかく行ってみましょう。何かの間違いではあると思うのですが、実際にこの目で見て観なければ様子がわかりませんもの」
「そう。わかったわ。馬車を走らせましょう」
「ええ……」
(そんなはずがありませんわ……あの犬臭い女、シャーロットは間違いなくお似合いの化け物のような辺境伯と結ばれているはず。そんな事あるはずがない)
まさか、シャーロットがそんな美丈夫と結ばれているような事は決してないとは思いつつも。胸にざわめきのようなものを抱えたガーベラは馬車を走らせ、辺境伯のところへと向かったのである。
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https://www.alphapolis.co.jp/novel/695858559/595482008義妹に婚約者を寝取られた病弱令嬢、幼馴染の公爵様に溺愛される新作短編よろしくお願いします!
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