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現代に戻ってメモの大事さを再認識する

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母が小さい時「メモはこまめに取りなさいよ」と促してくれた
俺はその時からメモを取る習慣が身についていたんだが
今ほど役に立っていることは無い。

スキルのお陰で物忘れはあまりしない様にしていたが
まさか帰れるなんて想像もしなかったから
日本の記憶は友達と家族の事しか覚えていなかった。

「えーっと、確かメモ帳は
机の引き出しの二段目に…………無いな
三段目…………ここでも無い
四、一、
あれ?無いぞ?感覚的には四年前の記憶だから覚えていないのも無理はないが
困ったな、物を仕舞う所はもう無いんだが」

他にクローゼットなどがあるが
そこに物は置かないようにしていたから
無いとして

「あっ、そうだ!思い出したぞ
たしか学校のカバンの中に…………あったな
いや、普通にスキルを使って見つけた方が楽なんだがな」

俺はそんな独り言を言いメモを読む

”速読”

特に時間を掛ける理由も無いので
スキルを使い一瞬で読み上げる。

「段々思い出してきたな
思い出と予定
でも悲しい事に夏休みの予定はゼロだな」

俺は虚しくなったがスマホを手に取り
友人に電話をする。
数年ぶりのスマホだ。
パスワードは俺の誕生日間違えるわけがない

「朝日?だよな」
(いきなりどうした?電話してきて一言目がそれって)

俺の親友朝日 甲あさひ こうは電話越しに苦笑しながら
話を続ける。

「いや、何でもない
夏休みなんだから遊びに誘おうかなって思ったんだけど
どう?空いてる日とかある?」
(海渡から誘ってくるなんて珍しいじゃん
どうしたんだ?!寂しくなったのか)
「そんなわけないだろ!
少し久しぶりに会いたくてな」
(久しぶりって、昨日学校であっただろ
何言ってるんだ?)
「あ、ははは少し言い間違えただけだよ!
気にしないでくれ」
(まぁ、明日明後日ならいけるぜ!
でもそれ以降はちょい厳しい!
クラブに旅行予定がいっぱいだからな)
「分かった明日会おう」
(分かった明日な何時に集合だ?)
「昼の一時にお前の家に行く事にするよ」
(分かった!今のうちにできる課題終わらさないといけないから
電話切るな!)
「分かった、元気でな」
(お前もな)

それで会話は終了した。

「人と話すのは意外と難しい」

でも確実に異世界では得られなかった充実感がある
魔王として独り身だった俺に味方はいなかった
その為話すことは少なくなっていた

俺は思う
この力を使わないと
使うときは身を潜めバレてはいけない
面倒くさくなるからだ
漫画の言葉に強大な力にそれに伴う責任がある
それがどうしようもなく面倒だ
この世界では自分の私利私欲を満たせたらもらう
でも限度は守る、
極力人を殺さないようにするそれだけ。

「そんな事はどうでも良い
4年ぶりのyotubu本当に久しぶりだ
ゲームも本も!漫画も!食料も!
ある!ちゃんとあるぞ!」

俺は涙を流しながら冷蔵庫にあるプリンを頬張る。

「うみぁあああいぃ!!
記憶の中じゃ近くのコンビニにある安いプリンだが!
美味い!うまいぞぉ!」

「漫画も異世界無双系が好きで買ってたけど
ご都合主義な癖に変な所では法とか現代日本並み。
魔法が発達したからって感じだけど
言わしてもらえば魔法は個の力が強い圧倒的な物だからなぁ、
反社会勢力とかが暴れてんだよな、俺のことだけど…………」

「久しぶりのyotubuも相変わらずだな!
好きなyoutuberも相変わらずだな」


俺は楽しい時を過ごした
異世界ではありえない充実している
時間を過ごしていた。

「もう夜か、明日は朝日と会うんだ
久しぶりの親友、異世界ボッチだった俺には嬉しい事だぜ!
なんか本当に思い付きで行動したけど
異世界でもこの癖は治らないな」

俺は自分の力を再度確認する

”竜化”

そう念じると右手が鱗を纏いだし
手はゴツゴツとした岩のようになり
鎧の様な鱗の隙間からはマグマの様な皮膚が見え隠れする。

「本当にいたんだな
異世界に…………」

俺は異世界では人間の仲間などは居なかった
でもその代わり幻獣と仲が良かった。
ずっと側にいてくれたカーバンクルのトキ
あの世界で死ぬ瞬間までいつも
そばに居た……

「今、どうしてるかなぁ」

そう呟き俺は深い眠りに付いた。








異世界

「魔王は死んだのか?俺は、勝ったのか?」
目の前に倒れているのは魔王
人類に災いをもたらす者

俺は勇者だ
一年前俺はただの農民だった
そんな俺は村に来た聖女によって勇者の称号を得たんだ

神のお告げというもので俺は勇者に選ばれたらしいが
そこら辺の事は良く知らない、俺は勇者になったんだ
それからは国の支援を受け戦う日々
国の裏側と繋がり信頼できない仲間と寝食を共にする
それから一年かけ裏社会を統一させ平和が訪れたと思った矢先
魔王が覚醒しただとかなんだとか実際は魔王討伐の為に勇者になったという話は
後から知った
まぁ、そんなこったろうと思ったがな

「やっちまったんなら仕方ねえ
魔王なんてパパっとやってやるは!」
そう言い俺が魔王の所に来たは良いが
強い兎に角強い王を殴り飛ばしてやりたいぐらい自棄になる程に強い。
だがそんな魔王も今や骸
動かぬ肉塊だ。

「やったぜぇぇぇぇええ!!」
そして俺は膝を付き倒り伏せる。
やった、やってやったんだ。
俺一人で仲間なんてアテにはしてなかった。
俺一人で世界を救ったんだ。

少し気を抜いた所で事態は急変する。
魔王の骸が動き出した。

「はは、ウッソだろ」

俺は乾いた笑い声しか上げれない。

正確には魔王の骸じゃない
ずっと魔王と一緒にいた獣が動いたのだ、
いや、動いたと言うのは訂正しよう。
巨大化している。
まるで可愛らしかった面影は無く。
美しく、全てを平伏せさせる威厳さをも兼ね備えた。獣、、いや

必然的に口から溢れ出た言葉


「魔王」
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